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    ろまん

    @Roman__OwO

    pixivに投稿中のものをこちらでもあげたり、新しい何かしらの創作を投稿したりする予定です。倉庫です。

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    ろまん

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    大人気少女漫画家になった早乙女浪漫ちゃんがテレビに密着されるはなしです。

    #早乙女浪漫
    saotomeRomance

    ――新感覚少女漫画の開拓者


    『漫画は、楽しんで描いた人の勝ちなんです』

     少女漫画家・早乙女ロマン(22)――。
     独特の作風で、数多の批評家が激論を交わす作品を次々に送り出してきた、若き奇才。
     デビュー直後には新人賞を総なめにし、今年はついに漫画大賞を受賞した。その存在感は、言うまでもなく圧倒的だ。


     彼女と親交の深い少女漫画家・甘夏みかんは語る。

    『ロマンさんは少女漫画界に新時代を創りました。初めは誰もが彼女の描いた漫画を読んでこう思うはずです。なんなんだこれは!?と。でも、いつの間にか皆が彼女の漫画の虜になっている。あのセンスは唯一無二です』


     早乙女が挑むのは、少女漫画の可能性。

     少女漫画界、延いては漫画界そのものの常識を次々と覆していった彼女にとって、漫画を描く意味とは。


    【エキスパート 仕事の流儀  file:430】



     今回、当番組は、次々とヒット作品を世に送り出し続ける人気少女漫画家・早乙女ロマンに、二ヶ月間密着した。
     彼女は一体どういった人物なのか。その謎めいた人間性に、我々はカメラを向け続けた。
     

    ***


     早乙女の朝は早い。午前七時から、彼女は漫画のネームづくりにとりかかる。

    ――早い時間から取材許可を頂き、ありがとうございます。

    「いいえ、むしろこんな時間から付き合わせてしまってごめんなさい。あなた達の力になれるよう、私も頑張るわ。早速、乙女フィルターを発動させるわね」

    ――え?


    《Act.1 ステキな出会い》

     
     いっけな〜い!遅刻遅刻☆
     私、早乙女ロマン!永遠の17歳(なんてネ♡)
     少女漫画雑誌、別冊マーガリンで連載中の漫画家なのダ!
     オレンジペコの紅茶がダイスキなの♡
     
     みんなはどの飲み物がスキデスカ――?


    ――ちょ、ちょっと!!その、いきなり、なん、なんですか!?気のせいか登校中みたいな風景も見えましたけど!?

    「これは乙女フィルターよ。私はベタな場面に遭遇するとつい少女漫画的な目で見てしまうクセがあるのだけど、その際にリアルな背景が出せるの」

    ――ええ!?えーと……あの、一応この番組は、その道のエキスパートの仕事に対する姿勢に密着する番組でして……。

    「わかったわ。じゃあ漫画を描くところまで場面をスキップしましょうか。《Act.55》に行きましょう」

    ――場面?ACT?……よ、よくわかりませんが、早乙女先生、これからよろしくお願いします。

    「はーい!こちらこそよろしくお願いします♡ 読者の皆さんも引き続き楽しんでね!」

    ――……読者の皆さん?


    ***



    《Act.55 ハラハラ☆デッドライン!?》


     早乙女は酷く焦っているようだった。
     本日締め切りの原稿が、このままでは間に合わない。
     時計の針の音だけが響き渡る室内には、〆切間際の緊迫感が充満している。原稿を回収するために待機している担当編集は、祈るように部屋の隅に座り込んでいた。

     締め切りまで、あと一時間。しかし、手元には真っ白なページが三枚。ネーム時点で描いていた展開に早乙女がどうしても納得できず、膠着状態が続いていた。
     皆の焦りや不安が募っていくなか、ついに担当編集が立ち上がる。

    「先生!このままじゃ絶対間に合いませんよ!?当初のネーム通り進めましょう!」
    「……作品は私の命にも等しいものよ。迷惑かけているのはわかっているけれど、妥協をするなんてできないわ」
    「しかしそれじゃあ、原稿を落としてしまいます……!」
    「いいえ、絶対に間に合わせてみせます」
    「一体どうやって!?」

     早乙女は暫く考え込むと、覚悟を決めたように口を開いた。

    「………私の奥の手を使います」
    「せ、先生、何をする気です?」
    「大丈夫、安心して。きっと次にこの場面に差し掛かったら、そのときは絶対この漫画を描き上げているはずだから」

    ――さ、早乙女先生?一体どういう……。

    「ああ、良かったら撮影スタッフさん達もついてきてください。きっと撮れ高があるはずよ」

    ――ついてきて、ってどこにですか?

