かみすき
DONE綾人蛍お誕生日2024 今年もお祝いできて嬉しいよ
《綾人蛍》拗ねないで、愛しい人 近頃忙しくしているという蛍が、わざわざ小さな相棒をどこかに置いてまでして今晩は屋敷に泊まりたいと言い出すのだから、綾人もそれなりの何かを期待していたというのに。気落ちする感覚に自分が想像以上に浮かれていたことを今さら自覚しながら、廊下まで響いている少女たちのはしゃぐ声を聞いた。
もうかれこれ数時間、蛍は綾華の部屋へと足を踏み入れたきり出てこなかった。一応は湯浴みを済ませたらしい気配こそあったものの、夕餉を終えてから一度も顔を合わせていない綾人からすれば面白くなかった。
確かに蛍がここに顔を出すのは珍しいことではないし、綾華と夜ふかしをするのもいつものことだ。ただの平凡な日常といえばそうなる。
5077もうかれこれ数時間、蛍は綾華の部屋へと足を踏み入れたきり出てこなかった。一応は湯浴みを済ませたらしい気配こそあったものの、夕餉を終えてから一度も顔を合わせていない綾人からすれば面白くなかった。
確かに蛍がここに顔を出すのは珍しいことではないし、綾華と夜ふかしをするのもいつものことだ。ただの平凡な日常といえばそうなる。
天生麻菜
PROGRESS10月神ノ叡智12の新刊予定です。綾人蛍綾人で年齢制限あり。
蛍ちゃん攻め、綾人さん非童貞非処女描写があります。(挿入は綾人→蛍のみ)
綾人さんと姫蛍ちゃんの政略結婚から始まるお話。
このお話の続きにも年齢指定入ります。年齢制限ありサンプルもあげますがそちらはリス限になりますので、年齢表記の上お声がけください🙇♀️
私が私たちであるように 1 テイワットの七国へアビス教団より和平同盟が申し入れられた。しかしその内容は各国を困惑させるものであり、いずれの国も沈黙してしまうものだった。
長年七国と争いを続けてきたアビス教団。カーンルイアに存在しながら、すでにその勢力は別の国家といっても違いない。その最高指導者は金髪の双子であり、彼等からは王子と姫と呼ばれる存在である。見目麗しい双子は自国からも他国からも目を惹く存在であった。
教団からの申し入れはこうだ。曰く、和平の証としてアビス教団最高指導者である姫との婚姻を希望すると。
各国の神々はこの申し入れをどうするべきか測りかねていた。
モンドはそもそも風神バルバトスが国を収めていないため、西風騎士団や一部の貴族達が検討しているだろう。
6522長年七国と争いを続けてきたアビス教団。カーンルイアに存在しながら、すでにその勢力は別の国家といっても違いない。その最高指導者は金髪の双子であり、彼等からは王子と姫と呼ばれる存在である。見目麗しい双子は自国からも他国からも目を惹く存在であった。
教団からの申し入れはこうだ。曰く、和平の証としてアビス教団最高指導者である姫との婚姻を希望すると。
各国の神々はこの申し入れをどうするべきか測りかねていた。
モンドはそもそも風神バルバトスが国を収めていないため、西風騎士団や一部の貴族達が検討しているだろう。
かみすき
DONE綾人蛍人前でいちゃいちゃが似合うカプNo.1(調査数n=1)
《綾人蛍》見られて困ることでも? 「ここ、どこだと思ってるの」
「八重堂の前、ですが」
それが何かと盛大にとぼけた綾人さんは、逃げ回る蛍を捕まえて指を絡めようとする。もうほら、みんな見てるから。なんとか振り切って階段を駆け上がると、追いかけっこも楽しいと言わんばかりにからりと笑って着いてくる。
人前であんまりいちゃいちゃするのはやめようねって約束したじゃない。綾人さんだってわかりましたって頷いてくれたでしょう。
