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    さなか

    @o_sanaka

    成人腐(↑20)。主に石乙で文字と絵を投稿してます。

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    さなか

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    石←乙がだだ漏れてる前提の石乙を書こうとしたらなんか薄暗くなってしまった。

    #石乙
    stoneB

    石乙散文 普段の乙骨は、正直あまり感情を表に出さない。特に呪術師として任務をこなしている時は無感情で淡々としている。その顔から感情は読みにくかった。
    「……石流さん」
     だが、寮の部屋に戻ってふたりきりになると、乙骨の感情は驚くほどダダ漏れだ。今も名前を呼ばれて顔を向ければこちらを見つめてくるほんのりと頬を染めたその顔は、明らかに「キスしたい」と言っている。そんな顔されたらしないなんて選択肢もなく、そのまま口付けを落とした。

     好きだと最初に言ったのは自分の方だったし、乙骨はむしろこちらの好意に戸惑ってすらいた。だが、乙骨からも同じ気持ちを返された時は、信じられない気持ちと同時に、乙骨があまりにこちらを好きだという気持ちを隠さないものだから、これは遠慮する必要なんてないよなと思って、その日のうちに身体ごといただいてしまった。
     そしてその関係は今も続いている。気紛れにキスをして、盛り上がったらその身体を抱いて、すっかり抱かれる気持ちよさを覚えてしまった乙骨は、自分から行為を強請るようにもなってきて。

     自分が好きだと想う相手から同じ気持ちを返されることはどれだけ幸せなことだろうと思う。自分の気持ちは報われないものだと半ば諦めていて、うっかり口に出してしまったけれど、同じ気持ちを返されるなんて思ってもみなかったから、その嬉しさをどうしようもなく噛み締めてしまう。
     同時に、この関係がいつまで続くか分からないのに、こんなにズブズブで大丈夫だろうかとも考えてしまう。
    (俺は受肉体だ。今は処分保留の状態だが、いつかは処分される、それは乙骨の手かもしれないし、別の呪術師かもしれない)
     覚悟は出来ているのに、乙骨を置いて逝くのがどうしても心残りだ。一緒に死んでくれとも思わない、一緒に逃げてくれとも思わない。
     ただ単純に、自分がいなくなった後、彼に触れるであろう誰かが恨めしかった。

    「…っ、いしごおり、さん……」
     夢中になって口付けていたら、いつの間にか乙骨の顔がとろんと蕩けていた。唇は唾液に塗れててかっているし、目元も潤み、頬も赤く染まっていて、ああもう見ちゃいられねぇって顔で。
     思わずぎゅっと抱き締めて、そのままその身体をベッドの上に押し倒していた。首筋から胸元に掛けて口付けながら乙骨の身体に手を這わせた。もう彼の身体には自分が触れたことのない場所なんてきっとない。それくらいその身体を味わってきた。
    「ん、はぁ…あ…あ……」
     触れる場所を変えるたびにそうやって声を漏らす乙骨が愛しくて、その口にまた口付けたくて、その顔を見た。ぼんやりとこちらを見つめてくるその顔が、目があってすぐに不思議そうに首を傾げた。
    「…どう、したん、ですか…?」
    「は……?」
     なにが、と言いかけた直後、ポツリと何かが目元から垂れた。え、っと思った直後、また、ポツリポツリと零れてくる。なんで、なんでだよと思っていれば、そんなこちらの首に乙骨が腕を回してきて、ぎゅっと抱きついてきた。
    「……大丈夫、ですよ」
     まるでこちらをあやすようにそんな風に言う乙骨に、何がだよと思いながらも、その暖かさに静かに目を閉じた。
     ポツリとまた雫がこぼれ落ちで、でもそれ以上、零れることはなかった。
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