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    nononoko1996666

    @nononoko1996666

    七灰が好きです。(灰七も好き)
    短編、前置き長めです。
    よろしくお願い致します。

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    nononoko1996666

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    呪詛師灰原②(前の話とはまったく続いていません)。
    自分に出来ることを精一杯やっていたら、呪詛師になってしまった灰原。呪術師の七海は灰原くんの邪魔ばかりしてる。
    明るい灰原くんはいません。酷い灰原くんはいます。
    あと激重七海はいます(七海視点)。

    別に灰原くんに呪詛師が似合うとかじゃなくて、完全な私の趣味です!書きたいとこだけ!

    #七灰

    暗転「………ぁ」

    「灰原っ!!!」

    必死に腕を伸ばすも届かず、名前を呼ぶことしか出来なかった。
    一瞬にして鉄骨が崩れ落ち、コンクリートの破片が辺り一面に飛び散る。
    灰原と依頼主が中に取り残されてしまい、焦りながら私が鉈を必死に振りかざしている間に、もう一人の依頼主が居なくなっていた事に気付けなかった。

    「どうか、生きていてくれ…」


    ✳✳✳


    縋るような灰原の泣き顔を、初めて見た。
    見開いた瞳からは止めどなく涙が流れ、腕に抱えている依頼主を見詰めている。

    「ねぇ、…あの当主って言ってた人、この子置いて逃げたんだ。…ねぇ、どうしてかな?」

    「考えるな灰原、こっちへ来い…早く」

    今回は嵌められたのだ。私達はあの当主という男に、2級に依頼する任務にしてはおかしいと感じていたというのに。

    「ねぇ七海?…どうしてかな?…呪術師は、人を守る為に存在するって、夏油さん言ってたよね?」

    「灰原、お願いだ。…こちらへ来てくれ」

    これは私のミスだ、決して灰原のせいではない。

    「この子さ、僕の妹と同い年なんだって、…知ってた?」

    「灰原!」

    彼は俯き、全身血だらけの少女を抱きしめその場から動こうとしない。

    「七海、この子僕の事庇ったんだよ、怪我してるのに、…どうして?」

    「…灰原、早く私の所に」

    「この子、呪術師のお兄さんを、尊敬してたって、…当主になるから、助けたいって、自分は呪力が、ないから、って」

    「はいばら!!」

    私の顔を見ようとしない灰原は、虚ろな瞳のままその場所から動こうとしない。
    彼の表情がどこか夏油さんと重なり、酷く動揺してしまった私は声が出なかった。

    「ねぇ、…どうしてかな?」


    ✳✳✳


    「ねぇ、…どうしてまたいるの?」

    灰原の足元にはおそらく呪術師、であった人間が黒焦げの物体に成り果て転がっている。
    その物体を邪魔そうに蹴散らすと、黒いガラス玉のような瞳は、こちらを決して見ようとはしない。

    「灰原に、戻ってきてほしいからです」

    「あのさぁ、いい加減にして。僕は呪詛師なんだよ?…戻るとか、意味わかんない」

    「約束を、忘れたんですか?」

    「約束ねぇ…。そんなのしたっけ?…呪術師も約束とか覚えてるんだぁ…人助けなんかしないくせに」

    「灰原、私の話を」

    「七海はさぁ、なんで呪術師続けてるの?」

    「…貴方も呪術師です」

    「あはははは!七海って冗談言えるようになったんだ?」

    「灰原を…連れて帰ります」

    「へぇ?」

    「私の傍に居てくれるんでしょう?」

    「………」

    約束したのだ、お互いが2級になった際に。何があっても傍にいると、笑いながら指切りをしてきたのは灰原だった。
    だから、灰原が忘れるはずがない。
    こちらにやっと視線を向けた無機質な瞳に、少しの光が入るのを私は見逃さなかった。

    「灰原、まだ間に合う」

    「僕はさぁ、人助けがしたいんだよ。こいつって呪術師のくせに、女の子達海外に売り飛ばしてたんだよ?…もう一人いたけど、七海が邪魔したから逃がしちゃったじゃん」

    「…人を殺すのはもう止めて下さい。…ですが、困っている人を放って置けないのは、昔からちっとも変わりませんね」

    「うるさい」

    灰原の右手はぐっと強く握ったまま、小刻みに震えている。

    「灰原、貴方に習って私なりに人の役に立てるよう努力しているんです。早く、こちらに帰ってきてくれませんか?」

    「呪術師に戻れば、何やっても良いの?」

    「人殺しは止めて下さい」

    「それはちょっとなぁ」

    「本来の貴方に戻って下さい」

    「本来の僕って?…七海は僕に幻想抱きすぎだよ」

    「灰原、もう止めて下さい。辛いだけです」

    「ホントうるさいなぁ、僕のことはもう放っておいてよ…死にたいの?」

    「放ってはおけません。…灰原は、私の」

    「うるさいうるさい!………七海は呪術師やって一部の汚い人間から感謝されてれば良いんだ!」

    「灰原」

    「近寄らないで!」

    大声を出す彼は、私の前からいなくなった時と同じように、子が親に縋るような酷く幼い表情を浮かべている。

    「灰原、好きですよ」

    「…やめて。来ないでよ…」

    私が一歩近寄ると、彼は後付さりし、壊れたドアへと顔を向ける。
    子どものような愛らしいふっくらとした頬も痩せ、
    暗い地面の底のような、蒼白した顔色はまったく彼に似合っていない。

    「灰原がこうなったのは、私のせいですから」

    「…次、会ったら殺すから」


    ✳✳✳


    「そう毎回言ってるの、気付いてないんですか」

    思わず声を出して笑いたくなるのを必死に堪え、右手で顔を覆う。
    あともう少しだ。
    灰原が私の元に戻ってくるまで。
    泣きそうな表情を見たのは久しぶりだったので、少し興奮してしまったのは仕方ない。
    遺体の処置をしながら、これからの事を考える。

    灰原の思い通りにはさせない。
    呪術師が真っ当だとは一切思わない、先程のクズのような呪術師は湧いて出る程いる。そいつ等のせいで灰原が呪詛師になってしまったのだ。
    だから、灰原が殺した呪術師は私が証拠を隠滅して行方不明扱いにしている。
    その事に気付いた貴方は何と言うか、どんな表情をするか、とても楽しみだ。
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