ため息と共に振り返れば、綾人さんは目が合っただけで嬉しいとばかりに破顔する。その瞳にこれでもかと滲む愛に気づかないわけじゃなくて、つい絆されそうになりながらも歩みを進めた。
そんな蛍の機嫌を取ろうと思案していたはずの綾人さんは、近くの屋台からの新商品だいなんて掛け声を聞いて磁石に吸い寄せられたようにそこに近づいていく。本当に仕方のない人ね。呆れながらその後を追いかけると、当たり前のように腰に手が回された。隙あらばすぐ触るんだから。おいたをする手を軽く叩いたところで綾人さんにはちっとも響かないらしく、むしろ体を撫でさすってはぴくりと震える蛍の反応を楽しんでいるようだった。
2160「八重堂の前、ですが」
それが何かと盛大にとぼけた綾人さんは、逃げ回る蛍を捕まえて指を絡めようとする。もうほら、みんな見てるから。なんとか振り切って階段を駆け上がると、追いかけっこも楽しいと言わんばかりにからりと笑って着いてくる。
人前であんまりいちゃいちゃするのはやめようねって約束したじゃない。綾人さんだってわかりましたって頷いてくれたでしょう。
ため息と共に振り返れば、綾人さんは目が合っただけで嬉しいとばかりに破顔する。その瞳にこれでもかと滲む愛に気づかないわけじゃなくて、つい絆されそうになりながらも歩みを進めた。
そんな蛍の機嫌を取ろうと思案していたはずの綾人さんは、近くの屋台からの新商品だいなんて掛け声を聞いて磁石に吸い寄せられたようにそこに近づいていく。本当に仕方のない人ね。呆れながらその後を追いかけると、当たり前のように腰に手が回された。隙あらばすぐ触るんだから。おいたをする手を軽く叩いたところで綾人さんにはちっとも響かないらしく、むしろ体を撫でさすってはぴくりと震える蛍の反応を楽しんでいるようだった。
かみすき
DONE綾人蛍だめって言ったらだめですよ若
《綾人蛍》 はい、いいえ、どちらでもない ぴたりと動かない蛍は四角の木枠に切り取られ、まるで絵画のようにそこにあった。障子戸を開けたそのまま、眩いばかりの光景をたっぷりと目に焼き付ける。
平時なら「綺麗なのは綾人さんのほうだよ」と目を細めるはずのその人は、今は流行りの小説に夢中らしい。
布団の上に投げ出された脚の柔らかさ。まろい頬にはらりと落ちる金糸。浮かぶ唇は淡く色づき、その煌めきは朝露を伴った花と見紛うようだった。
それも、よくよく見れば、少しずつ形を変えていく。そっと伏せられたまつ毛に蜂蜜色の大きな瞳は忙しなく震えて、文字を追いかけてくるくると踊る。華奢な指が紙を擦れば、ぴんと伸びたはずの背筋はどんどんと物語に吸い込まれて、次第に小さく丸く。
2316平時なら「綺麗なのは綾人さんのほうだよ」と目を細めるはずのその人は、今は流行りの小説に夢中らしい。
布団の上に投げ出された脚の柔らかさ。まろい頬にはらりと落ちる金糸。浮かぶ唇は淡く色づき、その煌めきは朝露を伴った花と見紛うようだった。
それも、よくよく見れば、少しずつ形を変えていく。そっと伏せられたまつ毛に蜂蜜色の大きな瞳は忙しなく震えて、文字を追いかけてくるくると踊る。華奢な指が紙を擦れば、ぴんと伸びたはずの背筋はどんどんと物語に吸い込まれて、次第に小さく丸く。
かみすき
DONE綾人蛍結ばれてハッピーな話
《綾人蛍》雨のちハレ 綾人が雨男なのか、蛍が雨女なのか、またはどちらも、かもしれない。
二人に添えられる大きな和傘は、ついに雨避けとしてここに開かれている。打ち付けた雫は端から零れ落ち、きらりと輝いた。跳ね返った雨が袴の裾を濡らす重さに、自然と背筋が伸びる。
彼に会ったのも、こんな雨の日だった。