    「いいからいいから!振り落とされないように気をつけてね!いくわよ、『忍法ページまたぎ』っ!ドロン☆」


    ――え!?う、うわああああ!!!!!



    「……さて、到着したわ。ここは《Act.55》より前の場面。〆切より一週間前には来れたはずよ」

    ――え……ええ!?どういうことですか!??一体これは何なんですか!?

    「忍法ページまたぎのこと?これは『ヌスット・ダンス』という番外編にて私が使っていた技よ。番外編は本編とはまた違ったキャラクター同士のやりとりが見られるから、一見の価値ありよ」

    ――いや、そういうことを聞いてるんじゃないんですけど!?あの、僕達タイムスリップしたんですか?

    「正確には違うけれど、似たようなものだと思ってもらって構わないわ。ちなみにSKET DANCE第262・263話『時空 ときの風に乗って』は、タイムマシンと化した扇風機によって引き起こされるトラブルの話よ」

    ――さっきから謎に販促を挟むのはなんなんです!?


    「それにしても……次は《Act.33》に差し掛かる頃合いね。実は、私の原稿が間に合わなくなってしまった原因はこの場面にあるの」

    ――え?それはどういう…………


    ***

    《Act.33 ねぼすけ!?ロマン先生!》


     夕方、午後五時を知らせるチャイムが鳴り響く音で、早乙女は眠りから覚めた。
     早乙女はここ数日、単行本作業のために作業場に缶詰め状態で、久しぶりに長時間睡眠を取れたところだった。

     すると、寝ぼけ眼でスマホをぼんやりと眺めていた早乙女が、「来たわ」と呟いた。

    「王子からのメッセージ……」

    ――王子?王子って誰のことですか?


    〈セルフナレーション:早乙女ロマン〉

     ――王子。
     それは私が高校時代に憧れていた、開盟学園の学園生活支援部、通称「スケット団」のリーダーである藤崎佑助クン(22)のことよ。
     スケット団というのは、学園生活で起こるトラブルを解決したり、困っている生徒を助けることを活動内容としていた部活のこと!私もたくさんスケット団に助けられて、大変感謝しているのだ☆
     そのなかでも、王子――みんなから「ボッスン」と呼ばれていた――は、高校二年生だった私が運命的な出会いをした相手。雨でずぶ濡れの子犬を拾っていた優しい彼を見て、私は恋に落ちたの。彼は高校を卒業したあと海外に出て、現在は世界中でボランティア活動をしたり旅をしたりしているわ。
     ああ、彼は今頃どうしてるんだろう。
     もしかして私のコトを考えてくれてたりするのカナ……♡


    ――………。は、はぁ。ええと、その方って一般の方ですよね?

     (そう、彼は一般人。でも有名人と一般人の恋愛って少女漫画作品の王道よね)

    ――まあ確かに……って、え? 今、直接脳内に語りかけてきませんでした!?

     (あら、気がついた?これはうちの高校の漫研部員の何人かが使える技なの)

    ――なるほど………怖いことに、だんだんと異常現象に慣れてきてしまった自分がいます。

     (他にもお見せしましょうか?雷遁イナズマフラッシュとか)

    ――いえ、結構です。


    ***


     この放送回の編集は、早乙女の自由さ故に過去一困難を極めた。一体、彼女をどうまとめることができようか。
     ただ、常識で計れない彼女を見ていると、彼女の漫画の唯一無二のセンスはここから生み出されているのだと分かる。


     高校時代、早乙女と同じ漫研に所属していた人気少女漫画家・瀬川ふみは語る。

    「私に最も影響を与えたのは、間違いなくロマン先輩です。今の私があるのはロマン先輩のおかげなんです」


     瀬川が初めて受賞したのは、早乙女や甘夏と同じ『別マー新人まんがグランプリ 金のジャムバター賞』。
     初投稿作品にして瀬川が初入選した『ふしぎ少女伝説しゃかりきカスタードBOY参る!』について、瀬川はこう語る。

    「今読み返すと、この話はロマンテイストに溢れていますよね。デビューしてからも度々、私の漫画がロマン先輩の影響を受けすぎていることを担当編集さんや読者の方々から指摘されて、落ち込みました。でもそんなとき、ロマン先輩が私に連絡をくださって……」

     そのとき早乙女は、瀬川に向かって言ったという。

    「『フミちゃんの漫画はすでにオリジナリティを持ってる。だから自信を持って』って……。私はその言葉にたくさん励まされました」


    ――ちなみに、早乙女先生は開盟学園の漫研出身者は漫画的魔法を使えると仰っていましたが、瀬川先生も使えるんでしょうか……?

