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    生存if
    🦩💋風味SS

    #生存IF
    survivalIf

    凍える指先夏島 季節は夏。常夏の太陽の恵みを与えられた島

    お前のいない部屋は何処か寒い

    頬を撫でる汐風と耳に届くファミリー達の声。
    視界を覆う古びた本のインクの微香が鼻を擽る

    夏島の中でも温暖なこの島はバカンスにと買い上げた島だ。

    続きの知識を得ようと本を上げた瞬間に頬に触れた指先の冷たさに僅かに眉が上がり、ソファーの背もたれで存在を主張する鴇色を引き寄せ身体を覆う。
    幾分かマシになるがそれでも指先と胸の奥底に感じる冷たさは改善の兆候はない。

    「あァ…寒ぃな……」

    1人ごちる言葉は誰に聞かせるわけでもなく、夏の香りへと溶ける。ファミリー達と戯れれば改善されるかと腰を上げようとした瞬間、耳に届いた鳴き声に目をやる。相手の姿を知らせるソレに小さく笑いゆっくりと、ソレを起こしてやった。

    「おれだ」

    「あぁ、ドフィ。元気か?」

    「フフフフ、勿論だ。お前はどうだ?海兵共と仲良くやってるか?」

    「お陰様で。」

    「上手くやっているようで何よりだ。ところで、5日後に取引の為に東へ移動をするが」

    「東…あぁ、やめておいた方がいい。今その海域にはガープ中将がいる。」

    「英雄ガープか…確かに、やりあうには少し面倒だ。」

    遊ぶにしては少し角が立つ相手だ。わざわざちょっかいを出すこともないだろう。
    デスクに投げ出された海図を引き寄せ視線を落とす。
    物資の為にと選んだルートだったが…

    「南の海域はどうなっている?」

    「南…ちょっと待ってくれ。…配置報告はないが、少し離れた場所につる中将がいるみたいだ。」

    「おつるか…フフフフ、そりゃァいい。」

    「ドフィ?」

    示すルートを指先で撫で日数と人員の計算をしながら聞こえた答えに笑みが浮かぶ

    「最近、全く海軍と出くわして居なくてな。そろそろ海軍と多少は遭遇しねェとおかしいだろう?なァ?」

    「…報告を入れておく。ドンキホーテ海賊団がその海域を通過すると。」

    「フッ、フフフフフ!あぁ、偶然会っちまったら仕方ないよなァ!」

    そう、偶然だ。おれが向かう海域にたまたまおつるの軍艦が近くに居て仕入れた情報を元にやって来るだけだ。

    「…ところで、皆はどうしている?」

    「変わりないさ。元気にやっている、ガキ共は能力の訓練。トレーボル達も変わらずだ。」

    「そうか、良かった」

    安堵の混ざる声に自然と口元が上がる。声を繋げる相手を模した電伝虫を指先で一撫でし膝へと運ぶと首を傾げているのだろう、変わる表情に指先が体温を持つ。

    「ところで、お前の方はどうなんだ?」

    「…1か月後に移動する。期間は未定だ。」

    「そうか、内容は」

    「変わらず。だ」

    〝変わらず〟何よりも吉報だ。
    冷え切った筈の指先が明らかに熱を持ち、ふと、頭を過ぎった案にゆっくり口角が上がる。
    止める必要もないソレに連動し肩が揺れる。漸く、この寒さから解放される。

    「フフフフフ!あァ、そうだ…。たまたま向かった島で迷子になっている奴を回収する事もあるよなァ?」

    「それは、あるんじゃないか?島の規模にもよるだろうが迷子なんて毎日発生しているし。まぁ、中にはそれにつけ込んで人攫いなんか、も、……ドフィ…何を考えている?」

    声音に僅かに緊張が籠る。ソレは僅かに期待が含まれているように感じ先程から揺れる肩が大きく震えた。

    「フ、フフフフフ!ここは寒くてなァ」

    「寒い?今は夏島に居るんだろう?寒さなんて、何処か悪いのか?なら、すぐトレーボル達に」

    「いやァ、そうじゃねェ。治せる奴は生憎1人しか知らねェもんでな」

    「1人?どこの島に居る?医療ならドラム王国か、海軍?いや、何処に居ても探すから、だから」

    声音に先程は無かった焦りが含まれてゆく。不安が入り混ざり、食い気味に発せられた言葉に熱を含んだ指先を更に熱くさせてゆく。
    あァ。本当にお前はおれの、

    「待て待て、少し落ち着け」

    「これが……っ」

    「落ち着け。おれの言う事が聞けないか?ん?」

    「……わか、った……。治せるやつに心当たりはあるんだな?」

    「あぁ、だから頼みがある。」

    「……何をしたらいい」

    「5日後、北緯05度52分00秒東経170度09分00秒。今いる場所から近い筈だ」

    「……確かに、近いが…。その島に居るのか?」

    「あぁ、だからお前も来てくれねェか?海軍だとバレたら厄介だ。普段の格好でな。」

    未だ、真意を捉えられないのか不安の混ざる声音は空いた穴を埋めるように身体に染み渡る。
    もう、いい加減返してもらっていいだろう?


    「分かった、5日後におれも向かう。だから、無理だけはしないでくれ。何かあったら…」

    「ロシー…お前が居ない部屋は寒い」

    「え……っ」

    「5日後に迎えに行く。これ以上の寒さはゴメンだ」

    「…そ…………れは、……おれもだよ、ドフィ」

    「フフフフフ!いい子だ。それじゃぁな。」


    ガチャりと眠りにつく其れを指先でゆっくりと慈しむ。そのまま引き寄せた黒い羽に頬を預ければ僅かに香る火薬と香水。


    「あぁ…、暑いな…」


    ようやく、おれの鼓動がその役目を果たした瞬間。じわりと燻る熱が身体を侵していった。
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