綾人の行く手を塞いだ見知らぬ少年は、一目見ただけで例の"兄"だと察せられた。ゆったり開かれた瞼から覗く蜂蜜色は綾人が愛する色そのもので、しかし綾人を溺れさせたあの温度は持たない。
知っているものより少しだけ硬そうに見える金糸の髪を雨に濡らしながら、幾分か高い位置からの視線が綾人を捉えた。
「不幸にするつもりなら、返して」
2247二人に添えられる大きな和傘は、ついに雨避けとしてここに開かれている。打ち付けた雫は端から零れ落ち、きらりと輝いた。跳ね返った雨が袴の裾を濡らす重さに、自然と背筋が伸びる。
彼に会ったのも、こんな雨の日だった。
綾人の行く手を塞いだ見知らぬ少年は、一目見ただけで例の"兄"だと察せられた。ゆったり開かれた瞼から覗く蜂蜜色は綾人が愛する色そのもので、しかし綾人を溺れさせたあの温度は持たない。
知っているものより少しだけ硬そうに見える金糸の髪を雨に濡らしながら、幾分か高い位置からの視線が綾人を捉えた。
「不幸にするつもりなら、返して」
かみすき
DONE綾人蛍どう足掻いても結ばれない二人
ハッピーではない
《綾人蛍》 雨落石 雨樋を流れた水が地面を打つ音は、逢瀬を隠すのにはちょうどいい。湿気を含んだ蛍の髪を混ぜ、その身体を掻き抱いて、どうか降り止まないでくれと願いながら瞼を閉じる。
そんな綾人を憐れに思った天が気を遣ったのか、目覚めの時間にも関わらず、外はどんよりと暗いままだった。曖昧になった夜と朝の境目に部屋を去るきっかけを失い、ぼんやりと雨の音に耳を傾ける。木の葉が揺れる音も、鳥の声も、すべて等しくさあさあと飲み込んでいった。
絶えず響く音がうるさくて、それでいて静かで世界から切り離されたような空間。シーツを擦った蛍とぱちんと目を合わせたはずが、その瞳は、綾人の向こう側、どこかずっと遠いところを見ていた。
「いいの、行かなくて」
1877そんな綾人を憐れに思った天が気を遣ったのか、目覚めの時間にも関わらず、外はどんよりと暗いままだった。曖昧になった夜と朝の境目に部屋を去るきっかけを失い、ぼんやりと雨の音に耳を傾ける。木の葉が揺れる音も、鳥の声も、すべて等しくさあさあと飲み込んでいった。
絶えず響く音がうるさくて、それでいて静かで世界から切り離されたような空間。シーツを擦った蛍とぱちんと目を合わせたはずが、その瞳は、綾人の向こう側、どこかずっと遠いところを見ていた。
「いいの、行かなくて」
かみすき
DONE綾人蛍言わせたい台詞までの前置きが長い
《綾人蛍》今日のおでかけやめませんか 甘い小麦の香りに、じゅわっとしみたバター。最高の焼き加減に仕上がったさくふわのトーストを齧る。誰も見ちゃいないけれど、気取った表情も忘れずに。
そんな些細なおめかしに気を遣いながら、ミルクが溶けた柔らかい色の紅茶を一口啜れば、優雅な朝食の完成だ。
デートの日の朝は、少しだけ背伸びをする。少しでも、綾人に相応しい、お淑やかな大人の女性になれるように。
そうしておすまし顔の蛍は、その一方で頭の中はぐるぐると悩んでいた。
今日の服、どうしよう。今日のために新しく買ったワンピースか、綾人が褒めてくれたお気に入りのスカートか。背伸びしてお姉さんらしいワンピースを着たい気持ちもあるけれど、これは綾人の好みだろうか。やっぱり綾人に可愛いと思ってもらえる服がいい。
2112そんな些細なおめかしに気を遣いながら、ミルクが溶けた柔らかい色の紅茶を一口啜れば、優雅な朝食の完成だ。
デートの日の朝は、少しだけ背伸びをする。少しでも、綾人に相応しい、お淑やかな大人の女性になれるように。
そうしておすまし顔の蛍は、その一方で頭の中はぐるぐると悩んでいた。