    「あ、ハイ……!私は修得するのが遅かったんですけど、イナズマフラッシュとミスノンなら使えます……!」



    ***



    ――ところで、「王子」からは何というメッセージがきていたんでしょうか。

    「彼、今は日本にいるみたいで、開盟で同窓会をするらしいの。私にも是非来て欲しいって。急だけど、明後日の日曜日らしいわ。でも、ダメなの。……ここが運命の分岐点だから」

    ――運命の、分岐点……?

    「ええ。私が《Act.55》で原稿を落としそうになってしまったのは、この同窓会に行ってしまったからなのよ」

    ――でも、藤崎さんとは、この機会を逃したら次はいつ会えるかわからないんじゃないですか?

    「そうね。でもやっぱり、行けないわ。私は、私の漫画を楽しみにしてくれているファンにトキメキを届けなきゃならないから」


    「スタッフさん……。うん、私、同窓会に行くわ!」

    ――先生……!

    うふふっ!やっぱり『彼方のアストラ』が大ヒットしたからには何かSF的な要素も入れたいものね。ちなみに現在ジャンプ本誌で連載中の『ウィッチウォッチ』もかわいくて面白いし、ファンタジーも良いわね」

    ――彼方のアストラって!?ウィッチウォッチって!?

    「じゃあ早速Act.44まで飛びましょうか。いよいよ私以外のメインキャラの登場よ!!」



    《Act.44 ロマンチックな同窓会!?》


    「――なるほど、だからテレビの取材か。そんな忙しいときに急に誘っちまって悪かったな」
    「それにしてもロマンはすごいなぁー。もう完全に売れっ子漫画家やないか!『先生』て呼んだ方がええんちゃう?」
    「確かにそうかもしれない。尊敬するクリエイターには敬意を払うべきだ」


     この日、早乙女の母校である開盟学園高校にて同窓会が開催された。我々撮影スタッフも参加者の許可を得て取材を敢行させて頂いた。
     彼女はこれまで受けてきたインタビューで、高校生活で得た経験がアイディアの基になっていると語っている。周囲から見る早乙女ロマンとは、果たしてどのような存在なのだろうか――?


    「あら?私まだ何も話してないのに、何故三人とも事情を知っているみたいに話しているの?」

    「えええ!?!場面転換はお約束だろ!?」
    「よ、ようあるやん!!……って、このくだり本編でもやったやろ!!!」
    「第226話『ライバル登場!?激アツ真っ向勝負!』ね。この話は私のメイン回でもありお友達兼ライバルの甘夏みかんちゃんの初登場回よ。必読だわ」
    「ずっと思ってたんだが、この話を読んでる人はすでに漫画のファンじゃないか?」
    「そうかもしれへんけども、ツッコむとこそこじゃないやろ!!!!!」


     早乙女と気兼ねなく話す三人は、「スケット団」と呼ばれる早乙女の友人達だ。
     スケット団は一時放映されていた菓子メーカーのCMや、照子の部屋、お笑い番組などの出演経験もあり、地元の新聞でも特集がされたこともあるなど、有名な部活動だった。「何度もスケット団に助けられた」と語る早乙女にとって、彼らは大事な仲間なのだろう。


    ――スケット団のお三方にぜひインタビューさせて頂きたいのですが。

    「そうね、この番組で使えそうな私の高校時代のエピソードがあったらいいのだけれど」
    「心配せんでもロマンのエピソードは語りきれんほどあるやろ……」


    ――では、よろしくお願いします。リーダーの藤崎さんは早乙女先生に「王子」と呼ばれ、憧れの人だったと伺いました。藤崎さんとの出会いは、早乙女先生が少女漫画を描く上で大きな財産になったと。

    「あっ、あー……えと、どーじょよろんくしゅおねあんしゃーす……ハイ、あの。しょっすね……」
    「アカン!!ボッスンめっちゃテンパっとる!!!ボッスン、深呼吸やで!!!」
    「すみません、インタビュー形式だとうちのリーダーが緊張してしまうので座談会形式でも良いですか?」
    「「さすがスイッチ!!!!!」」


    ――では、座談会形式で。学生時代の早乙女先生はどんな方でしたか?

