SN比0dBぐらいそれは風の強い日だった。
買い物帰り、デンジは鼻歌交じりで路側帯の白い線を平均台のようにして歩いていた。
「デンジ、危ないぞ」
声をかけるが、風のせいか聞こえていないようだった。
「デンジ」
「好きだ」
こんなこと、相手に伝わらないときじゃないと声にも出せない。
男同士で異種間で相手は未成年、しかも俺は余命2年ときた。
デンジは死ぬまで添い遂げてくれる相手を見つけて幸せになってほしい。
けど、本当は自分がその相手になりたかったな。
「愛してる」
突然デンジが振り向いた。
その顔はりんごのように真っ赤だった。
まさか…と思った時には時はすでに遅し。
「そういうことは俺の前で直接言えよ!!!」