貴方とならどこだって楽しい「ねえ、七海。明日って空いてる?」
灰原の誘いはいつも突然だった。部活に所属していない七海は、試験前でなければ特に断る理由もなく、灰原の食べ歩きに付き合ったり、流行りの映画を観に行ったりと、自分でも驚く程、高校生活を満喫していた。
金曜日の放課後、いつものように学生寮へ帰ろうと支度をしていた七海に、灰原が前の席から勢いよく振り向き、机から身を乗りだしながら、満面の笑みで話しかけてくる。
「空いてますよ、明日はどこ行くんですか?」
「やった!あのね、ディズニーのチケット夏油さんから貰ってさ。なんか五条さんの家の株主チケットの期限もうすぐだから七海と行ってきなって言われて。」
「え、良いんですかそんな高価なもの。ちゃんと五条さんに確認しました?」
1980