    「えーと……ロマンは、とにかくめちゃくちゃだったな。いろんな意味で漫画的セオリーをぶっ壊していくというか……」
    「せやな、ロマン一人いるだけでボケが渋滞しすぎてツッコミが追いつかへんかったもんなあ。ま、それは今もやけど」

     それから、スケット団から出てくる早乙女の破天荒なエピソードは途切れることはなかった。どれも笑顔で話すところを見ると、彼らにとっても懐かしい青春の一ページなのだろう。


    ――やはり、皆さんにとっても『早乙女ロマン』という存在は、自由人という印象が強いのでしょうか?

    「まあ、そっすね。……でも」
    「ああ」
    「うん、せやな」
    「俺、ロマンほど自由な人間もいねーけど、ロマンほど努力家な人間もなかなかいねーと思う……んです」
    「王子……」

    ――では、皆さんから見た早乙女先生の努力家な面について教えて頂けますでしょうか?

    「ロマンはいつも漫画にかかわることをしていた。後輩にアドバイスをしたり、夏休みにはプロのアシスタントに入ったり、描いた漫画を編集部に持ち込んだり。いつも積極的に動いていたな」

    「アタシなんか夢を追いかけるロマンが眩しくて漫画に挑戦したことあるわ。一日で終わったけどな。同じ努力を継続するっちゅうのは、いくら好きだからってなかなかできることやない」

    「好きだからこそ、努力してるからこそ、つらいこともたくさんあっただろうけど、そういう面をオレ達に見せることもあんまなかった。だからロマンが初めて読切デビューしたときに見せた涙のこと、オレずっと覚えてんだ。ああ、ロマンの努力がちゃんと報われて良かったなあ、ってジンときたぜ」

    「王子………みんな………」
    「だから、みんな今でもずっと応援してんだ。勿論、オレ達だけじゃねえよ。ロマンと関わった奴は、みんなロマンを応援してる。努力してきた姿をちゃんと見てたし、よく知ってんだ」


    ――早乙女先生、何か感想をお願いします。

    「ここで私に話を振るの?そうね……あら、いけない。ちょっと涙が出てきちゃいそう!ミスノンで消えてもいいかしら?」
    「「いや消えんな!!!」」
    「ウフフ、捕まっちゃった……」

     
     カメラの前で、読者の前で、『早乙女ロマン』は常にエンターテイナーであり続けようとする。いつでも人を楽しませようと努力する姿勢こそが彼女なのだ。
     そんな早乙女が、ありのままを見せたのがこの瞬間だった。


    「私ね、悩んでる姿を見せるのってあんまり得意じゃないの。だって私は、私の力を使ってたくさんの人を笑顔にしたいから!でもね、それでも、そんな私の努力をちゃんと見て応援してくれている人はたくさんいるのよね。なんだかそれが本当にうれしいの。みんな、ありがとう!」


    ***


    《Act.55 ハラハラ☆デッドライン!?》


    「いやーほんと、ロマン先生は期日までにきちんと仕上げてくれて助かります!」

     担当編集が完成した原稿を手に、早乙女に感謝を述べる。本日は、〆切当日。早乙女は無事漫画を仕上げた。
     スケジュールに合わせて話を仕上げた彼女は、それでも今回の話はとても苦しんだと語る。

    「今回の話は、この作品の山場だったの。好きだった人に会える過去か、大切な人が待つ未来、どちらにタイムリープするかを選ばなければならなかった」

    ――しかし、ネーム段階では主人公は未来を選んでいましたよね?

    「そうなの。でも、私がプライベートで久々に大好きな友達に会ったらね、ああ、過去だって選びたいよなぁ……って思っちゃって。今の私がいるのはこれまでの経験や思い出あってこそだもの」

    「それは……紙面で確認してほしいわ」

    ――早乙女先生。素敵な体験をありがとうございました、とても楽しかったです。



    「オーイ!なんの話をしてんだ?」
    「ヒメコからの差し入れがまだ残ってる。アシスタントの皆さんもスタッフの皆さんもどうぞ」
    「王子!スイッチくん!今日は本当にありがとう」
    「アシスタント経験は二度目だからな。CG背景も気合いを入れたし、ボッスンはもはやプロアシスタントの域だった」
    「久々の作画作業、疲れたぜ〜」


    ――でも、どうして今日はここに助っ人しにきたんですか?

