女無惨様(女装可)×黒死牟<説明マロ>
青い彼岸花の情報を得るために遊郭かどこかに潜入調査した無惨様、住み込みでの仕事で無限城を長期期間不在になり黒死牟が迎えに行く…みたいなシチュエーションでみてみたいです。無惨様はすっかり位の高い遊女になっていて買うには大金が必要だが、店主も「あんたみたいな侍風情にゃムリだよ!」て断ろうとするけど黒死牟は懐から大金を出して「これでも…?」と言って有無言わさず無惨様を買う黒死牟…とかどうでしょうか?ちなみに黒死牟が持っている金は無惨様の金庫から持ち出した金です。
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侍の時代が終わりを告げ、文明開化や何やらと言われる時代になっても未だお座敷遊びは盛んであり、花魁ではなく色を売らない芸妓が座敷に呼ばれる機会も多かった。
花街は鬼が潜伏するのに丁度良い。堕姫が潜入している置屋に潜り込み、芸妓として仕事をしていた無惨は、昼間は薄暗い部屋で本を読んで過ごし、夜は三味線を弾きに座敷を梯子していた。
えらく別嬪の芸妓がいる、と無惨は一躍噂の人となった。
目が覚めるような美人な上、三味線も唄も踊りも随一で、その上、語学が堪能であらゆる話題に対応できるだけの知識も持ち合わせている。
是非とも妾に……と身請けの話は多く来ていたが、勿論無惨にそのつもりはないので適当な理由をつけて値を吊り上げては断っていた。一時は身請け額が太夫よりも高いと言われた芸妓となり、最近は目立つことを恐れて鳴りを潜めていた。
しかし、それでも人気の置屋の人気の芸妓。
「あんたみたいな侍風情が呼べる相手じゃないんだよ」
と、遣手婆に門前払いされそうになっている侍がひとり。
洋装の御大尽が増えた中で、年季の入った石畳柄の着物、未だ切り落としていない長い総髪、金を持っている様子など感じられないと追い返すつもりだったが、懐から取り出した当時は未だ珍しい紙幣の束を見せた。
「これでどうだ……」
遣手婆の目の色が変わったのは言うまでもなく、一番良い座敷へと案内され、勿論無惨が呼ばれたのだ。
「……何の真似だ」
突然座敷にやってきた黒死牟を見て、無惨の機嫌は一気に悪くなり、その上、遣手婆に渡した金は無惨の金庫から持ち出した金だということで無惨は顳顬に青筋を浮き立たせて本気で怒っている。黒死牟からすれば、女の姿の怒る顔は新鮮で相変わらず美しいと呑気に見惚れているので余計に腹立たしいと思っているのだ。
「で、何をしにきた。私に色を売らせる気か?」
「まさか……長くお会いする機会がございませんでしたので、その御姿、一度拝見しようと……」
と言い終わる前に、黒死牟は畳に押し倒された。
「これで私も枕芸者の仲間入りだ」
残念そうに大きな溜息を吐きながら、無惨は慣れた手つきで黒死牟の着物を脱がせるが、あることを思いついたようで「ここで待っていろ!」と座敷を抜け出し、大急ぎで戻ってきた。
何事かと思いながらも無惨には逆らえない。普段と同じように無惨に身を任せ、用意されていた派手な布団の上で横になる。
まさか芸者を買いに来ても、このような扱いを受けるのか……と男として少々情けない気持ちになるが、目の前にいるのは赤い長襦袢姿で迫ってきている芸妓とはいえ、相手は鬼舞辻無惨である。逆らうことも、ましてや自分が組み敷くことも許されない。
正にまな板の上の鯉といった状況で両手両足を伸ばしたまま仰向けで寝ていると、無惨は口の中でふやかした通和散を黒死牟の陰部に塗りたくる。やはり使うのはそちらか……と残念に思いつつ、この女の姿のまま股間に陽物を……と思うと、新しい魅力に目覚めそうになっていた。
だが、無惨はそんなありきたりな答えを用意しない。女の姿の時はあくまでも女であることを徹底するのだ。
「これを使ってやろう」
そう、部屋に取りに行ったのは男性器を模した張形である。わざわざ鼈甲を使った高級品であり、それを嬉しそうに黒死牟の鼻先に近付けた。
ここまで来て、無惨の金とはいえ大金を払って、まさかの……と思うが、黒死牟の嬌声が置屋中に響いたことはいうまでもない。
張形を人肌まで温める配慮を無惨がする筈もなく、美しい芸妓が立派なお侍の尻を犯すという地獄絵図が繰り広げられているのだが、女の声音をした無惨が「いいわぁ……すごく、いい……」と甘い声で囁くので、そうか、あの美女はあのように善がるのか……と全員が切ない勘違いをしている。このような形であれ無惨との夜伽がかなりご無沙汰であったので、硬い鼈甲で尻を犯されながらも、無惨が良いところを突いてくる為、黒死牟はいつものように腰を震わせ、幾度となく達している。
夜が明ける前に黒死牟は足をふらつかせながら出立することになった。珍しく無惨が見送りに出ているので皆が驚いているが、よほど良かったのだろう、と目を合わせず、そっと場を離れた。
口許を着物の袖で隠しながら、無惨は魂を抜かれたような黒死牟に寄りかかる。
「次は本物で可愛がってやるから、楽しみに待っておけ。直に帰る」
そう言われ、踊るような軽い足取りで黒死牟は帰っていったが、黒死牟が使った分の金くらいは稼いで帰ろうと舌打ちする無惨であった。