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    かがり

    @aiirokagari の絵文置き場
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    かがり

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    ぷらいべったー引っ越し(2020.5.26)
    レオくん個スト「主役は王さま」にインスピを得つつあまり関係はないお話です。

    (2023.6.25再録集発行に伴い微修正)

    #司レオ
    ministerOfJustice,Leo.
    #小説
    novel

    たくさんのおまえ:司レオ ふと霊感が湧いた時。どうぞ、とコピー用紙を差し出された。自前のせっかちから思考の袋小路に陥った時。噛んで含めるように丁寧な説明がなされた。作曲に夢中になって周りが見えなくなった時。『霊感』の収束を待って叱責を受けた。

     同じESビルで活動する、アイドルであったり、プロデューサー、はたまた社員であったり――顔を覚えていたりいなかったりする、たくさんの人たちとの、そんな触れ合いの中で。
     折々、ふわりと香るように、思考の端を過ぎる姿があった。
     鮮やかな赤い髪の青年。我らが王さま。
    (ああ、スオ〜みたいだ)





    「ふふ、月ぴ〜ってば、最近そればっか」

     膝の上の黒いかたまりが動いて、揶揄うような響きでもって言葉を紡いだ。
    さらりとした黒髪が脛を掠めてくすぐったい。遠慮なく体重を預けてくる彼は、本当に猫のようだと思う。

    「なにが?」

     問えば、殊更に愉快な様子でリッツは瞳を細めてみせる。

    「誰それがぷんぷん怒っててス〜ちゃんみたいだった〜とか、誰それが白い紙をくれてス〜ちゃんみたいだと思った〜とか」
    「えっ、だってスオ〜みたいだろ?」

     ふとした世間話のつもりだった。共感して盛り上がる類の。だから、同意してくれるわけではない物言いが、少し意外だった。

    「んふふ、多分ね、俺がその人たちに同じことをされても、ス〜ちゃんみたい〜っては思わないんじゃないかな」

     そもそも俺は五線譜もらったりしてないしねぇ、と彼は膝にすり寄ってきた時と同じくらい気まぐれに、すくと起き上がって髪を整えている。

    「え〜〜〜つまり、どういうこと?」
    「うーん関係性の話かなぁ? まあ、月ぴ〜の中でス〜ちゃんが占める割合って結構大きいんだなって」





    「何故」と、一度思ってしまえば、疑問は頭に残り続ける。

     考えてみれば不思議だ。鮮烈なあの髪を。意志の強い瞳を。決して引くことのない強情さを。折に触れてこちらを気遣う律儀さを。丁寧に言葉を繰る誠実さを。いろいろな人の中から、ふと見つけてしまう。
     リッツと別れてぶらぶらとビル内を散策している今も、この議題は頭の中で展開されたままだ。

    (どうしていろんな人をスオ〜に似てるって思ってしまうんだろうな?)

     ビルですれ違う人たちは、アイドルだとか、ESの社員だとか、はたまた取引先、商業施設の利用者……とにかく、いろいろな立場のいろいろな人。性別も瞳の色も髪の長さも物の考え方まできっと様々で、つまるところ、おれがスオ〜に似てると思った人たちは、性別も瞳の色も髪の長さも物の考え方まで様々な人のはずなのだ。
     それなのに、確かに「似ている」と思った。その人たち同士が、というわけでもなくて、他でもない、スオ〜に。

    (むむむ、これは難問だ)

     ――その時。
     何とはなしに向けた視界の先で、見間違うはずもない、今まさに思考を席巻している赤い頭が目に留まった。
     フロアの吹き抜けから見える、一層下の階のガラス越し。周りにはスーツを着た男女が数人見て取れるから、朱桜家の当主としての仕事なのかもしれない。少し張り詰めたような表情で、それでも、いつものように意志が強く宿った瞳が静かに輝いていた。

     こちらには気づかないだろうな、というぼんやりとした予想を覆すように、ふと目が合う。時間が止まったような感覚の中で、彼がどんな顔をしてみせるのか、強く興味を惹かれた。
     そして同時に、いくつもの表情がスライド・ショーのように、脳裏に浮かんでは消えて行く。怒り……何をやっているのですか! と唇を尖らせるスオ〜。呆れ……邪魔をしないでくださいね? と嗜めるように釘を刺すスオ〜。喜び……帰っていらしたのですね! と時折素直に笑いかけてくるスオ〜。
     これは妄想か? ――否。紛れもなく全部、今まで過ごしてきた記憶の中の。

    「あ」

     ああ、なんだ、スオ〜みたいな人がいっぱい居るんじゃなくて、おれの中がスオ〜でいっぱいなんだな。
     唐突に開けたような視界の中で、果たして現実のスオ〜はというと、視線の強さはそのままに、ふわりと口元を緩めてみせた。そして、悪戯っぽく、こっそりとこちらに手を振るのだ。

    「……あはは!」

     アイドルではない仕事の最中だからだろうか、今までに見たことのない表情が、瞳に焼き付いて離れない。ああ、きっと、この瞬間におれが「スオ〜みたい」だと思ってしまう範囲はまた広がったのだ。
     このままだと、老若男女、誰を見てもスオ〜みたいだって感じる日が来るのかもしれないな。そんなことを思うと何だかおかしくて、ぶんぶんと勢いよく手を振り返した。
    ふとした折に現れる、たくさんのおまえ。言葉を、表情を、感情を、他ならぬおまえがくれたから、だから、重なるのか。
     それは心が浮き足立つような大発見だった。ぞわりと背中が疼いて、戦慄くようにペンを握る。
     こんな感覚に、感情に、名前をつけるとしたら、例えば――。

    「あーーーーー、『霊感』‼」



    【終】











    あ、愛……
    特にはちゃめちゃ関係してるわけではないんですが、Nemuki+コミックス「チキタ☆GUGU」(新装版 全6巻)を宜しくお願いします、参考書籍です。
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    背中合わせに座ってる二人を書いてみたくて、書いてみた(*´ω`*)

    話の中で二人は服を着てませんが、ほぼ会話だけなので全年齢とします。
    We are Buddy. ふと目が覚めてみると、大きな背中が視界に入った。広々と、そして隆々とした、傷だらけの背中。少し背を丸くして、獠はベッドサイドに腰掛けていた。その肩は一定のリズムを刻みながら、静かに上下を繰り返している。あたしは、身体に掛けられていたシーツを払って起き上がった。
     獠の背中には、今夜あたしが残した傷以外にも、生々しい打撲の痕が残っていた。それは、あたしを庇ったがために受けた傷だった。獠はいつも、依頼人やあたしが爆発に巻き込まれたとき、必ず庇ってくれる。その大きな身体を盾にして、爆風や瓦礫から守ってくれるの。今日だって、そうやってあたしを守り、獠は負傷した。
     それが、獠の仕事。それが、獠の生業。あたしも、頭ではわかっている。けれど、こうして獠の背中を見ていると、あたしのせいで傷つけてしまった事実を、改めて突きつけられた気がした。あたしは、獠の背中へ手を伸ばした。でも、その肌へ触れる直前で、あたしの手が止まった。――触れたからと言って、何が変わるのだろう。謝ったって、慰めたって、感謝したって、この傷が消えるわけじゃない。そもそも、獠自身はそんなことを望んでいない。それは、誰よりもあたしが一番よくわかっている。だからあたしは、その傷に触れることも、その傷ついた背中を抱きしめることもできなかった。それならば、せめて――。
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