今日の服、どうしよう。今日のために新しく買ったワンピースか、綾人が褒めてくれたお気に入りのスカートか。背伸びしてお姉さんらしいワンピースを着たい気持ちもあるけれど、これは綾人の好みだろうか。やっぱり綾人に可愛いと思ってもらえる服がいい。
かみすき
DONE綾人蛍スキルで気持ちよく戦ってると気づいたら重傷で毎度びっくりする
《綾人蛍》なんとかの功名? 屋敷の門をくぐり、心配そうな顔をする部下たちをどうにか躱して私室にたどり着く。夕暮れ時の薄暗い廊下にぼんやりと明かりが漏れ出していた。持ち主がいないのに邪魔できないよ、と遠慮してばかりだった蛍がようやく踏み入れてくれたようだ。
顔を見るのは二週間ぶりだろうか。愛しい人の出迎えを想像すれば勝手に疲れも飛んでいくというもの。年甲斐もなくはしゃぎたくなる気持ちを押し込めながら戸を引いた。
「綾人さん! おかえりなさい、お邪魔してます」
「ええ、ただいま帰りました」
振り返った彼女はうきうき声を弾ませたかと思えば、一瞬で表情を曇らせる。立ち上がってばたばた足音を鳴らしながら近づいてきた。
「また怪我してる!」
2229顔を見るのは二週間ぶりだろうか。愛しい人の出迎えを想像すれば勝手に疲れも飛んでいくというもの。年甲斐もなくはしゃぎたくなる気持ちを押し込めながら戸を引いた。
「綾人さん! おかえりなさい、お邪魔してます」
「ええ、ただいま帰りました」
振り返った彼女はうきうき声を弾ませたかと思えば、一瞬で表情を曇らせる。立ち上がってばたばた足音を鳴らしながら近づいてきた。
「また怪我してる!」
天生麻菜
PROGRESS自分への尻だたきに。5月の叡智で出す綾人蛍のお話。
綾人さんに許嫁の話がでて、裏に潜まれた策略を蛍ちゃんに許嫁のフリをしてもらい探すことになるが…といったお話。本編は3部構成。本になる時は今まで書いた前後のお話の再録とその後のお話2つを書き下ろし予定です。
監禁の話でもあるので苦手な方はご注意ください。
2以降はR-18の内容を含むのでフォロ限にさせて頂きます。
idola1(綾人蛍)equal
パキン、と固い金属音が室内に響く。
音を立てて壊れた銀の輪は、無機質に、重力に逆らうことなく床へと転がり落ちた。
それは、枷だ。自らの首に嵌められていたそれは、逃げられないようにとこの優しく歪な鳥籠に閉じ込めるために付けられていた。突然壊されたそれを、少女は呆然と眺めることしかできない。目の前に立つ淡い水色の髪を持つ男性は静かに愛刀を携えていたが、宙へ手放すと刀は虚空へ光となって消える。
銀の輪は彼によって破壊された。彼に、付けられたのに。
「……これで、貴方は自由です」
彼女を見つめる瑠璃色の瞳には葛藤と執着と、隠し切れない情が見えている気がして。
この人の瞳は、こんなにも感情がわかりやすかっただろうか、と呆然とした思考のまま少女は思う。
15886パキン、と固い金属音が室内に響く。
音を立てて壊れた銀の輪は、無機質に、重力に逆らうことなく床へと転がり落ちた。
それは、枷だ。自らの首に嵌められていたそれは、逃げられないようにとこの優しく歪な鳥籠に閉じ込めるために付けられていた。突然壊されたそれを、少女は呆然と眺めることしかできない。目の前に立つ淡い水色の髪を持つ男性は静かに愛刀を携えていたが、宙へ手放すと刀は虚空へ光となって消える。
銀の輪は彼によって破壊された。彼に、付けられたのに。
「……これで、貴方は自由です」
彼女を見つめる瑠璃色の瞳には葛藤と執着と、隠し切れない情が見えている気がして。
この人の瞳は、こんなにも感情がわかりやすかっただろうか、と呆然とした思考のまま少女は思う。
かみすき
