その花はそのギタリストの髪には常にとある花の髪留めがつけられていた。大きく、綺麗なその髪留めはかつての人を忘れない為の言わば形見のようなものだった。
ギタリストはある女性と同棲していた。体が小さくよく子供扱いをされていたギタリスト、もちろん嫌だったがその女性になら子供扱いされても何故だか心地良かった。
楽しい日々が何年も続いていたある日、帰宅するとテーブルの上に花瓶に一輪の花が。
「どうしたんだ?この花」
「おかえり、キレイでしょ?アネモネっていうお花なのよ」
「ふーん、綺麗な赤色だな」
珍しいな、と言うのが最初の感想だった。その後も花瓶には様々な花が生けられていった。この花は何の花かを聞くと嬉しそうに説明する姿が愛おしくも思えた。
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