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    MondLicht_725

    こちらはじゅじゅの夏五のみです

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    MondLicht_725

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    硝子姉さんハッピーバースデー🎂
    なのにシリアスですんません。

    #硝子誕
    glass誕誕

    【硝子誕】プレゼント まったくもって、不本意である。
     部屋に入ってすぐ右側の壁には、大小様々な青い目玉がぶら下がっている。ナザール・ボンジュウ。災いを跳ね除けるという異国のお守りだ。唯一残っている同級生が海外出張のお土産だと言って、勝手に飾っていったのだ。
    「ほら、僕がいつでも見守ってる感じしない?」
    「…きしょ」
    「ひどいっ」
     なんて会話も、随分前のことである。
     薬品やガーゼなどの衛生材料を収納している戸棚の上には、異国の神の像と招き猫が仲良く並んでいるし、机の上にもアフリカのなんとかという部族のお守りが鎮座している。
     年々増えていくものだから、家入硝子はそういうものが好きなんだ、収集家なのだという不本意な噂が高専内に広まっていた。
     まあ、否定も拒否もしなかったのだが。
     おかげで仕事場には、あの男以外からも贈られたお面やら像やらお守りやらが増え続けている。
     青い目の隣に飾られたが白い羽がついた円形の魔除け。家入でも知っている、アメリカ先住民のドリームキャッチャー。プレゼントだと言って持ってきたのは、6年前に入学してきた生徒。招き猫の前に置いてあるカラフルな骸骨は、その前の生徒。

    「家入さん!誕生日おめでとうございます!」
    「硝子さんにはいつもお世話になってるから」

     誕生日祝いだと言って笑顔で置いていった珍妙なプレゼントは、冗談のつもりなのか本気なのかはわからない。
     ――今はもう、聞くこともできない。
     どちらも変わり果てた姿で戻ってきて、どちらも家入が処置をし、葬った。
     ここでは、珍しくもない日常。こうして、思い出だけが残っていく。片付けようと思ったことはない。だから、増えていく一方だ。




    「来月、家入さんの誕生日なんだってよ!」
    「え、いつよ」
    「11月7日だって。五条先生が言ってた」
     立ち聞きするつもりはなかった。ただ、通い慣れた廊下を通り抜けて、自販機コーナーに向かう途中、たまたま聞こえてきただけだ。
     今年の新入生たちも威勢がいい。若干1名は一度死んだが、すぐに蘇って今でも元気に3人でいる。蘇生したことが本人にとっていいのか悪いのかは家入にはわからない。ただ、あの元気な声を聞けば、素直に嬉しいと思う。
    「いつもお世話になってるし、プレゼント用意しなきゃ」
    「なぁ伏黒、家入さんが喜びそうなもん知らねぇ?」
    「…なんで俺に聞く」
    「だってお前が1番付き合い長いじゃん」
     付き合いが長いのは事実だ。けれど、家入が本当に欲しがっている代物を理解できるのはきっと、夜蛾か七海くらいだろう。
    「…お守りとか、魔除けとか、スピリチュアルなもの、とか」
    「ああそういやあの人の部屋にいっぱい置いてあったわね」
    「スピリチュアルって…ドリームキャッチャーとか?水晶とか?」
    「どっちももうあったわよ」
    「ええ!?じゃあ何がいいんだろ」
     小さく笑って、踵を返す。そういえば、冷蔵庫にまだこの前買ったペットボトルが残っていることを思い出したのだ。
     彼らがどんな答えを出したのかは知らない。ただ、どんなものでも、きっとまた無言で受け取るだけなのだ。
    「久しぶりに、買い物に行くか」
     棚の中に保管している菓子とコーヒーのストックが無くなりかけている。消費するのは主にあの男だが、ときどきは生徒たちにも渡している。彼らは何が好きだろうか。

     昔はさほど、誕生日というものを意識していなかったように思う。特別な日だと感じるのは、高専に来てあいつらがウザすぎるくらいに祝うから。2人きりになっても、あいつが忘れないから。生徒たちにまで吹聴して歩くから。
     本当は、特別なプレゼントは必要ない。くれるものならなんでもいい。
     ただ、おめでとうと言いながら、訪ねてきてくれればそれで。
     今年は、どんな誕生日になるだろうか。








     ――――ハロウィンまで、あと■■日。
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    DONEGEGO DIG. AUTUMN 開催おめでとうございます。展示用の新作長編です。
    祓ったれ本舗の夏油傑と、祓ったれ本舗であるはずの五条悟、二人の舞台(世界)と過去の縛り。
    夏油目線でお送りします。

    夏五Forever……
    ☆作品の感想等は、スペースの書き込みボードか、当方のTwitterにあるwaveboxからお送り頂けますと嬉しいです(о´∀`о)
    あの照明(光り)を覚えているか「……、さとる」

     隣に佇む相方の肩を叩く。サングラスに隠された、日本人とは思えない蒼の瞳が瞬きもなく会場を見つめていた。

    「さとる、悟。行こう、呼ばれてるよ」
    「……すぐる、俺たち……」
    「そうだよ」

     たくさんの紙吹雪が舞い、歓声が響く。金色のテープも床や私たちの頭の上にまで引っかかってて、悟の頭のそれを取ってあげた。

    「私たち、優勝したんだよ!」

     念願だった。芸人としてデビューしてから今日まで長かったような、あっという間だったような。十年以上寄り添ってきた相方兼親友はまだ現実を飲み込めていないのか、一言と発さない。私は彼の手を引いて舞台の中央まで向かった。
     私たちが優勝したのは、若手芸人の登竜門とも言われ、全国で生放送されているお笑いグランプリだった。ずっとこれを目標に生きてきたのだ、嬉しくない訳が無かった。
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    MondLicht_725

    DONE診断メーカーの「限界オタクのBL本」より
    友華の夏五のBL本は
    【題】見えない楔
    【帯】濡れた紫陽花ごしに顔も見ないで別れを告げた
    【書き出し】そういえば今日の星座占いは最下位だった。
    です

    で書いたもの。
    教祖教師夏五です。
    全部詰め込もうとすると難しいな、という話。
    【夏五】見えない楔 そういえば今日の星座占いは最下位だった。穏やかな声で告げられた内容はろくに覚えちゃいない。BGM代わりに流していたテレビで、番組もそろそろ終わりという頃に必ず始まる短いコーナー。右から左へ流していたのに、最後の部分だけをやけにはっきり覚えている。

    「本日のラッキーカラーは、紫です!」

     へぇ、じゃあ景気付けに茈でもぶっ放そうか、なんて[[rb:冗談 > ひとりごと]]を口にしながらテレビの電源を消して、時間通り、真面目に、お仕事へ出かけたのである。
     今日の目的地は隣県にある小さな寺だった。観光地の片隅にありながらも観光客もほとんど訪れない静かな古刹だ。
     境内へ続く階段の両脇にはびっしりと紫陽花が植えられていて、年に一度梅雨の時季だけ賑わうと聞いたが、今は木々の葉っぱも全て落ちてしまう肌寒い季節である。名物の紫陽花も丸裸になり、むき出しの細長い枝が四方八方に伸びているだけだ。
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