DONE綾人蛍Twitterにて画像でぽいぽい投げたもののまとめです
お誕生日おめでとうございます
《綾人蛍》何でもお願いを叶える券「何でもお願いを叶える券、ただし誰かが悲しくなることはなし、私が恥ずかしいことはなし」
それはもう何でもではないのでは、という問いかけは、いいのいいの! と軽く流されてしまった。
有効期限が今日限りの、画用紙を切り取っただけの小さな紙切れ。今日受け取ったものの中で一番価値がなくて、それでも綾人にとっては十分な魅力がある。
「では、これからもずっとお願いを叶えていただけるように、で」
「それはだめ」
「そのような注意書きはありませんよ」
「だめだよ! 子どもじゃないんだからわかるでしょ」
幼い頃に作った、肩たたき券を思い出す。だいたい十枚綴りで、有効期限はなし。「た」の数がわからなくて、多かったり少なかったり。誕生日やら母の日父の日やら、何かにつけそれを渡していたから、きっと100回分はあったんじゃないだろうか。
3002それはもう何でもではないのでは、という問いかけは、いいのいいの! と軽く流されてしまった。
有効期限が今日限りの、画用紙を切り取っただけの小さな紙切れ。今日受け取ったものの中で一番価値がなくて、それでも綾人にとっては十分な魅力がある。
「では、これからもずっとお願いを叶えていただけるように、で」
「それはだめ」
「そのような注意書きはありませんよ」
「だめだよ! 子どもじゃないんだからわかるでしょ」
幼い頃に作った、肩たたき券を思い出す。だいたい十枚綴りで、有効期限はなし。「た」の数がわからなくて、多かったり少なかったり。誕生日やら母の日父の日やら、何かにつけそれを渡していたから、きっと100回分はあったんじゃないだろうか。
かみすき
DONE綾人蛍裏テーマは足癖の悪い若
《綾人蛍》それ、お姫様だっこって言います綾人さんに付いてきてもらったのは正解だったかもしれないと、伸された宝盗団に囲まれて思う。その宝盗団と同じようにくたりと地面に倒れながら。
全身の力がすっと抜けて動けない。噂には聞いていたけど、ここまで効果が強すぎる薬品が出回っているなんて大問題だ。だからこそ蛍が駆り出されたわけだけど。
刀を納めた綾人さんは、そっと蛍を抱き上げて眉を顰めた。ごめんなさい。なんとか力の入る腕でしがみつきながら謝罪をする。
「お怪我はありませんか」
「うん、薬品被った以外は大丈夫」
「それは大丈夫とは言いませんよ」
縋りついて命乞いをする男を長い脚で蹴飛ばし、宝盗団の山を抜けていく。横抱きのままゆさゆさ揺らされて、どこからか現れた綾人さんの部下達が手際よく処理していくのを遠ざかりながら眺めた。
2033全身の力がすっと抜けて動けない。噂には聞いていたけど、ここまで効果が強すぎる薬品が出回っているなんて大問題だ。だからこそ蛍が駆り出されたわけだけど。
刀を納めた綾人さんは、そっと蛍を抱き上げて眉を顰めた。ごめんなさい。なんとか力の入る腕でしがみつきながら謝罪をする。
「お怪我はありませんか」
「うん、薬品被った以外は大丈夫」
「それは大丈夫とは言いませんよ」
縋りついて命乞いをする男を長い脚で蹴飛ばし、宝盗団の山を抜けていく。横抱きのままゆさゆさ揺らされて、どこからか現れた綾人さんの部下達が手際よく処理していくのを遠ざかりながら眺めた。
かみすき
PAST綾人蛍爪を切りそろえる話
≪綾人蛍≫獲物を仕留めるための書類の山を片付ける綾人さんの横で、手に入れたばかりの本を開く。ふと一言二言ぽつりと会話をして、また目の前の文字に向き合う。
綾人さんと一緒に過ごそうと思ったら、これが一番手っ取り早い。綾人さんが忙しくて時間が合わないなら、仕事の時間をそれに当ててしまえばいい。