    「それは私が説明するわ!」

    (あれは、同窓会が終わって帰宅しようとしたとき――)

    「今日は本当に楽しかったわ。私は急いで帰って漫画を描かなきゃ!じゃあ、みんなまた会いましょう」
     
     そう告げて、私は帰ろうとして足を踏み出したの。でも、そのときだった。
     
    「ちょ、待てよ……!!」
    「えっ、お……王子?どうしたの……?」
    「良かったらオレにもロマンの作業を手伝わせてくれよ。高校んときもアシスタントは何回かやってたしさ……役に立てると思う。お前を放っておけねーよ」

     王子はそのGペンのように力強い腕で、私のゼブラの丸ペンAのような腕を掴んでそう言ってくれた。
     王子だけじゃないわ。スイッチくんもヒメコちゃんも。

    「オレもCGアシスタントならできる」
    「アタシは平日は教育実習で学校行かなきゃならへんから手伝いには行けへんけど、差し入れは持たせてくからな。アタシもロマンの漫画の大ファンやから!ファイトやで!」


     私、とっても嬉しかったわ。本当に……
     (ありがとう……みんな…………)



    「おお……脳内に直接感謝の言葉が入ってくる……」
    「それにしても、ロマンの回想のボッスンはキラキラしたイケメンになっていたな」

    ――こうして交流が今も続くというのは素敵ですね。

    「そうね……こうして今でも私と仲良くしてくれてありがとう。スケット団にまた助けてもらえるなんて思わなかった」
    「当たり前だ。友達が困ってるならスケット団は助ける!……だろ?」
    「……フフッ、うん!第1話『ペンキ仮面』でも王子は言ってたもんね」
    「ええ!?あ、おお……。かなりいい感じの台詞言ったつもりだったんだけど……」



     友人達と笑い合う早乙女は、年相応の笑顔を浮かべていた。
     努力家で、友達想いの二十二歳。
     彼女の作品は、彼女のセンスだけではなく、漫画への真摯な態度や、真面目さ、熱い想いから生み出されている。
     まるで重力や定説を知らないように自由に動き回る姿も、机に齧り付いて悩みながらひたすらペンを動かす姿も、早乙女ロマンという漫画家の本来の姿なのだ。

     漫画家という職業を夢見て、そしてついにその夢を手にした早乙女は、今日も読者を笑顔にさせるために漫画を描き続ける――。






    〜♪




    ――あなたにとって「エキスパート」とは?

    「そうね……。どんなときも自分が楽しむことを忘れずに、けれどそれ以上に作品を見てくれるファンの笑顔のために努力をし続けられる人……かしら。私はずっとそんな人間でありたいな」






         エキスパート仕事の流儀 〜終〜










    「みんな!最後まで見てくれてちんきゅう♡」
    「空間に文字を書くな!!!しかも逆!!!『さ』が書けてねーから!!!」
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    ろまん

    DONE【まりすず】20歳になったまりあちゃんに「大人」と「子ども」の壁を感じて焦っている19歳のすずちゃん。お互いを大切に想うあまり、ちょっとしたトラブルが起きてしまいます。
    リングマリィの2人とラビリィがこれからも共に生きていく決意や覚悟の話です。お酒に超つよいみらいちゃんが出てきます。
    pixivにも同じものを載せてます。
    ビタースウィートに溶ける すずがまりあと出会ってから、片手の指じゃ数え足りない年数が経過した。どんどんかわいくかっこよくなっていくまりあを、すずはいつも一番近くで眺めていた。
     そんな穏やかな日々を積み重ねた先で迎えた、半年前のアイスクリームの日。
     その日、まりあはとうとう二十歳になった。

     ……そう、まりあは一足先に「大人」になってしまったのだ。一つ年下のすずを残して。





     先日ブロードウェイでのミュージカルが休演期間に入り、リングマリィは久々に帰国していた。
     二人がキラ宿にいることは配信でも伝えており、みらい先輩から「食事でもいかない?」とメッセージがきたのが三日前のこと。すずとまりあは喜んで「いきたいです!」と返信し、トントン拍子でリングマリィとミラクルキラッツの食事会が決まった。
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