もう勝手にいなくなるなよ「て! つ! お!」
ここで会ったが百年目! と言わんばかりに、オレはその背中目掛けて全力で走った。
道ですれ違ったとき、先に気づいたのは向こうだった。オレはワンテンポ遅かったし、振り返ったときには鉄男はすでに走り始めていた。
だけどこちとら諦めの悪い男なんだ。バスケ部員がろくな運動してないだろう鉄男に負けるわけがない。お前のおかげでオレは大学でもバスケやってんだよ。
上下に揺れるリュックはちょっとしたハンデだ。そう思って人混みを上手く避ける鉄男を、大通りから一本入ったところで捕まえた。
「逃げんな!」
「……急ぎの用事があった」
「嘘つけぇ!」
後ろからしっかりと鉄男の両腕も一緒に抱え込む。相変わらずいい体してんな、とオレは鉄男の厚みのある胸やら腕やら背中やらにちょっとだけ興奮した。
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