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    hathiovo

    @hathiovo

    鍵は全てぴっしぶちゃんに置いてあるジクオメガバあとがきに書いてある芸能人の名前でーす!

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    hathiovo

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    映画に焼かれたテンション&バスの時刻表見間違えて思いっきり無駄に時間が出来て悔しいので書きました。

    こうやってSSSを書いて、昔のアニメ見つつ自習練して行こうと思います~!

    #雑伊

    君を迎えに来てるんだよ「タソガレドキにおいでよ、歓迎会張り切るよ」

    「……6年生に軽々しく言うことじゃないですよ」



     失言だったのだろう。

     先程まで穏やかだった空気が一変して寒々しい空気になったことで伊作は自分が発言を過ったのだと気づいたがもう取り消せない。
     この人があまりに穏やかに笑って伊作たちの元へと遊びに来るから忘れていた。

     彼が、威圧するだけでその場を制圧出来る実力者であると言うことを。

     いつもは穏やかに笑む雑渡が時折見せる底知れぬ、闇を思わせる瞳を伊作は恐ろしく思う。
     ああ、しかし伊作が恐れているのは雑渡の実力や怒気ではない。
     失望されてしまったかもしれない、或いは呆れられているかもしれないと思えばもう雑渡の顔を見上げることが出来なかった。

     ああ、ああ。
     いっそ溜息でも良いから落として欲しい。
     こんな空気を纏いながら何も言ってくれないことが今は只管に恐ろしいのだ。
     
     いつまでも何も言わない雑渡を恐る恐ると見上げれば先程のほの暗い瞳をしていた人間とは思えないほど穏やかな光を湛えて伊作を見下ろす男が居た。
     穏やかな雰囲気に安堵して良いものかと、いいや、あの時見た闇こそが雑渡の本意なのではと。
     雑渡の顔色が何色なのかが底知れなくて怖いのだ。泣きじゃくって怖いと泣ける年齢はとうに終えた。

    「伊作くんは、」

     ああ、雑渡の声が優しい。
     きっと怯えた伊作にも気づいているのだろう。
     良かったきっと、いつも通りこの場を和ませるようにしてくれるはず、そう。

    「私のこと、怖い?」

     訳もなく、雑渡を信じていたから。
     だから雑渡にこんな風に聞かれるなんて想像もしていなかった。
     今、怯えていることを知られている相手に手放しで怖くはないと答えるのは果たして正解なのか?

    「怖くなど、」

    「本当に?」

     今日はやけにしつこいなと感じたが、心当たりが無いわけではないのだ。
     最近良く誘いに来た理由を少し考えれば思い当たるくらいには目の前の大人は伊作の前にやってくる度に肝心な感情を露骨に見せびらかして来た。
     普通は隠したり照れたりするものだろうと思う感情もしっかりと見せて、しかし引くところは引くという大人の手練手管で伊作を翻弄するのでいつの間にか心の中で図々しく棲み付いていた。嫌な大人だ。

    「私ってば伊作くんのことが大好きなんだけど、それは困る?」

     伊作はこの問いに対する答えなど持ち合わせていないし、この問いに答えることで齎されるものが想像できない。
     だから怖い、間違えてしまったらと怯えている。いっそもう逃げてしまいたいけどそれこそが一番の不正解であることは理解している。
     伊作は雑渡への感情を未だに理解できない。ただ、ずっと傍には居たい。それだけではいけないのだろうか?

    「えーっと……?」

     質問に質問で返すというのは果たして逃げには該当しないのか?
     直接的な言葉を告げてこの状況が進展するのが怖いし、今日は逃げ道を用意してくれない雑渡も怖い。
     きっとそんな伊作に気づいているのに、こうやって詰めて来るのは何故なのか?子供相手だからといつもなら加減をしてくれるのに。
     伊作は恐らく、雑渡が好きだ。ただその好きが仲間たちに向けた好きとの違いがわからず、雑渡の言う好きの種類もわからないから怖いだけ。
     そうして悩んでいる内に雑渡が伊作の手の届かないどこかへと行くのも怖い。
     だからいつも通りに過ごしたいだけ。
     いつも通りで良いではないかと願っているだけなのに。