もちろん、恋人らしくないとか冷めてるとか言われることもあるけれど。小鳥の鳴き声と、時おり誰かが廊下を歩く音。そして綾人さんが墨を磨る音を聞きながらぱらりと本を捲る。蛍はそんな時間が好きだった。
暇があればあちこちに足を伸ばしたくなってじっとしていることの方が少ないけれど、ここで穏やかな空気を味わうのもなかなかいい。
「そうだ。今晩、お時間はありますか」
2007綾人さんと一緒に過ごそうと思ったら、これが一番手っ取り早い。綾人さんが忙しくて時間が合わないなら、仕事の時間をそれに当ててしまえばいい。
もちろん、恋人らしくないとか冷めてるとか言われることもあるけれど。小鳥の鳴き声と、時おり誰かが廊下を歩く音。そして綾人さんが墨を磨る音を聞きながらぱらりと本を捲る。蛍はそんな時間が好きだった。
暇があればあちこちに足を伸ばしたくなってじっとしていることの方が少ないけれど、ここで穏やかな空気を味わうのもなかなかいい。
「そうだ。今晩、お時間はありますか」
かみすき
PAST綾人蛍バレンタインデーの話
≪綾人蛍≫先に食べてよバレンタインデーは女性から男性に、チョコレートなんかのプレゼントを渡して愛を伝える日だと聞いたのは2日前。しかも、恋人や好きな人に渡すのは手作りが一般的だとかで、慌てて用意したのだ。
手作りで、というから豆から作ろうとしたらお店のお姉さんに止められてしまった。
そうして出来上がったチョコレートトリュフは半分近くパイモンに吸い込まれていってしまったけど、どうにか死守した残りは丁寧にラッピングされて、綾人さんの元まで辿り着いた。
ところでその綾人さんの話だけど。
蛍にはこれまで恋愛の経験がないから、何が普通なのかはよくわからない。でもたぶん、綾人さんはちょっと変なんだろうな、と思っている。
今だってほら、箱を受け取ったのに、なぜか蛍を膝の上に抱えて離さない。普通ものを貰ったらそのまま開封して、素敵ですねとか、嬉しいですなんて話をすると思うんだけど。チョコレートより貴方を、とはならないんじゃないかな。
2033手作りで、というから豆から作ろうとしたらお店のお姉さんに止められてしまった。
そうして出来上がったチョコレートトリュフは半分近くパイモンに吸い込まれていってしまったけど、どうにか死守した残りは丁寧にラッピングされて、綾人さんの元まで辿り着いた。
ところでその綾人さんの話だけど。
蛍にはこれまで恋愛の経験がないから、何が普通なのかはよくわからない。でもたぶん、綾人さんはちょっと変なんだろうな、と思っている。
今だってほら、箱を受け取ったのに、なぜか蛍を膝の上に抱えて離さない。普通ものを貰ったらそのまま開封して、素敵ですねとか、嬉しいですなんて話をすると思うんだけど。チョコレートより貴方を、とはならないんじゃないかな。
かみすき
PAST綾人蛍全年齢の出られない部屋
≪綾人蛍≫セックスしないと出られない部屋身支度を済ませて彼女が待つ寝室へと入れば、何故か立ち尽くしたままの蛍と目が合った。途端に慌てる彼女を不思議に思いながらも、ひとまず扉を閉めようと振り返る。閉めた先には何やら白い紙。ちまっとした文字で何か書かれている。蛍の筆跡か。
『セックスしないと出られない部屋』
ほう。
彼女を見やればふいと目を逸らされる。顔を覗き込もうとしてもくるりと背を向けられて、その先を綾人が追いかけるものだから、蛍はぐるぐる逃げては回転してみせる。
「蛍さん」
「……なあに」
肩をつかんで止めさせれば、俯いたまま返事が返ってきた。頬に手を添えれば顔を見られることを恐れたのか、ぎゅうと抱きついてくる。今日はずいぶんと大胆だ。
