俺の彼氏は眼鏡男子/銀大 赤とんぼがちらほらと見えだした。この辺りの緑地と言えば公園で未だ紅葉する時期には早い。木々と芝生を行き交うとんぼの赤が映える。
「駅に集合で良かったじゃねぇすか?」
9月の終わり、キラキラとした噴水の飛沫が気持ちいい。薄っすら浮かぶ汗は風によって熱を奪われいつの間にか心地よいものとなっていた。
「眼科受診の日、寝坊したのどこの誰だっけ」
昼と夜の長さが同じになりこれから日が短くなる。ジリジリとした陽射しに別れを告げ太陽が恋しい季節がやってくる…秋と冬の狭間。俺は恋人?とはまだ呼べない相手が待ち合わせ場所にやってきたそれだけで心が弾んでいた。責める言葉とは裏腹にだ。彼を待っている時間でさえ愛おしい。
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