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    おもち

    気が向いた時に書いたり書かなかったり。更新少なめです。かぷごとにまとめてるだけのぷらいべったー→https://privatter.net/u/mckpog

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    おもち

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    PsyBorg。バーテン🐏パロ5個目。
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    #PsyBorg

    たぶん俺は眠っていて、これは夢なんだと思う。ぐらぐらと揺れる視界には大好きな銀白の髪、いつも見てるより地面が遠く、足を動かしていないのに体が勝手に移動している。だらんと垂らしていた腕に力を入れてみたら、「起きたか?」と低く優しい声がすぐ近くで聞こえた。首を左右に振ってもっとぎゅうっと、彼のことを抱きしめる。
    「浮奇、体調は? 気持ち悪いとかはないか? いつもこんなに飲まないのに、……シュウの酒のほうが美味くて飲み過ぎたとかだと、ちょっとショックだ」
    「んん……ふーふーちゃんの作るお酒が一番好き……だいすき……」
    「……ならいいけど」
    「ふーふーちゃん……」
    「うん?」
    「……ふ、へへ、ふーふーちゃんだ、夢みたいな夢、ふーふーちゃんがおんぶしてくれてる」
    「……夢じゃないけどな。酔っても覚えてるタイプだよな? あとで後悔しても知らないぞ」
    「ふーふーちゃんに会いたかったの。夢でも会えて嬉しい。ふーふーちゃんのお店も大好きだけど、お店以外でも会いたいし、ふーふーちゃんのことをもっとたくさん知りたい。他の人もおんぶしたらイヤだよ、おれ、ふーふーちゃんのこと独り占めしていい理由がほしい」
    「……」
    「本当にこんなこと言ったら困らせちゃうなぁ……嫌われたくないから、今のは内緒ね」
    「……」
    「ん、ふふ、……ふーふーちゃん、だいすき……」
    「……どうするかな」
    振動が止まってガチャッと鍵を開けるような音がする。そうだ、家に帰らないと。ショートはどこに行ったのかな、今日はうちに泊まるのかと思ったのに先に帰っちゃった? 会計をした覚えもないからもしかしたらショートが払ってくれたか、シュウがツケにしておいてくれてるかも。次に会った時にちゃんと謝らないとなぁ。
    「浮奇、風呂に入るか? 一人でどうにかできる?」
    「ん……? 化粧落としある……?」
    「……ないな。買ってこようか?」
    「ここどこ……、……あれ、ふーふーちゃ、……え? 夢じゃないの?」
    「……」
    「……ま、まって、おれ、……え、あ、……うそでしょ……」
    「……あー、とりあえず、水でも飲むか?」
    ソファーに優しく下ろされて、目の前にふーふーちゃんが跪く。心配と、すこし揶揄いの混じった優しい目で見上げられ、俺は咄嗟に隣にあったクッションを顔の前に持ってきて視界を遮った。あ、これふーふーちゃんの匂いがする。
    「ごめん、おれ、夢だと思って色々……なんかめちゃくちゃなこと言ってたと思うんだけど、全部忘れて」
    「忘れていいのか?」
    「……ふ、ふーふーちゃんに、きらわれたくない……」
    「嫌わないよ。浮奇、こっちを見て、話をしよう」
    「いま化粧ぐちゃぐちゃで可愛くないからやだぁ……」
    「ふはっ! あははは!」
    え、ふーふーちゃん大爆笑してるんだけど。そんな面白いことを言ったつもりはないし、むしろ大真面目に言ってるよ、俺。むうっと頬を膨らませてクッションからすこしだけ顔を覗かせれば、ばっちり目が合ったふーふーちゃんは素早く俺の手からクッションを取り上げた。追いかけて伸ばした手を、ふーふーちゃんが掴む。
    「な、なに……」
    「もちろん化粧をしてる浮奇も綺麗で素敵だけど、そうじゃなくても可愛くないわけないだろ。かっこつけた浮奇だけじゃなくて、気の抜けた浮奇も見たいよ」
    「……いま、おれ、酔ってて、……ふーふーちゃんが、俺のこと好きって言ってるみたいに聞こえる……」
    「……酔ってない時にちゃんと教えてやる。化粧落としを買ってくる、どんなのがいいんだ?」
    「えっ、わざわざいいよ」
    「そのままじゃ寝られないだろ。化粧水とかもあったほうがいいのか? それもコンビニで買える?」
    「……たぶんコンビニにお泊まりセットみたいなの売ってるから、それをお願いしてもいい……? ごめんね」
    「気にするな。すぐ戻る、先に風呂に入ってもいいし、のんびりしてていいから。飲めそうなら水をしっかり飲んでおけ」
    「うん……」
    くしゃっと俺の髪を撫でて、ふーふーちゃんは部屋を出て行った。一人きりになってようやく自分がふーふーちゃんの家にいて、今日はここに泊まるらしいということを理解する。なんで、いつのまにこんなことに。シュウとショートはどうしたの。