「説明していただいても」
1936『セックスしないと出られない部屋』
ほう。
彼女を見やればふいと目を逸らされる。顔を覗き込もうとしてもくるりと背を向けられて、その先を綾人が追いかけるものだから、蛍はぐるぐる逃げては回転してみせる。
「蛍さん」
「……なあに」
肩をつかんで止めさせれば、俯いたまま返事が返ってきた。頬に手を添えれば顔を見られることを恐れたのか、ぎゅうと抱きついてくる。今日はずいぶんと大胆だ。
「説明していただいても」
かみすき
PAST綾人蛍ハンドクリーム出しすぎちゃった
≪綾人蛍≫ハンドクリームの話じゃない話「ハンドクリーム出しすぎちゃった、ちょっと貰ってくれる?」
「またかー? しょうがないなあ」
そんな会話が聞こえて目を向ければ、旅人さんがパイモンさんの手にすりすりとクリームを塗り込んでいるところだった。またか、なんて言いながらも、ふたりで手を握りながらきゃっきゃと笑い合う様子は微笑ましい。
剣を握りながらもすべらかさを忘れない手はああして保たれているようだ。
ふわりと届いた上品な花のような香りは最近の妹と同じもので、なるほど旅人さんからのプレゼントだったと。仲が良いのは良いこと。綾華もこんなことがあってと教えてくれればいいのに、とは思うが。
考え事をしていれば無意識のうちにふたりをじっと見てしまったようで、それに気づいた旅人さんがこちらを見やる。
1918「またかー? しょうがないなあ」
そんな会話が聞こえて目を向ければ、旅人さんがパイモンさんの手にすりすりとクリームを塗り込んでいるところだった。またか、なんて言いながらも、ふたりで手を握りながらきゃっきゃと笑い合う様子は微笑ましい。
剣を握りながらもすべらかさを忘れない手はああして保たれているようだ。
ふわりと届いた上品な花のような香りは最近の妹と同じもので、なるほど旅人さんからのプレゼントだったと。仲が良いのは良いこと。綾華もこんなことがあってと教えてくれればいいのに、とは思うが。
考え事をしていれば無意識のうちにふたりをじっと見てしまったようで、それに気づいた旅人さんがこちらを見やる。
天生麻菜
DONE恋人同士の綾人蛍。蛍ちゃんがちょっと純粋無垢すぎて性事情を知らないお話。
一応フォロー限定にさせていただきます。
生命はどこから? 「綾人さん、子ども産んで?」
突然の恋人の発言に綾人は筆を持ったままピシリと固まった。先日恋人になったばかりの彼女は、今までの茨道をどう通ってきたのだろうと思うほどに初々しい反応を見せていた。
口づければ顔を真っ赤にして固まってしまうし、抱き寄せれば身体が岩になってしまったのかと思うほど硬直させている。ゆっくりと段階を踏んで、何度も触れてきてやっと綾人の腕の中で緊張しつつも幸せそうに笑みを浮かべるようになったのだ。それが、何故こんな話になったのだろうか。
「…蛍さん?どうして突然そんなことを?」
内心の焦りを表情に出さないようにしながら、彼女に問えば蛍は花が萎れたかのように表情を暗くして口を開いた。
1195突然の恋人の発言に綾人は筆を持ったままピシリと固まった。先日恋人になったばかりの彼女は、今までの茨道をどう通ってきたのだろうと思うほどに初々しい反応を見せていた。
口づければ顔を真っ赤にして固まってしまうし、抱き寄せれば身体が岩になってしまったのかと思うほど硬直させている。ゆっくりと段階を踏んで、何度も触れてきてやっと綾人の腕の中で緊張しつつも幸せそうに笑みを浮かべるようになったのだ。それが、何故こんな話になったのだろうか。
「…蛍さん?どうして突然そんなことを?」
