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    悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi

    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守り続けて、悟空は己の半透明な手を細い月に翳す。

    『待つって、嫌じゃあねぇけんど………結構つれぇもんだなぁ……』

     誰の鼓膜も振るわせられない、音にならない声が宙にほどける。
     
     星と共に在る悟空は、すべてを見守りながら、ひとつの存在を待ち望んでいた。
     言うまでもなく、それは最愛の妻であり、息子とその家族に囲まれて穏やかに地球人としての生を終えた。
     人は死後、個々の差はあるが、また生まれ変わることが多い。一部は地獄で魂の洗浄などを行うこともあるが、チチはその必要などないと悟空は断言できる。
     だからいずれ、今自分がいるような花畑にあの少女が歌を歌いながら花を摘む光景が見られると思い、待ち望んでいる。

     しかしながら、孫悟空の妻であったとはいえ、チチは一般的な地球人であった。
     生まれ変わりに優遇や優先がされるわけではなく、いつとも知れぬその時は悟空にすら分からない。

     今日だろうか、明日だろうか。実は昨日だった…?
     そんな思考は、かつての妻もひとりだけのパオズ山で繰り返してきたことだろうか。

     寂しさといとおしさと、期待と少しだけの絶望を織り交ぜて、重ねてきた時間を甘い痛みとして悟空は甘受する。


     そりゃあまぁ、寂しかったのはホントだべ。でもそういうときはな、ずるっこだけんど、夢で会えるからいいかって、おら開き直ってただよ。


     夜の帳の中、夫婦で小さく会話してくすぐったそうに笑っていた彼女。
     短くしてしまった妻の髪を撫でたあのときの感触を思い出そうと努力しつつ、悟空は瞼を閉じる。

     夢の中、妻に会いにいこう。


     夜風が花弁さらう花畑の中、悟空は大の字で横たわる。
     淡い桃色の花が広がるその山の名は、もちろん、パオズ山だ。
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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

    eastdragon_DB

    TRAINING第18試合『手紙〜Letter〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     掃除、洗濯、夕食の下ごしらえ、他のこまごました家事が終わると、チチのちょっとした自由時間となる。
     自由時間といっても大概は針仕事や近隣(と、言っても孫家からかなりの距離はあるのだが)への用事事や畑の様子などを見にいくことも多いが、まれに本当にぽっかりとそれらもない自由時間がある。

     そうなるとチチはお茶を淹れて雑誌を読んだりテレビを見たり、時々午睡をしたりとして過ごすが、気が向くとリビングのとある収納の引き出しを引く。

    「ああ、そろそろこの便箋もなくなってきてるだなぁ」

     言いながら取り出したのは、淡い緑色で揃えられているレターセットだ。共に万年筆も出して、ダイニングテーブルに座る。
     
    「さて、と」

     便箋をめくり、チチは慣れた様子で万年筆にインクを補充すると、その切っ先を紙面へと滑らせ始めた。
     出だしはいつも決まっていて、「悟空さへ」 である。

     
     書くことは基本とりとめもなく。
     自分がその日思っていること、伝えたいことをつらつらを書いていく。満足するまで書いたあとは便箋を折り封筒に入れて封をして、便箋をしまっている同じ引き出しに手紙をしまう。
     この手紙は決し 1450

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第6試合 お題『アイス〜ICE〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

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    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第1試合 『空』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
    #悟チチ #Gochichi
    チチは亀仙流の使い手であり、その武は亀仙人も認める達人の域であった。
     まぁ今は孫もいる身であり、全盛期と比べればゆるやかに力量は落ちてはいるがちょっとした暴漢をこらしめるくらいは未だに朝飯前のことだ。

     とはいえ、チチは気は読めないし、気弾も打てない。夫や子供達が得意とするかめはめ波も打てないし、舞空術も使えない。

     舞空術については、悟飯からそれを学ぶ際に一緒にできるようになろうとねだらた。それよりもっと前には、悟天が生まれて少し落ち着いたころによければと、悟飯からも舞空術が使えるようになることを勧められたこともある。
     だがチチは穏やかに辞退した。
     舞空術は確かに身に着けることができれば便利だろうが、気を感じる、気を読むなどのセンスはどうも自分にはないと思ったし、夫が遺した筋斗雲があればチチだって空を移動できる。