     伊作は再度勇気を出して恐る恐ると上目遣いに雑渡を見上げる。
     いつも通りの雑渡を望む伊作だったが、そこにはいつもの雑渡の笑顔はなかった。
     先程の闇を思わせるような、底なしの沼のような雑渡の瞳はまるで闇夜、月明かりを弾いて光る刃の如く鋭く冷たい。

    「あの、その……、」

     また間違えたのだ。あの質問には言葉を返さないといけなかった。
     正直にわからないのだ、答えを教えてくれと言えば雑渡は許してくれるのか?
     いつものように逃げ道を用意してくれて、またいつも通りに笑ってくれるだろうか、もう許して欲しいのに。

     それは無い、それだけはわかった。

     雑渡はこんな時も露骨に、わかりやすく、逃げ道は無いのだと纏う雰囲気だけで教えてくれている。
     どんな形でもいいから焼き付けようと、逃がしはしないとばかりに詰め寄って来る。怖い。

     伊作は困っている、雑渡の言う困るとは違う場所で困っていた。
     子供のように思考停止で泣いて同情を引くようなことはしないが、いっそでも泣いたら許してくれるだろうか。

     どうしたらいいのか、正解はどこか。
     なんて答えればこの場は丸く収まるのか、いっそこの場に誰かやってきたらいいのに。
     いいやきっと、この大人はそれすらも考えて対策しているに違いない。きっと誰も来ないのだ、ここには。

     なんて言えば良い?
     雑渡の気持ちは嬉しいのかもしれないが、受け取るのが怖い。伊作には理解できない好きだったから。
     同じ好きじゃなかったとき、取返しが付かないかもしれない、傷つけるのが怖い。傷つくのだって怖い。
     でも、こうやって遊びに来て欲しいのだ。
     一緒に笑って、無駄話して、同じ時間は共有したい。
     何かを言わないといけないが、考えれば考えるほどに何を伝えたら良いものか。

     困りません。

     そう伝えたら良いのだろうか?

     そうしたら、その後は?
     
    「……はぁ、」

     伊作が混乱している間に、ついに雑渡のため息が落ちてきた。
     あの時はせめてため息が欲しいと願ったが、実際ため息を落とされると全身が底冷えする。
     やはり失望されたのかと。呆れられて、もうこの場所にはやって来なくなるかもしれない、会えないかもしれない。

     いやだ、いやだ。

     会えなくなるのは嫌だ、引き留めなくては、引き留めるだけの何か、伊作にはあっただろうか?

     どうして、なんで。

     こんな状況なのにこの口は愚鈍で、舌はまるで回ってはくれないのか。

    「おりこうさん、正解だよ」

    「え?」

    「まあ、ズル賢いとも言うけどね」

     想像もしていなかった言葉に伊作はギクリと肩を震わせる。全身の血の気が引くように、息が苦しいような。
     驚いた、という自覚すら持たせてもらえずただ呆然とする伊作の頤を人差し指だけで持ち上げて、強制的に雑渡を見上げる形をとらされる。
     そこに現れたのはいつも通りの穏やかな雑渡だったのに、そのはずなのに、何故か伊作の前に居たのは知らない男だった。

     いつもの雑渡ではないのだと。
     そう知らしめるかのように、ゆっくりと頬を撫でる男があまりに恐ろしくて。

    「……好いてくる男に気持ちを無闇に差し出してはいけない、断ってもいけない。もしこれが誰に教わったわけでもなく自然に行ったなら末恐ろしいね」

     伊作は混乱していた。
     ああ、いつもの雑渡はどこにいる。
     この男は誰なのか、時間が流れた分だけ雑渡が遠ざかるのは何故なのか。

    「君は、一番賢い選択をしたんだよ。飼い殺しっていう」

     瞠目する伊作の顔を見て雑渡は愛おしいのだと、焦がれているのだと微笑んでいる。
     隠そうとも臆すこともなく大層愛おしそうにして伊作の頬を両の手で包み込む。
     まるで愛を囁くように、何を言っているのか。
     雑渡が言わんとするものがなにか、伊作には何もかもわからない。
     伊作が今度こそ雑渡自身に怯えているのに、雑渡は笑んでいた。
     それが怖いのだと今にも逃げ出しかねない伊作を見て、男は一層嬉しそうに笑っている。

