「悟空さはおらには嘘はつかないだよ」
そこだけ聞けばのろけのようであったが、
「そのかわりホントのことも言わないことがあるだな」
続いた言葉になんといっていいのか分からなくなる。
でもそれが、彼と彼女の夫婦のカタチだと気付けば、他者が口を出すことはできない。
何より闘争と己を鍛えることが好きな男が、彼女の元が安心して落ち着ける場所だと我が子に零し、一途にずっと初恋の人の嫁になるのだと決めた女が「死で別たれて」も尚ずっと夫の妻で在ることを望み、男の帰る場所で在り続けた人。
孫夫婦のふたりは、今日もせっせと農業を営んでいるが、その関係性と絆の深さは折り紙付きで、そして複雑さは当人達だけのものにしておくのが吉である。