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    mya_kon

    @mya_kon

    何かがあります

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    mya_kon

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    夏のおたおめ話(再)です!再ってことは、これの前があるのか?という質問には、わたしの頭の中にはあります💖と答えます。書くので……書いて本に入れるつもりなので……あうあう。ちなみに作中に出てくる日本酒は本当にあります☺️🍶美味しくてかわいいお酒なんですよ〜!

    #夏尾
    natsuo

    お祝いは何度でも「どうしたんですか、それ」
     帰宅した尾形の手には紙袋があった。リビングテーブルに乗せられたそれの中を覗くと、黒い箱が入っていた。
    「出しても?」
    「いいぞ」
     袋から出した箱には四つ丸い穴が空いている。箱の中には何かの瓶が入っているようだ。箱を開けると小瓶が八つ入っていて、一本ずつ取り出しながら「数字?」と夏太郎は呟く。ラベルに描かれているのは〇~二、七~十一の数字だった。ラベルの裏側を見ると日本酒と書かれている。
    「どうしたんですか?」
    「もらった」
    「ふーん?」
     ネクタイを緩めながら尾形は夏太郎の頭を撫でる。
    「一日、残業しただろ。あの日お前の誕生日だって知った部署のヤツが」
    「ええー? 仕事なんだから仕方ないじゃないですか」
     月末月初の尾形が忙しいのはいつものことであり、残業するのも珍しくはない。しかも八月には盆休みがある。色々なことが前倒しになって余計忙しかっただろう。だから夏太郎の誕生日会も、前日であり日曜日である七月三一日に行った。そこに不満はないし、当日も残業をしたのでいつもより遅い時間にはなったが夕飯も一緒に食べた。
     こんな素敵なもの用意してくれるなんて、ありがとうございます。夏太郎は心の中で尾形の職場の人にお礼を述べる。尾形さんはいい人と一緒に働いているんだなぁ。よかったよかった。
     箱に入っていたパンフレットを見ると、小瓶に入った日本酒はワイングラス二杯分入っているらしい。ラベルに書かれた数字の時間に、その日本酒を飲むイメージで味が作られているようで、その説明を読むだけでも夏太郎はワクワクしてきた。
    「せっかくいただいたものですからね。美味しくいただきましょ」
     と、夏太郎はラベルに七と書かれたもの以外を冷蔵庫にしまおうとしたが、裏に要冷蔵の文字を見つけたので全部しまった。スパークリング日本酒から始まるなんてオシャレだな。
    「先にシャワー浴びてくる」
    「分かりました~」
     冷蔵庫を開けたついでにクリームチーズと煮卵を入れている密閉容器を取り出した。クリームチーズの個包装を剥いてサイコロ状に切り、それを煮卵の隙間に入れる。
     夏太郎は昼過ぎに届いた尾形からの連絡を思い出す。今夜は日本酒の気分だなんて言っていたが、何てことはない。日本酒をもらったからそれを飲もうって話だったわけだ。それなら最初から日本酒をもらった話をしてほしかった。
    「でも一時間に一杯かぁ……」
     八本もあるので飲み比べをしたいが、時間通りに飲むのも楽しそうだ。とはいえ普段の二人の酒を飲むペースを考えると少ない。しかしせっかく時間のイメージで作られているのだからそれを守りたい。だからと言って一時間に一杯は足りない。酒がうまいとつまみが進み、つまみがうまいと酒が進む。そうなると一時間に一杯は少ないのだ。
     夏太郎は唸りながら、水にさらしていた玉ねぎの水気を切って皿に盛る。鯛の刺身は切ってあるものを買ってきた。水菜を切って鯛と合わせて盛り、酢とオリーブオイルと塩を適当にかける。食べるときに味を絡ませればいいだろう。
     鍋に入っている肉豆腐を温め直していると、尾形が風呂から上がってきた。普段から夏太郎に「髪はちゃんと乾かせ」と言っているので、尾形の髪に水滴一つついていない。目が隠れるほど伸びた前髪は、ワックスで固める代わりに猫の飾りがついたピンで留められている。
     いつだか夏太郎があまりにも前髪を鬱陶しそうにしている尾形にプレゼントしたものだ。揃いで夏太郎は柴犬の飾りがついたものを持っている。
     ふんふんと鼻を鳴らした尾形は、夏太郎を超えてコンロにかけられている鍋の中を見る。
    「しいたけ」
    「入ってますよ。だしが出るので」
    「何で入れんだよ」
    「おいしいからです。尾形さんも一つは食べてくださいね」
     そう言って、夏太郎はぶつぶつ文句を言っている尾形を無視して煮卵を半分に切る。クリームチーズはメインを食べ終わった後にゆっくり食べることにして、冷蔵庫にしまった。
     箸と小皿とカルパッチョの乗った皿を、尾形はダイニングテーブルに運ぶ。夏太郎は温めた肉豆腐を大皿に盛り、冷蔵庫から七時のボトルを出す。キッチンに戻ってきた尾形がそれらを運んでいったので、夏太郎はワイングラスを二つ棚から出した。
    「さーさー夕飯ですよ」
    「二回目の誕生日会だな」
    「ええ? ケーキあります?」
    「明日でいいだろ」
    「わーい、楽しみにしてよっと」
     着席をしてワイングラスに日本酒を注ぐと、本当に二杯で綺麗になくなった。一時間で一杯は我慢できないから前倒しで飲んでいくことになるだろうが、尾形がそれを気にするとは思わない。うまい酒とうまいつまみがあって、すぐになくならないわけがないし、すぐになくならないのは失礼に当たる。そうだそうだ、その通りだ。
    「乾杯」
    「かんぱーい」
     グラスを軽く合わせて一口飲んだ。夏太郎はパァッと顔を明るくさせる。尾形を見ると、向こうも目を開いていた。お互いに目を合わせる。
    「おいしい!」
    「うまいな」
     楽しい誕生日会の始まりだ。明日が休みでよかった。
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    mya_kon