    「君の言葉や行動ひとつに一喜一憂してるんだよ、私。君に恋焦がれている大の大人は滑稽でしょ?」

     言いながら雑渡は伊作の唇を指でなぞって、己の唇を口内に引き入れ舌でなぞる。
     そうして予約をするように、覆面越しに伊作に口づけをひとつだけ。
     一生囚われてやると言っているのだからこれくらいは安いものだろう。

     しかし伊作は今この瞬間、気づいてしまった。
     本当に囚われているのも焦がれているのも雑渡ではないのだと。
     男が仕掛けた罠に、とっくの昔に嵌っていたのだ。

     気づかない内に、知らず知らずに。
     飼殺されているのは、本当はきっと。

     相変わらず雑渡の瞳は計り知れず、今もいつもとは違う男のようだった。
     伊作には底知れない男、それだけがいつも通りで。
     先程まではそれが怖くて怖くて。
     それなのに今は彼を見ても恐ろしくは無かった。
     恐ろしくはないどころか、この奇妙な甘い緊張はなんと形容しようか。

     答えが出ている、直ぐそこまで。
     きっとこの男が齎したもの。

     雑渡は、いつから伊作に罠を仕掛けていたのだろう?

     いつだって雑渡は伊作へと両手を広げていたし、逃げ場など既に無かったのだろう。
     用意されていたと思っていた逃げ場は全て雑渡の手の届く場所だった。
     後は伊作が雑渡の両手に閉じ込められるだけとなったから、伊作が罠にかかったと確信したから、だから雑渡は伊作を捕まえに来たのだ。

    「伊作くん、」

     雑渡が呼ぶから伊作が見上げる。
     穏やかに笑って雑渡が言うのだ。

    「私ってば伊作くんの事が大好きなんだよ、本当にね」

     逃げ場など無い。
     逃げる気など失せる程に、どうか。
     



     君を迎えに来ているんだよ
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    hathiovo

    DONEaokbワンドロライお邪魔します^^

    お題 水も滴る/パロディ/照れ隠し

    作業時間 1時間ジャスト!w

    見切り発車でお題見ながらガシガシ書いたぞ!計画性無し私のばかばか~!
    でもアオカブ好きだー!
    _ |\ 〇_ヒャッ
    ε== \_ 〇ノホーウ!!!

    って、先月書いた記憶がある←

    軽く誤字脱字はありませんようにと桜の花に向けて祈っておきますね!(定型文)
    よろしくお願いいたします~!
    aokbワンドロライ 水も滴る/パロディ/照れ隠し 昔々あるところにカブという名の独りぼっちのオオカミが住んでいました。
     グレーの毛並みの耳としっぽを付けた人型をした男は初老を手前にしているにも関わらずにがっしりとした体格をしている。
     カブは旅狼で、番を求めて旅に出たは良いけど見つからずに婚期は過ぎてしまい、この場合一般的にはオオカミ族は番恋しさに弱り旅の途中で絶命してしまうことが主なのだが……。
     そう、一般的には。
     ただ一般的では無かったカブは余裕綽々で住み心地の良い森に拠点を構えて、昔はやんちゃしてはいたが今では年を重ねてとても温厚になって森に馴染んでいた。

    「今日もいい天気だね、キバナくん」

    「そっすねー……そーいやルリナたちも今日は北の森の方に行くらしいけどカブさんも行く?」
    4587

    hathiovo

    DONE色々と書いてたら雑伊の日間に合わなかったし、なんなら上げ忘れてた…………!

    所要時間は2時間程です。

    でも、まあ3/21 28時って考えたらセーフかな。へへ!