内心の焦りを表情に出さないようにしながら、彼女に問えば蛍は花が萎れたかのように表情を暗くして口を開いた。
天生麻菜
DONEリクエストいただいたものです。ちょっと特殊性癖…?のためお気をつけください。
R-18のため18歳未満の方はブラウザバックしてください。
・乳吸い(どっちも)
・猫の日
以上が含まれます。 7632
サナエ
MEMOプロットがてら随時更新※綾人実装で始めた初心者旅人のため、矛盾が含まれます※
綾人蛍つぶやきまとめ うちは蛍ちゃんのお胸をみてもわたしのとこの綾人さんは(同じ年頃の妹を持つものとして、心配になりますね…)🤔と兄心が刺激されるだけだったな
ベタだけど綾華ちゃんに選んでもらった着物を着せてもらった蛍ちゃんをみて、せっかくですしとお散歩をとお祭りを見て歩いているうちに履き物の鼻緒が切れて、綾人さんに手当てしてもらって鼻緒を結び直してもらう綾人蛍ちゃん
綾人さんの机の上にトーマや綾華ちゃんのメモ書きと一緒に蛍ちゃんの伝言も混ざるようになって、会えない日もそのメモをみて、蛍ちゃんがどう過ごしているかを知り、返事を渡してもらったり、小さな文で文通のようなやりとりをするようになって、日持ちする焼き菓子や飴も添えられるようになる綾人蛍
1302ベタだけど綾華ちゃんに選んでもらった着物を着せてもらった蛍ちゃんをみて、せっかくですしとお散歩をとお祭りを見て歩いているうちに履き物の鼻緒が切れて、綾人さんに手当てしてもらって鼻緒を結び直してもらう綾人蛍ちゃん
綾人さんの机の上にトーマや綾華ちゃんのメモ書きと一緒に蛍ちゃんの伝言も混ざるようになって、会えない日もそのメモをみて、蛍ちゃんがどう過ごしているかを知り、返事を渡してもらったり、小さな文で文通のようなやりとりをするようになって、日持ちする焼き菓子や飴も添えられるようになる綾人蛍
penpen91420
DONEまだ恋じゃない綾人と蛍の話【綾人蛍】この想いは発達途上穏やかな人だと思った。
纏う空気は凪いだ水面のように落ち着いていて、
妹を見る目はどこか懐かしくて。
その目が、今は行方知れずになっている兄の面影に重なる。そばにいると落ち着くけれど、時折心がざわつく。
そんな印象の人。
◾︎ ◾︎ ◾︎
神里屋敷前、ヒラヒラと舞う桜の花びらをぼんやりと見上げながら待ち人を待つ。屋敷の方から喧騒が聞こえてきて、やっぱりまだ忙しそうだなぁと溜息を吐いた。
久しぶりにゆっくりお休みが取れたから
どこか遊びに行きたいと頬を赤く染めた綾華に言われたのは数日前。社奉行はここ最近忙しそうにしていたから、折角のお休みなのに連れ歩いていいものかと考えたけれど、本人たっての望みだし、気分転換に外を歩くのも悪くないだろうと了承した。今はその綾華の準備待ちだ。
5263纏う空気は凪いだ水面のように落ち着いていて、
妹を見る目はどこか懐かしくて。
その目が、今は行方知れずになっている兄の面影に重なる。そばにいると落ち着くけれど、時折心がざわつく。
そんな印象の人。
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神里屋敷前、ヒラヒラと舞う桜の花びらをぼんやりと見上げながら待ち人を待つ。屋敷の方から喧騒が聞こえてきて、やっぱりまだ忙しそうだなぁと溜息を吐いた。
久しぶりにゆっくりお休みが取れたから
どこか遊びに行きたいと頬を赤く染めた綾華に言われたのは数日前。社奉行はここ最近忙しそうにしていたから、折角のお休みなのに連れ歩いていいものかと考えたけれど、本人たっての望みだし、気分転換に外を歩くのも悪くないだろうと了承した。今はその綾華の準備待ちだ。