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    くさかべ

    @monimoni_are

    ↑成人

    すっかりケイゴ。ウルケイかモイケイのケイゴ受け。
    何かあったら↓まで
    拍手をぽちぽちして頂けるだけで元気が出ます。
    無駄にツールが沢山ありますがお好きなのでどうぞ。

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    くさかべ

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    今日は割としっかりモイケイ。モイケイを見せつけられるモブになりたい。

    #モイケイ
    moikei

    毎日SS8/15 福引で、アイスの引換券を当てた。せっかくだから今引き換えて帰ろう、とエコバッグを提げたまま店に寄る。
    「アイス久しぶりだなぁ。何味にする?」
     引き換えられるのは二種類のアイスだ。ショーケースに並ぶ色とりどりのアイスを一つずつ見比べながら、モリヒトを振り返った。
    「好きなのをふたつ選べばいいじゃないか」
     もともと、ケイゴが集めた福引券で当てた景品なのだから、モリヒトに聞く必要はない。
    「だって二種類選べるんだよ?」
    「それはお前のだろう」
     店員に引換券を渡す。アイスの器としてカップを選択した。コーンの方が最後まで食べられて得だが、食べにくい。
    「えっ、半分こするんじゃないの?」
    「オレは別にいらん」
     どうしてそういう発想になるんだ、とケースから離れた位置に立ったままケイゴに返した。
     いいから、と手招きされ、仕方なく隣に寄る。ちらりと眺めたショーケースの中には、スーパーでは売っていないようなフレイバーが揃っていた。
    「やっぱチョコミントかなぁ。でも普通に買えなくもないし、限定のにするべきか……」
     試食のスプーンを握ったまま、口に手を当て考え込む。だから自分で二種類選べばいいじゃないか、と思ったが、そもそも二種類に絞りきれていないらしい。
    「何で悩んでるんだ」
    「チョコミントと、夏季限定のシャーベットとナッツのやつ」
    「多いな」
    「魅力的な選択肢が多すぎるんだよ。あっ、これも美味しそう」
     入店時は他に客はいなかったが、今は後ろに人が並び出した。注文を待つ店員も、ケイゴの優柔不断さに戸惑っているように見えた。
    「後ろ並んでるぞ」
    「えっ、じゃあこれとこれ……」
     よほど考え込んでいたのか、後ろの列には気付いていなかったようだ。ケイゴが慌てて注文をする。
    「すみません、それと別に、このナッツのやつとコーヒーを……あ、カップで」
    「モリヒト⁉︎」
     ケイゴに重ねるように注文した。レジでお待ちください、と促され、ケイゴの腰を引いてレジ前に移動する。
    「半分やる」
     会計を終え、アイスの入ったカップを持って椅子に座った。四種類の味がテーブルの上に揃う。
    「いや、モリヒトが食べなよ?」
    「ひとくちでいい」
     結局、ケイゴはチョコミントと夏季限定のシャーベットを選んだ。自分のカップごと差し出すモリヒトに、笑いながらカップを押し返した。
    「オレがひとくちでいいよ」
     こっちも食べていいから、とモリヒトのカップと位置を入れ替え、中身のなくなったスプーンでコーヒー味のアイスをすくう。
    「あ、これ美味い」
    「そうか?もっと食っていいぞ」
    「そんなにいっぱいはいらないよ」
     モリヒトの前にカップを戻し、自分のものと引き換える。しかし、なおもモリヒトはケイゴの前にアイスを置き、空になったスプーンを長い指に納めていた。
    「モリヒトも食べなよ。早くしないと溶けるよ」
    「食べてる」
     ケイゴのアイスが順調に減っているのに対し、モリヒトのアイスは表面が溶けはじめていた。やせたクリームにナッツが浮く。
    「ケイゴ」
    「なに?んっ……!」
     黙々とアイスを食べていたケイゴの名前を呼ぶ。顔を上げ、正面に座ったモリヒトを見た瞬間、口の中にスプーンを突っ込まれた。
     ごくん。口の中にコーヒーの風味が広がる。溶けたナッツアイスのクリームと混ざり、濃厚な味わいが増した。
    「ちょっと、モリヒト、」
    「美味いんだろ?」
    「美味しいけど……」
     頬が熱くなる。アイスの味は、わからなくなってしまった。
    「こっちも食べなよ」
     シャーベットをすくい、モリヒトにスプーンを差し出す。
    「いや、オレはいい」
    「なんで⁉︎」
    「恥ずかしいだろ」
    「今さっきオレの口にスプーン突っ込んだよね?」
    「突っ込んだとか大きな声で言うな恥ずかしい奴だな」
    「モリヒトの羞恥心どうなってんの⁉︎」
     ちょっとした仕返しのつもりだったのに、スプーンを持つ手が震える。引っ込めるに引っ込められなくなったスプーンの上でアイスが溶け、今にもこぼれそうだ。
    「早くしないと溶けるぞ」
    「わかってるよぉ」
     差し出した手を引こうとして、掴まれる。
     モリヒトが体を前に出し、スプーンを口に入れた。
    「も、モリヒト⁉︎」
    「結構さっぱりしてるな」
     さらっとしたフルーツの甘さを飲み込み、溶けたアイスからナッツをすくった。柔らかくなったナッツを噛む。
    「それ食べたら帰るぞ」
    「う……うん」
     もともと、夕飯の買い物のついでだ。時間に余裕はあるが、生鮮食品は早めに冷蔵庫へ入れたい。
     それから、特に会話もなくアイスを食べ進めた。モリヒトに掴まれた手首が熱い。
     溶けた二つの味を混ぜ、半分液体になったアイスをスプーンですくう。
    「甘いな」
     ぽつりと呟いたモリヒトの頬が赤く染まっていることは、残りのアイスを黙々と食べ進めるケイゴからは見えなかった。
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