    てな感じの新参者ですがお題「アピール」「泣き顔」お借りしました^^

    よろしくお願いします!

    因みにこれは既におスケベも書き進めています。
    この通り、ラブコメのまま強引に進んでいくのでライトどスケベの予定!
    私の獣性には四肢がある 雑渡は腕に愛おしい温もりを抱いてそれはそれは最高潮に機嫌が良かった。

     明日から伊作は春休みで、自分も長い骨休めに入る。
     余程のことが無ければ邪魔は入らない。

     さて、想い人が自分を愛していようが愛していまいがどうでも良く、絶対に手に入れると決めてしまった場合の話をしようか。

     雑渡は自らを死に損ないとまではいわないが、まあ正直あの時死んでもおかしくなかったので今はボーナスステージを進んでいるような気分で生きている。
     そして死を一度直面しているので、欲しいものに対して諦めるという概念が一切無い。
     勿論子供に手を出さない、等の極々一般的な倫理観は持ち合わせているが……兎にも角にも諦める気が無かった。

     欲しいものは手に入れよう。
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    hathiovo

    DONEaokbワンドロライお邪魔します^^

    お題 ホワイトデー/手持ち/嫉妬

    作業時間 1時間ジャスト!w

    見切り発車でお題見ながらガシガシ書いたぞ!計画性無し私のばかばか~!
    でもアオカブ好きだー!
    _ |\ 〇_ヒャッ
    ε== \_ 〇ノホーウ!!!
    軽く誤字脱字はありませんようにと梅の花に向けて祈っておきますね!(定型文)
    よろしくお願いいたします~!
    aokbワンドロライ ホワイトデー/手持ち/嫉妬「へえ……ここは手持ちのポケモンくんと一緒に入れるカフェなんだね」

    「ええ、天井も高く作られていますし安心して休憩出来るかと」

    「助かるよ。ぼくのマルヤクデは炎の調整は上手いんだけどたまに楽しくなって火が出ちゃう時があるからね」

     いい子いい子とマルヤクデの頭を撫でているカブを見てアオキとノココッチは目を細めて癒しの波動を受けている。
     マルヤクデとノココッチを連れてふたりがカフェに入れば中は広々としていて落ち着いていた。

    「4名様ですか?」

    「うん、そうだね。4名様だよ」

     4名様と聞かれたことにカブは嬉しそうに頷き、そのまま「4名様」だと指を4本立てて主張するのにまたアオキが眩し気に目を細める。
     角の席に案内を受ければ直ぐにカブがメニューの確認を始めるが、アオキは既に壁に書いてある特大パンケーキと心に決めた。
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    hathiovo

    DONEaokbワンドロライお邪魔します^^

    お題 ニット帽/猫の日/いただきます

    作業時間 1時間30分

    最初の1時間は出勤時電車の中、残りは休憩中に書き上げました!
    ズッコ━━_(┐「ε:)_━━ン
    軽く誤字脱字はありませんようにと今年の恵方に向けて祈っておきますね!よろしくお願いいたします~!
    aokbワンドロライ ニット帽/猫の日/いただきます アオキが仕事から戻ると見慣れたシルエットの人物が珍しくニット帽を被って旧友と共に立っている。
     それがカブとメロンであることは遠目からでもわかるほどふたりは良く目立つ。
     アオキの部屋の前でふたり揃って立っているのも中々珍しいのでアオキは急ぎ足で近づくが、近づけば近づくほどに違和感を覚えるふたりの雰囲気。

    「ああ、アオキくんおかえり、お邪魔させてもらってるよ」

    「……ええ、はい……ただいま戻りました」

     ただいまと返していいものか……通りがかりのよく見るだけの年配の方におかえりと言われるとただいまが正解なのかと悩んでしまうような……そんな奇妙な感覚に陥るアオキ。
     そして珍しく物言わぬカブにも異変を感じ悩むアオキにお構い無しのメロンは隣のカブをアオキにグイグイ押しつけて、カブが被っていたニット帽を取り去る。
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