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    nononoko1996666

    @nononoko1996666

    七灰が好きです。(灰七も好き)
    短編、前置き長めです。
    よろしくお願い致します。

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    nononoko1996666

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    某魔法の国(海)に行く七海と灰原。現パロ。
    七海、海は初めて行く設定。
    ただタワテラに乗ろうとするだけの話。
    付き合ってません。(気持ち的に 七→灰)

    #七灰

    貴方とならどこだって楽しい「ねえ、七海。明日って空いてる?」

     灰原の誘いはいつも突然だった。部活に所属していない七海は、試験前でなければ特に断る理由もなく、灰原の食べ歩きに付き合ったり、流行りの映画を観に行ったりと、自分でも驚く程、高校生活を満喫していた。
    金曜日の放課後、いつものように学生寮へ帰ろうと支度をしていた七海に、灰原が前の席から勢いよく振り向き、机から身を乗りだしながら、満面の笑みで話しかけてくる。

    「空いてますよ、明日はどこ行くんですか?」
    「やった!あのね、ディズニーのチケット夏油さんから貰ってさ。なんか五条さんの家の株主チケットの期限もうすぐだから七海と行ってきなって言われて。」
    「え、良いんですかそんな高価なもの。ちゃんと五条さんに確認しました?」
    「うん、何枚もあるから大丈夫だって!さすが五条家の御曹司!あと夏油さんからも、レストランとかで使える券貰った!」
    「いや、そんなに貰って大丈夫なんですか?」
    「余ってるから良いんじゃない?」
    「貴方、後で何か面倒な事頼まれるんじゃあ…」
    「えーそうかなぁ?頼まれても、夏油さん達ならいつでもOKだよ!あ、もちろん七海だってね」

     眩しい笑顔をさらに輝かせ、灰原は自身の右手をぐっと力強く握る。
    その仕草は癖なのか、よく会話中に見る事が多かった。純粋でまるで少年漫画から出てきたような明るい灰原は、七海とはまるで正反対の性格であった。
    だが、灰原は見た目程単純ではなく、無遠慮ではない。七海も一見冷たい印象を持たせるが、実は情に厚く気配りもできる優しい性格なのだ。
    そんな何かと気が合った2人は、学校、私生活とほぼ一緒に過ごしているので、女子生徒達の入る隙はなく、周りからは温かい目で見守れていることを、本人達は知らない。


    ✳✳✳


     土曜日という事もあり、入場ゲートは賑わう人々で溢れかえっている。
    七海は人の多さに嫌気が差したが、隣りにいる灰原がずっと上機嫌で話し掛けてくるので、その嫌な気分も数分で吹き飛んだ。
    初めて訪れた場所に気分も上がり、内心「これってデートなのでは」と一人片想いの相手の笑顔を見詰めながら、七海も柔らかく微笑んだ。

    「あ、カチューシャも買わないとね!」
    「お揃いにはしませんからね」
    「え?どうして僕が思ってる事分かったの!」
    「はぁー…」
    「ななみ〜」

     灰原は大抵、顔に出やすいのだ。まだ数ヶ月の付き合いの2人だが、七海は灰原のコロコロと変わる表情を好ましく思っている。
    一方の灰原も、我儘を言っている自覚もありながら、(嫌なものは絶対に断る性格も)、仕方ないと言いながら、頬を少し染めて困ったように笑う七海が、灰原は何よりも好きだった。
    そして似合うからとシェリーメイのカチューシャを買わされそうになった七海は即断り、結局2人でお揃いの帽子を被ることになった。

    「じゃあ、七海は最初何乗りたい?」
    「これで」
    「良いね、じゃあ行こう!」

     七海のスマホを覗きながら、灰原はグイッと七海の左手を軽く握った。

    「あの…」
    「ん?あ、ごめんつい!くせでさ!妹と来るとつい手を繋いじゃうっていうか…」
    「いえ、別に。…はぐれたら大変ですし」

     そう言って七海も灰原の手をそっと握り返し、2人は目的の場所へと歩いて行く。

    「は?60分待ち?数字間違ってませんか?」
    「間違がってないよ。土日だと、結構待つんだ。今日も人多いからね!」
    「………」
    「諦めないで!」

     1時間も並んでいられないと言った七海であったが、灰原が隠れミッキーなるものを教えてくれたり、学校での話題等忙しなく話しかけられ、あっという間に乗り場に着く。
    結局、灰原が一緒ならば七海はどこでも楽しいのだ。

     まず2人が並んだのは、急降下するタワー型のアトラクションである。簡単に言うと、ある金持ちが不思議な人形を手に入れて呪われて落ちた、という話の乗り物だ。
    不気味な造形から映像まで、七海は細かく見ながら「造り込みが凄いな…」「偶像が消えるの…どうやってるんですかね…」と偉く感心している。
    そんな珍しくはしゃいでいる七海を嬉しく思いながら、灰原は続けて話した。

    「七海って絶叫系は大丈夫だよね?」
    「はい、苦手ではありません」
    「良かった!じゃあ大丈夫だね!」
    「え…ここって絶叫系なんですか?」
    「え?…知らなかったの?」
    「…え?」

     すぐに乗り口へと案内され、席に座る。
    ふと気が付くと七海は、正面に映る歪んだ自分自身に手を振っていた。


    ✳✳✳


     アトラクション出口の通路で、目をキラキラと輝かせた灰原は、隣りで一言も喋らない七海を気にもせずに、興奮気味に声を張り上げた。

    「七海って、あんな声出るんだね!可愛い!」
    「大声でそんな事言わないで下さい!!」

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