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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック④
    11日目
    キリッと凛々しいままで、無惨様からめちゃくちゃかわいがられるシボ様。

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    キリッと凛々しいままで、無惨様からめちゃくちゃかわいがられるシボ様。 このところ無惨の機嫌が非常に良い。周囲はその気味悪さから余計に静かになっているが、当の本人は周囲の冷ややかな視線に気付かないほど舞い上がっている。
     その理由は、新しく採用した秘書のことだ。
     継国巌勝、産屋敷の私兵集団「鬼殺隊」の最高位である柱を務めた優秀な男である。何故、その男が、とお思いだろうが、スパイとして潜入中に何と鬼舞辻陣営に寝返ったのだ。
     普通は警戒するだろう。二重スパイの可能性を皆が疑っているが、無惨はそんなことお構いなしだ。
     まず、べらぼうに顔が良い。柱の中でも一等美しいと噂されていた月柱である。はじめ鬼舞辻事務所に来た時は、無惨を含め全員が見惚れるほどの美形だった。
     次に能力が高い。こちらに来て日が浅いというのに、無惨が思ったことを瞬時に察し「どうぞ」と先回りする気働きが出来る。
     もう、その二点だけでも無惨にとってはSSRを引いたくらいの喜びようなのに、文武両道で所作が美しく、何をしても無惨の好みでしかないのだ。
     それくらいの歓迎をしているのに、当の巌勝は非常に冷ややかで、どれだけ褒めても「恐れ入ります」の一言で流している。
    「おい、聞いたか? あんなに品のある謙遜の仕方があるか? お前らも少しは見習ったらどうだ?」
     謙遜というよりも「聞き飽きた」とあしらっているように見えるのだが、無惨にそんな現実は通用しない。何せ「人は皆、自分を好きになるはずだ。だって美形だもん」と本気で思い込んでいるおめでたい男なのだ。
    「今日も良い働きをしてくれたな、継国」
    「恐れ入ります」
     手を握ってキラキラした表情で感謝の言葉を伝えるが、決まりきった言葉しか返ってこない。
     日々、これを繰り返すと、鈍い無惨もちょっと様子がおかしいことに気付いたようだ。
    「相手にされていないのか?」
     ここに辿り着くまで半年掛かった。それまでに巌勝は完全に仕事をマスターし、無惨の右腕として立派に働いて「黒死牟」という新たな名まで与えられた。しかし、相変わらず無惨が輝き五割増で褒めても「恐れ入ります」の一言でスンッ……と流している。
    「……一度抱けば落ちるか?」
     セクハラどころか暴行罪で訴えられろ……と皆が思ったが、そんなバカな無惨を放置して、黒死牟は相変わらずのクールビューティーで静かに仕事している。
    「はー、今日も顔がいいな」
    「恐れ入ります」
    「その上、仕事が出来る」
    「恐れ入ります」
    「こんな嫁がいてくれたら幸せだなぁ」
    「恐れ入ります」
     どれだけ褒めてもキリッと凛々しい表情で淡々と返してくる。完全に脈がないのだから諦めろと思うが、あからさまな忖度で拒絶してこない黒死牟にぐいぐい迫る。
    「嫌なことは嫌って言った方が良いですよ。このままだと、どんどんエスカレートしますよ」
     周囲が黒死牟に気を遣い、こっそりと忠告するが、それさえも気にする様子はない。
     強ぇ……と皆が思っているが、当の無惨だけは「脈がある」と思い込んで、毎日毎日懲りずに口説きにかかっている。
    「でもさ、無惨様に何の感情もなかったら、わざわざ寝返ってこっちに来たりしないよな」
     と、とある一人が気付いた。それもそうだ、と全員が思うが、美しい顔に一切感情を出さない黒死牟の表情を見ていると、その真意すら解らないのだ。
    「今日も素敵な時間を有難う」
     無惨は黒死牟の手を両手で包み込むように握り、目を輝かせて笑う。その顔、有権者にしろよ……と皆が思うが、黒死牟は相変わらず「恐れ入ります」で会話を終わらせた。
     恋をしているせいか、無惨は活き活きして輝いている。機嫌も良いし、黒死牟に良いところを見せようとして、いつもより頑張っているので周囲の人間は非常にやりやすいのだ。
     はっと気づいて皆が黒死牟を見た。
     その時、黒死牟は初めて微笑みを浮かべ、そっと唇の前で人差し指を立てた。
     この一枚も二枚も上手な美人をどうやって口説き落とすのか、そして黒死牟フィーバーがいつまで続くのか、皆、日々のささやかな楽しみとして見守ることにした。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
    2129

    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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