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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック
    4日目

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    モーニングコール 何度呼び出そうと、電話で起きたためしがない。
     朝弱いくせに夜遊びが好きで、帰ってそのまま寝てくれたら良いのに、何故か翌日の答弁の資料に目を通す。根拠となる資料まで頭に叩き込んでくれるので、隙の無い答弁をしてくれるから助かるが、寝坊して遅刻したら何にもならない。
    「さっさと起きてくれよ」
     ステアリングリモコンの終話ボタンを押す。GPSで居場所を確認すると、プライベートのマンションにいるようだ。
     議員宿舎で寝起きしていることになっているが、夜中にべろんべろんに酔い潰れて、廊下で他の議員と顔を合わせるのが気まずいだの、女を連れ込みにくいだの、それよりも他の議員の妻にちょっかいを出した前科が何犯もあり、なかなか議員宿舎で生活しづらい理由が多く、夜遊びしては、そちらに戻ることが多い。議員宿舎ならこんなお出迎え作業は不要なのに、どこまでも迷惑な話である。
     その上、本当に誰かを連れ込んでいる可能性もあるので、合鍵で入った時、まず女性ものの靴がないか確認する。一度、とある人気女優がバスルームから出てきて鉢合わせになったことがあり、驚きや気まずさより、スキャンダル対策をどうするかで頭痛がした。しかもその女優は新婚だった。旦那と連名で発表したファックスをワイドショーで読み上げた翌日の出来事だったので本当にやめてくれ、と二人を並べて説教した。
     散々袖にした相手のくせに「結婚した途端、イイ女に見えるようになった」と堂々と言う筋金入りの人妻好きなので、どこまでもたちが悪い。
     今日はひとりのようだ。それだけでも胸を撫で下ろす。
     バスルームの暖房のボタンを押し、バスタオルと下着類を用意する。そして、ウォークインクローゼットから今日着ていくスーツとワイシャツを取り出し、リビングに向かうと、ソファで寝ている鬼舞辻がいた。
     以前、優しく起こそうとしたら、ベッドに引き摺り込まれたことがあった。裸のままでこちらをベッドに沈め、上に乗り、じっと見つめてくる。下着も履かずに寝ているようで、腹の上に乗せられたものの形がスーツ越しに伝わってくる。
    「当たってますけど」
    「勃っていないからセーフだろう?」
    「完全にアウトです。セクハラで訴えますよ」
    「冗談だ、許せ」
     そう言って額に軽くくちづけて、鬼舞辻はベッドから抜け出した。怒っているふりをして誤魔化したが、本当は一生の思い出にしたいほど嬉しかった。
     だが、鬼舞辻の悪い冗談だと解っているので、そのことには二度と触れず、そんな隙を与えない為に、朝は容赦無く起こすようにしている。
    「おはようございます、先生」
     カーテンを開けて、やや乱暴に起こす。ぼんやりとしている鬼舞辻を無理矢理バスルームに押し込み、その間に散らばった書類を片付ける。20分ほどすると賑やかにバスルームから飛び出してくる。
    「おい、黒死牟、今日のスーツは?」
     腰にタオルを巻き、濡れた髪を後ろに撫でつけた状態でリビングにやってくる。
    「こちらに用意していますので、先に髪を乾かして来て下さい」
     バタバタと準備に取り掛かり、スーツを着る頃には、いつものキリッとした姿になる。
     後部座席で朝食代わりのゼリー飲料を飲みながら、緊張が切れたのか、また、うとうとしている鬼舞辻の姿をルームミラーで確認する。
    「そんなに眠いのなら、夜、早くお休みになれば良いのでは?」
     ややきつい口調で言うと、鬼舞辻は大きな欠伸をする。
    「付き合いがあるのだ、仕方ないだろう」
     また、そんな言い訳を、と呆れる。起こすこちらの身にもなって欲しい。朝から何度も電話をして、家に入り込んで起こす作業など秘書の仕事の範疇を越えている。
    「毎度毎度、私を起こすのが面倒か?」
     はい、と答えるわけにもいかず、黙って運転していた。
    「確かにお前の家から、ここまで結構距離があるからなぁ……毎朝、手間だよな」
     解っているなら、自分でちゃんと起きて出勤してくれ、と思うが、ふとルームミラーを見ると鬼舞辻と目が合った。やや赤みがかった色素の薄い瞳がじっとこちらを見つめている。
    「だったら、一緒に暮らすか?」
    「え?」
     思わず急ブレーキを踏みそうになるが、何とか流れに沿った滑らかな運転を続ける。急いで視線を前方に向け、意識を運転に戻した。動揺した表情に気付いた鬼舞辻は小さく笑い「冗談だ」と言う。
     この人の冗談がすべて本当だったら、どれだけ幸せか。
     どうしようもない現実を突き付けられ、隠された瞳が潤んでいるが、サングラスをしていることで誰にも気付かれなかった。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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