    鞄もふーふーちゃんが持ってきてくれたらしくソファーの隅に置いてあって、俺はそこからスマホを取り出しメッセージを確認した。ショートから『俺は酔ってシュウのお世話になってる設定。浮奇はファルガーにって押し付けたから上手くやりなよ』と、シュウから『試しに呼んでみたら簡単に来たよ。やっぱりふーちゃんって浮奇のこと特別に大切にしてると思わない?』と。好き勝手言ってくれる友人たちだ。二人に『ありがとう!』とヤケクソの返事を送りスマホを放り投げた。
    家主のいない部屋で好き勝手なんてしないけれど、すこしだけ、女の影がないかだけ、確認しても許されるだろうか。料理をしないという話は聞いていたから、キッチンの綺麗さは誰かが毎日掃除をしているというわけではなくただ使っていないだけだと分かる。化粧落としや化粧水の存在は知っているのに物がないのは俺が彼に話したからだと思う。干しっぱなしの服やタオル、すこし埃の溜まったテレビ台、乱暴に引っこ抜かれたまま飛び出したゴミ袋。男らしいそれらが俺を安心させてくれる。
    俺はソファーに戻って再びクッションを抱きしめ、大きく息を吐いた。今の俺、最悪っぽい。
    「ただいま。浮奇、……体調が良くないか?」
    「あ、ううん、大丈夫。……おかえり、ふーふーちゃん」
    「……ん、ただいま。これで大丈夫か?」
    コンビニの袋を渡されて中を確認すると、頼んだスキンケアの他にお茶とプリンが入っていた。これは?と聞くと「浮奇に」と言われて固まってしまう。
    「確かこのお茶は以前飲んでたし、プリンもアレルギーとか大丈夫だったよな? 明日の朝食べてもいいし、いらなければそのまま冷蔵庫に入れておいてくれれば俺が食う。……浮奇?」
    「……おふろ、はいってくる」
    「あ、ああ」
    大好きだ、ふーふーちゃんのこと、自分でもわけがわからないくらい好き。でも今ふーふーちゃんの顔を見てそれは言えない。だって今の俺の顔、全然可愛くないもん。
    今日は我慢して、次、完璧な姿でふーふーちゃんに会える時にちゃんと言おう。もうそれ以上は待てない。こんな優しい人ほったらかしにしてたらどんどんふーふーちゃんのこと好きな人が増えちゃうよ。
    いつものお風呂にかける半分以下の時間で出てリビングに戻ると彼はお気に入りのウィスキーで晩酌を楽しんでいて、目が合うと機嫌の良さそうな顔で手招きをした。彼の隣の空いている場所に腰掛けて、濡れた髪をタオルで押さえる。普段お店で飲んでいる時の何倍も彼に近くて上せてしまいそうだった。
    「浮奇も、って思ったけど、もう十分酔ってたよな。あんまり飲んだら体に良くないし浮奇は水な」
    「ふーふーちゃんとならいくらでも一緒に飲みたい」
    「だめ。……ん、浮奇、シャンプーとか風呂場にあったやつ使ったか?」
    「え? う、うん……」
    「こんないい匂いだったかな……」
    もしかしてふーふーちゃん酔ってる? 自分の家だから気が緩んでるんでしょう? すこし体を傾けるだけで触れてしまいそうな距離感で、ふーふーちゃんは俺の髪に顔を近づけて匂いを嗅いだ。ドキドキして、顔だけじゃなくて全身熱く火照っていく。
    「化粧水とかも無香料のだったから、何も匂いはしないと思うよ……?」
    「じゃあ浮奇がいい匂いなのか。……あ、悪い、セクハラっぽいな。気をつける」
    「ふーふーちゃんなら良いよ!」
    「……ありがとう?」
    ふっと笑いふーふーちゃんはタオル越しに俺の頭を撫でた。頭をぐらぐら大きく揺らされて、俺は笑いながらソファーの背もたれに倒れ込む。俺のことを見るふーふーちゃんの目は今までで一番優しくリラックスしていて、可愛さに吹き飛ばされそうになった。バーテンダーモードじゃないおうちモードのふーふーちゃん、めちゃくちゃ好きだ。なんかもうさっきからそればっかり。今日一日で好きの最高を更新しまくり。
    「俺はもう少し起きてるけど、浮奇はどうする?」
    「んー、もうちょっと一緒にいたい」
    「……」
    「えへへ、なぁに?」
    頭を撫でられて声がとろける。ふーふーちゃん酔ってるのかな? いつもはこんなに触ってくれないのに。これもおうちパワー?
    「浮奇、かわいい」
    「……ん、へへ……」
    「……ちょっと酔ってるかもしれない。水にしたほうがいいな……」
    「やだ、もうちょっと飲んで、俺のこともっと褒めて?」
    「……酔っ払いの言うことを真に受けるな」
    「うん、でも酔ったふーふーちゃんに言ってもらったって、思い出してニヤニヤしてやるもんね」
    「……俺も酔った浮奇の言ったこと覚えてるからな」
    「う、それは……俺のほうがあんま覚えてないし恥ずかしいから忘れて」
    「忘れてやらない」
    ニヤリと色っぽく笑い、ふーふーちゃんはウィスキーを煽った。かっこよすぎてため息が漏れる。溢れそうになった「好き」の言葉を、ギリギリのところで飲み込んだ。
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    Lemon