    DONEこれは……いつか本になるから……と自分に言い聞かせて書いた夏尾……フォロワーが描いた夏尾見て書いた……わああああああああってなりながら……書いた……いつか本になるから……原稿といっても間違いではない……………
    まぐれ、気まぐれ のし、と頭に重さがかかる。確認しなくても分かる。尾形さんが俺の頭の上に手を置いたのだ。しゃがんだ姿勢のまま、俺は木の陰から一匹の鹿を見る。
     遡ること一時間前。
     俺はもっと土方さんの役に立ちたいと思い、茨戸からずっと持っているピストルの腕を上げようと考えた。せっかくなら誰かに教えてもらいたいな、と思ったのでまず最初に有古さんと都丹さんに声をかけた。普段からピストルを使ってる都丹さんや、従軍経験から有古さんなら! と考えたのだ。ところが二人は用事があったようで断られてしまった。
     そうなるととても困る。残っているのは永倉さんと牛山さんと門倉さんとキラウシさんと尾形さんだ。その中で可能性があるとしたら……尾形さんだよなぁ。もちろん尾形さんだって従軍していたし、そうでなくても狙撃の名手だ。射程距離がちょっと変わったくらいで下手くそになるとは思えない。とはいえ、尾形さんにお願いしたところで聞いてくれるとは思えない。
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    mya_kon

    DONE「吸血鬼が生きる世界には、マッチョが血液を提供するバーがあるのでは?」というフォロワーさんの呟きに反応して、爆発した結果のものです。夏太郎が吸血鬼、尾形がマッチョバー店員やってます
    もっといっぱいください!「へー、血液パックの宅配もやってんだ……」
     俺がスマホでぽちぽち見てるのは亀蔵に勧められた「マッチョバー」の公式サイトだ。何でもそこで働いているのは筋肉隆々のマッチョたちで、店ではその人たちの血液を提供しているらしい。
     男の人しかいないかと思ったけど、女の人もいるんだな。前からマッチョの血液は美味しくて栄養満点とは聞いていたけど、何だか手が伸びなかったのは気軽に買える場所に店がなかったのと、なんとなーく飲んだら自分もマッチョになりそうで二の足を踏んでいた。
     マッチョになるのが嫌っていうか、マッチョになって制限がかかるのが嫌というか……。両腕が閉じれないとか、着れる服が限られるとか、注射の針が入りにくいとか聞いていて、えー、じゃあソフトマッチョぐらいがいいなぁ、と思っていたのだ。まあ、今はソフトマッチョを目指している最中だから、多少のマッチョ成分を取り入れたところで問題はないんだけどさ。
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