     子供達はチチのそれに少し残念そうであったけど納得もしてくれたことがありがたかった。

     筋斗雲に乗って、空を行く。
     朝はまだ少しひんやりした空気の中。昼は、眩しい陽射しの中。夜は満点の空を見られる。
     それが自分の身ひとつでできれば、解放感はひとしおかもしれ 1609

    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第4試合 『牛〜Cow〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
    #悟チチ #Gochichi
    農家には農家のための情報誌や、ネットサイトがある。
     そのどちらもチチは確認するが、紙媒体をお茶を飲みながらのんびり眺めるのが好きだ。

     畑仕事を終えて、昼食後の後片付けも終わっての夕方までにある少しの落ち着いた時間に珈琲と軽い菓子をお供にダイニングテーブルで情報誌を拡げていると、向かいの席に悟空が座った。彼は市場から戻ってきたところでチチが持たせていた弁当の外に軽い軽食をとった後にシャワーを浴びたのでハーフパンツにタンクトップというかなりラフな格好でいる。

    「お、牛」
    「んだ、牛だな」

     首からタオルを下げた夫はチチが見ている雑誌にでかでかと掲載されている写真を見て眼を輝かせている。動物が好きな人だからなとチチは思ったが、なにやら期待に満ちた眼でこちらを見ているものだからチチは小首をかしげて見せた。

    「牛、飼うんか?」
    「飼わねぇだよ」

     短いこのやり取りであからさまにがっかりするものだから、その感情の分かりやすさに少し吹き出してしまう。

    「たまたまこの雑誌が酪農の特集もしてるだけだべ。そりゃあ興味がないことはねぇけんど、うちはふたりだけだしなぁ、牛や鶏とかの世話までは考 1013

    eastdragon_DB

    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第11試合 お題『海 〜Sea〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    惑星バンパは「過酷」な環境ではあるが、ブロリーにとっては物心ついたころから生きてきた星だし、色々あったが今はチライとレモが一緒にいる。
     ソンゴクウが持ってきてくれた「家」でぐっと過ごしやすなったし、昼は暑さに夜は寒さに、食料が心もとないと不安がっていたチライとレモが笑ってくれるようになったのはブロリーには嬉しいことだ。
     ゴクウは度々バンパを訪れ食料や他に必要なものを持ってきてくれて、そしてブロリーを修行に誘う。それを数回繰り返すうちにゴクウはブロリー達を地球へと誘った。理由はブロリーが海を見たいといったからである。

     ゴクウ曰く、ブロリーは海自体はとっくに見ていて、かつその中に落ちたりもしていたらしい。
     フリーザの宇宙船が着地した場所、そしてゴクウやベジータと闘った場所こそは氷に覆われてはいたもののその下こそが「海」だったらしい。
     ゴクウから聞く地球の話で、海とは青くて広くて深い場所もあって、たくさんの生き物がいるとあった。
     闘争本能が暴走した状態だったので、海自体をよく見れていなかった。たくさんの生き物がいるなら見てみたいといったところ、ゴクウの瞬間移動なるものでの地球へ 1607

    eastdragon_DB

    TRAINING第16試合『Freestyle』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「我流?」
    「んだ。悟空さの武術スタイル。亀仙流…神様、界王様やあの世のお偉いさんとか、今じゃあウィスさんって破壊神のお付きの天使様に修行とかつけてもらってて、その教えはあるかもしんねぇけど、ほとんど我流だべ」
    「まぁ……そうなるの、…か?」
    「なんでおめぇさが疑問形なんだべ」
    「いやー、別に嫌とかじゃあねぇけんど、なんかヘンテコかと思ってよ。チチは…亀仙流だよな」
    「んだ。おっとうからみっちりと教わった正統派亀仙流だべ」

     型見せるだか? と、腰を落とし両手を持ち上げて構えをとるチチは凛として華の如く。美しい武だ。

    「ほんっとキレイなもんだよな」
    「悟空さの構えもてぇしたもんだよ。この人にはかなわねぇって肌ぴりぴりするだよ」
    「オラおめぇにそんな気ぶつけたか?」
    「ねぇな」
    「だよな」
    「我流ってのがしっくりこねぇべか? 一応いろんな教えをたくさん持ってて、それ全部ひっくるめて修行して発展させてるってのが今の悟空さだと思うけんど。あ、言い方がちょっとカッコ悪いって思ってるんじゃねぇか、悟空さ」
    「言い方ぁ?」
    「んだ。悪くはねぇけんどちょっとなんかもうちょっとあるんじゃねぇかって 882