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    ちまき

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    ステバキ。学パロ。第8話
    片思いスティーブ×無自覚バッキー

    【休日、二人で映画を見に行く話。その1】

    #stucky
    #ステバキ
    stevaki

    懐かしいアップルパイ秋も中頃、街路樹の葉はところどころ色づき始めていた。
    風邪をひいたあの日から少しずつ、季節と一緒に何となく空気も少しずつ変わってきた気がした――そんなある日。

    放課後、なにげない会話を交わしながら並んで歩く二人。
    そんな時、バッキーがふとスマホを見て声を上げる。

    「お、見てみろよスティーブ。この前、授業で観た映画――週末にリバイバル上映だってさ」

    「ほんとだ…すごい偶然だな」
    画面を覗き込んだスティーブが、どこか懐かしそうに笑う。

    バッキーは少し冷たい風に軽く肩をすくめて、ポケットに手を突っ込みながら言った。
    「あの時、せんせーには真面目に観ろって言われてたけど、正直あんま頭に入ってなかったんだよな。…せっかくだし、観に行くか?」

    あくまで自然に、誘いの言葉を差し出す。
    それが、どれほどスティーブの胸を跳ねさせたか、バッキーは気づいていない。

    「うん、行こう。もう一度じっくり見たかったんだよね。それに君と一緒なら…もっと楽しめそうだし」
    できるだけ平静を装ってそう答えながら、スティーブはその瞬間を密かに噛み締めた。




    そして、その週末。




    映画館に向かう途中、スティーブがふと口を開いた。

    「映画の前に、ちょっと寄ってみたい店があるんだ。気になってたカフェでさ、秋限定のアップルパイが人気なんだって」

    「へぇ、スイーツ男子かよ」

    呆れたように笑いながらも、バッキーはすんなり歩調を合わせる。


    そのとき、ふと脳裏をよぎったのは、まだお互い幼かった頃の記憶だった。
    スティーブの家で、スティーブの母・サラが焼いてくれたアップルパイ。
    焼きたての甘い香りに包まれながら、スティーブが「バッキーの分もちゃんとあるよ」って嬉しそうに皿を差し出してきた、あの午後。


    あの頃からずっと――スティーブの優しさは、変わっていないのかもしれない。
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