芸能パロ石乙 久しぶりに休みが重なった前日に、乙骨は石流の家に訪れていた。そんな条件が揃っていれば食事を終えてお風呂も済んだ後は、寝室で当然そういう流になると思った。
だが、乙骨が石流のいるベッドに向かおうとしたタイミングで持っていたスマホがバイブした。画面を確認すれば、『虎杖悠仁』と出ていて、そういえば来週インスタライブでコラボをしようと話していてその詳細を今日の夜に決めようと話していたんだった。
(やばっ…!!)
乙骨はベッドにいる石流に慌てて言った。
「すみません、少しだけ電話させて下さい」
「ん?ああ…」
石流が頷いたので、乙骨は応答のボタンをタップしてその電話に出た。
「もしもし?」
『お、憂太?今度のコラボスタライの件だけどさぁ』
「えっと、そのことなんだけど…」
『水曜日の9時からでいいよな?』
「え、夜?」
『朝』
「いやいや、それは無理でしょ。僕が朝弱いの知ってるくせに!」
『そこがいいんじゃん』
そう言ってケラケラと笑う虎杖に、乙骨がもうと思って言い返そうとすれば、身体にするりと長い腕が巻き付いた。
「…っ、…!」
『むしろ朝からスタライすれば目が覚めるんじゃない?』
「…そんな、こと…」
乙骨が振り返れば、その腕は石流のもので、ムッとした表情を乙骨に向けていた。やばい、早く電話を切り上げなきゃと思っている間に、その身体はベッドの方に誘導された。
「っ、朝は……だめ、何言うか、分かんないし…」
『だからそこがいいんだって言ってんじゃん。寝惚けた憂太、需要あるって!』
「じゅ、じゅようって…」
そのまま、石流が乙骨を後ろから抱き締めた格好で、ポスリとベッドに腰掛けた。石流は乙骨の身体に手を這わせながら、耳の裏にちゅっと吸い付いてきた。
「ひゃっ…!」
『ん?どうかした?』
「いや……なんでもない、けど…」
『じゃあ、スタライは朝9時に決まりな!』
「え?あ、いや、それはちょっと……ン」
石流の手が、乙骨が着ているシャツをめくって、上半身を露わにされる。そして、胸の突起をきゅっと摘ままれて、乙骨の口からまた声が漏れた。
(…っ、悠仁くんに、僕の声、聞かれちゃう…)
そう思って口を噤むが、すると電話口の虎杖がインスタライブの予定を勝手に決めてしまう。
『折角だからパジャマで登場もいいかもな。寝る前のスタライはよくあるけど、起き抜けスタライとか!』
(まずい……このままじゃ本当にスタライを朝にされちゃう…)
そんなの怖くて出来ないし、次の火曜日も石流の家に泊まる予定なのだ。
(龍さんの部屋からスタライとかアウトすぎるでしょ…!?)
「…っ、まって、悠仁、くん…!」
乙骨が何と虎杖にインスタライブの予定を変更してもらおうとするのだが、後ろから抱き込んで来ている石流がそれを許してくれない。
胸の先端を親指でぐりぐりと押しながら、更には首筋を舐めたり、肩口に噛み付いてきたりするのだ。
「…っ、その、う……すいよう、の…朝、は都合が、わる、くてぇ……」
それに漏れ出そうな声を抑えながら、そう言えば、虎杖はあっさり『そうなのか!』と言ってくる。それに乙骨がホッとしたところで、乙骨の身体に触れていた石流の手が、乙骨の下半身に伸びた。
「っ、ちょ…ン……」
『じゃあ、水曜の夜9時にしとくか。それなら平気?』
乙骨が思わず前屈みになれば、石流ものし掛かってきて、尻に股間を押し付けられた。そこが硬く波打っているのを、服越しにも感じて、思わずゴクリと息を飲んだ。
「ん……うん、だいじょう、ぶ……」
『そっか、それじゃあそれでよろしくな!告知も出しとくわ』
「う、ん……」
漏れ出そうになる吐息を必死に堪えて、そう頷き、なんとか電話を終えられそうだと乙骨がホッとした直後。
『そういえばさぁ』
元相方はあっさりと爆弾を落としてきた。
『もしかして今、お楽しみ中だった?』
思わず「ふへっ…!?」と声が漏れてしまった。
「……分かってるならさっさと切れよ」
更には背後の石流が、電話の向こうの虎杖にも聞こえるような声でそんなことを言うものだから、思わず口をパクパクとさせてしまった。
するとそんな石流の言葉に、虎杖はケラケラと笑った。
『やっぱり~?なんか、憂太の声がエロいと思った』
「え、あ、ちょ、え?」
『それじゃあ邪魔な俺は失礼するわ、じゃーな、憂太』
「ちょ、ゆうじく……ひぁン…!」
電話がぷつりと切れて、それと同時に前を擦り上げられ、乙骨はそのまま上半身をベッドの上に投げ出した。そのままぐるりと身体を反転させられ、履いていたショートパンツと下着も脱がされてしまった。
そんな乙骨に覆い被さってきた石流は、明らかに不機嫌そうな顔で、乙骨を睨んできている。それに内心ダラダラと汗を掻きながら、乙骨は石流を見上げた。
「りゅ、さん……」
「ったく、遅ぇよ……いつまで他の男と話してんだ」
「あ、いやでも、約束、してて…」
「だとしてもムカつくもんはムカつくって言ってんだ」
そう言ってゴツンと額を合わせてきた石流は、そのままの表情で口角をあげた。
「……つーわけで、今日はたっぷり付き合ってもらうからな」
あ、これは朝まで、どろどろコースだ。
乙骨がそう察しつつも、そんな石流の態度に内心きゅんとしてしまっているのは、ここだけの話だ。