Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    n5_jt4

    @n5_jt4

    自分だけが楽しい話を垂れ流すbot。
    溜まったら支部にもまとめる予定

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💞 🍙 🍻
    POIPOI 64

    n5_jt4

    ☆quiet follow

    【今後尾月になる予定】先日書いた魔法中年マジかマジさです。単に記録で残してるので中身そのまま。もうちょっと書いてみようかなあと思ってるやつだけどどうなるか。最近出オチネタの冒頭しか書いてない。

    #尾月
    tailMoon

    魔法中年マジか、マジさ※全方位にまず土下座しておきます。これはギャグです。某魔法少女のパクリタイトルですが似ても似つかないものです。





     これは一体どういうことなのだろう。
     着ているスーツはもうボロボロだ。通勤鞄は何処かに飛んでいった。中にあった資料のコピーは職場に残してあっただろうか。
    「うぁッ!?」
     そう考えている月島の真横に大きな衝撃、吹き飛ばされて強かに壁に背中を打ち付けた。口の中に血の味が滲む。ぶつかった壁は赤茶色だがあちこち絵の具をごちゃごちゃに混ぜたような奇っ怪な色合いをしている。小さな体育館ほどの広さの空間だ。
     目の前で星が飛ぶ感覚に頭を振る。なんとか身体を起こして目を向けた先では膝をつく、杉元と剣を杖に何とか立っている鯉登の姿。
     二人は予てからの友人だ。
     着ている服は月島のスーツ同様ボロボロではあったが、それぞれにフリルのついたふわふわで丈の短いスカートからドロワーズが覗いている。袖も同様にフリルがついており、杉元はオレンジがかった赤、鯉登は深い紫色をベースにしている。ところどころ違うが意匠はほぼ同じだった。自分より少し年下のいい歳をした男二人が女装しているのだが、今は服装についてどうこうは言うまい。攻撃を受けて血塗れになっているのだから。
     三人の前に立ち塞がる異形は古い絵本から絵を取り出し、ごちゃごちゃに混ぜた実態のないように見える物体だった。平面の背景から鋭い触手が地面を抉るように突き立てられ、土煙を上げる。狙われた鯉登はなんとかそれを地面を蹴って高く跳ぶことで避け、持っていた刀を大きく振りかぶり猿叫と共に振り下ろす、鈍い音を立てそれは分断され、切り離された側は霧散するがすぐにそこから触手が復元していった。
    「ちっ、キリがないぞ、杉元ぉッ!」
    「わーってるよ!」
     怒鳴る鯉登に杉元は怒鳴り返す。追撃してくる触手の攻撃を避けながら懐に入り込もうとするが如何せん数が多く思ったようにいかないようだった。
    「さぁて、どうします?あの二人はそろそろ限界だ」
     なんとか動けるようになった月島の側に、黒猫が一匹歩み寄る。低い声はそこから出ていた。憎々しげに月島はそちらを睨みつけた。
    「おっと。そんな怖い顔で見ないでくださいよ、ちびっちまうでしょう」
    「どの口が言いやがる」
    「善良な一匹の猫ですよ、ちょっと人に力を与えられるだけのね」
     尻尾を揺らし愉しげに言う猫の両顎には傷跡があった。表情が変わる訳では無いが首元につけた鈴がちりんと涼しげに音を鳴らすのが酷く場違いだと月島は感じた。
     また一つ、大きな攻撃。地面が揺れる。床面に開いた大きな穴から這いずり出る杉元は満身創痍だが、こちらをちらりと見て叫ぶ。
    「おい、オガニャン!!月島に余計なこと言うな!こいつは俺と鯉登でなんとかするって言ってんだろ!」
     黒猫、オガニャンは大きなため息を付いて首をわざとらしく振って鼻で笑う。
    「どうにか出来てねえからスカウトしてんだろうよ」
    「月島ぁんっ!オガニャンは無視していろ、碌な目に合わんぞ!!」
     杉元の声に弾かれるように鯉登が続く。その間に数本の触手を切り落とすが勢力を落とすには足りなかった。
     そうこうしているうちに、もう一撃、煩い虫を払うような触手の攻撃に鯉登、杉元双方が壁に叩きつけられる。
    「杉元ッ、鯉登……ッ!」
     月島の叫びにオガニャンは音も立てずに座り込む月島の足元に頭を擦り寄せた。
    「まあ、俺としましては。ここであんたら全員死んでも次を見繕えばいいだけなんで。どうします?ここで死ぬか、それとも」
     わざとらしく言葉の最後に、にゃぁんと甘ったるい鳴き声を残して黒猫は立てた尻尾を揺らした。
    「あ、リスクはきちんと言ってますから。聞いてないはききませんぜ」
     月島は黙り込んで目を伏せている。暫しそれを猫は見上げていたが、色よい返事が聞けそうにないと思ったのか興味をなくしたように背を向ける。
     その向けた背に月島は手を伸ばし、尻尾を鷲掴み引っ張った。
     ぎゃん、と悲鳴があがるが気にせずに顔の前に持ってくると鋭く睨みつけながら口を開いた。
    「わかった、なってやる。あの二人を死なせるよりいい」
     尻尾を捕まれだらんと垂れ下がったままのオガニャンに月島は言うと、にんまりと口元を緩めてするりとその拘束から抜けて地面に降り立つ。離したつもりはなかったため、月島は少し驚いたように自分の手を見つめた。
     ふわり、と身体が浮く感覚に月島は包まれる。
     次の瞬間、何かから押し出されるように地面に降り立った。
     反射的に自分の姿を顧みる。
     ああ。
     助けるためとは言え、真っ先に後悔が過った。
     薄い緑色を基調した衣装は、フリルや形が今目の前で身体を張っている杉元、鯉登と同系統だったからだ。手首までの白い手袋にも勿論レースのフリル。足元はヒザ下までの編み上げブーツ。髪を飾りで彩っている二人と違うのは大きな鍔のリボンがついた帽子を被っていることくらいが大きな違いだった。
    「一応、聞くが」
    「制服なんで、みんな一緒ですよ。諦めてください」
     一度イラつきのまま猫を足で蹴ってから二人の元へ駆け出した。
     虐待ではない。どうせこいつは沢山代わりがいて、そもそも蹴ったくらいじゃ死にはしないのを十分知っているからだ。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏😊😊😊💖💖💖💞💞💞🍼
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works