三分の二 デカフェのドリップコーヒーパックを二つ取り出して、並んだ二つのカップにセットする。最近はコンビニでもデカフェを置いてくれているのがありがたい。切らした時にすぐ買いに行けるし、そして味も悪くない。
アラフォーとアラフィフの境となる今、カフェインを夜に摂ればどんな明日が待っているかなど、十分に身をもって知っているのだ。
──十年、いや五年前までならカフェインどころか酒を浴びるように飲んでも平気だったのにナ。
若狭はそんなことを思う。
気持ちはいつまでも若いつもりでいても、からだは時間と共に変化してゆく。それが少し寂しい気もするし、しかしどこか心地よくも感じるようになった。
若狭はドリップパックからこぼれないようお湯を注ぎながら、若い時分に思いを馳せる。
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