    DONE🎏お誕生日おめでとうございます。
    現パロ鯉月の小説。全年齢。

    初めて現パロを書きました。
    いとはじイベント参加記念の小説です。
    どうしても12月23日の早いうちにアップしたかった(🎏ちゃんの誕生日を当日に思いっきり祝いたい)のでイベント前ですがアップします。
    お誕生日おめでとう!!!
    あなたの恋人がSEX以外に考えているたくさんのこと。鯉登音之進さんと月島基さんとが恋人としてお付き合いを始めたのは、夏の終わりのことでした。
    一回りほどある年齢の差、鹿児島と新潟という出身地の違い、暮らしている地域も異なり、バイトをせずに親の仕送りで生活を送っている大学生と、配送業のドライバーで生活を立てている社会人の間に、出会う接点など一つもなさそうなものですが、鯉登さんは月島さんをどこかで見初めたらしく、朝一番の飲食店への配送を終え、トラックを戻して営業所から出てきた月島さんに向かって、こう言い放ちました。


    「好きだ、月島。私と付き合ってほしい。」


    初対面の人間に何を言ってるんだ、と、月島さんの口は呆れたように少し開きました。目の前に立つ青年は、すらりと背が高く、浅黒い肌が健康的で、つややかな黒髪が夏の高い空のてっぺんに昇ったお日様からの日差しを受けて輝いています。その豊かな黒髪がさらりと流れる前髪の下にはびっくりするくらいに美しく整った小さな顔があり、ただ立っているだけでーーたとえ排ガスで煤けた営業所の壁や運動靴とカートのタイヤの跡だらけの地面が背景であってもーーまるで美術館に飾られる一枚の絵のような気品に満ちておりました。姿形が美しいのはもちろん、意志の強そうな瞳が人目を惹きつけ、特徴的な眉毛ですら魅力に変えてしまう青年でした。
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