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    mya_kon

    @mya_kon

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    mya_kon

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    なんで怒ってるのかわかんないけど怒ってることだけはわかるけどなんで怒ってるのかわからない夏尾です。しょーもないことでケンカして、すぐ仲直りしてほしい〜〜〜〜☺️☺️

    #夏尾
    natsuo

    俺は今、何に対して怒っているでしょうか 突然開催される夏太郎の「俺は今、何に対して怒っているでしょうか」クイズ大会に、尾形は内心ため息を吐いた。代わりに天を仰ぐ。シェードに積もった埃を見つけて、尾形はそれについてもため息を吐きたくなった。
    「夏太郎」
     名前を呼んでも返事はない。
     怒らせるようなことをした記憶はない。しかしここで強制エントリーさせられたクイズ大会から降りることはできない。それはつまり夏太郎との別れを意味する。なので尾形は必死にない記憶を漁って微かな可能性をどうにか見つけようとする。
     しかしないものはないのだ。ヒントをもらえないか夏太郎に声をかけたところで無視されるので、尾形はノーヒントでこのクイズ大会を走るしかない。
     過去の傾向を思い出そうとしても、結局その後の仲直りセックスしか思い出せない。その時にはもうぐちゃぐちゃのどろどろに甘やかされて可愛がられて脳みそが溶けてしまい「気持ちいい♡」しか覚えていないので、クイズ大会中には全く役に立たない。しかしクイズに正解するとそれが味わえるのでモチベーションの維持には役立つ。
    「かーん?」
     そっぽを向いている夏太郎の隣に座る。
     夏太郎の前髪を耳にかけると、綺麗な頬がよく見えた。親指の腹で撫でてみても反応はない。真っ直ぐ正面を向いた夏太郎は尾形のことをちらりとも見ない。
     ソファの背もたれに肘をつき、まずは今日の自分の行動を振り返る。こういうのは一つずつ可能性を潰していくしかない。
     夏太郎が怒るのは尾形の言動についての何かだ。例えば、異性愛者ではない者に向けた差別発言をした総理大臣秘書に対して感じた憤りを、尾形にぶつけるようなことはしない。だからこそ今日の、昨日の、ここ一週間の言動を振り返るのは大切なのである。
     とはいえ今日の尾形はつい二〇分前に起きたばかりだ。言動も何も、例えば寝言で他の女や男の名前を呼んでいない限りは身に覚えがない。
    「あ」
     はずだったが、尾形は思い出した。壁に掛けた時計を見ると十一時三〇分を少し過ぎたところだった。カーテンが開けられた窓からは日差しが注がれている。
     尾形は一度目を閉じて天を仰いだ。大きく息を吸って吐く。目を開けて最初に見えたのは夏太郎の形のいい耳で、しかし次の瞬間には眉間に皺を寄せた夏太郎の顔だった。
    「尾形さん」
    「悪かった」
    「俺」
    「悪かった。今から、は遅いよな」
    「楽しみにしてたのに」
    「そうだよな、悪かった」
     謝罪の言葉を何度口にしても夏太郎の表情は変わらない上にどんどんと近づいてくる。元々距離があったわけではないので、もう鼻先同士がぶつかりそうになっていた。尾形は夏太郎のうなじを撫でる。
    「夏太郎」
    「モーニング」
    「悪かった」
     パジャマの裾から夏太郎の手が滑り込み、尾形の割れた腹筋の凹みをなぞる。大きく口を開けた夏太郎が尾形の唇をその中に仕舞った。尾形は無抵抗でそれらを受け入れる。
     今日は話題のモーニングを食べに行こうと話していた。寝る前に布団の中で夏太郎からその確認が入ったし、尾形もしっかりアラームをかけていた。しかし朝を迎えたとき、尾形はもっと寝たいと思った。この一週間、仕事が忙しく睡眠不足だった。やっと迎えた週末ぐらい好きに寝かせろ、と思ってアラームを止めた。
     起こしにきた夏太郎の言葉は半分以上聞き流した。何か返事をしたような気がするし、何も返事をしていない気もする。気持ちよく三度寝をした尾形が起きたときに開催された「俺は今、何に対して怒っているでしょうか」クイズ大会の答えはこれだ。やはり俺が間違っていた。
     口内に入り込んできた夏太郎の舌が尾形のものをべしべし叩く。うなじから夏太郎の頭に沿って手を登らせる。髪を一つに結んでいたゴムを引っ張ると簡単に解けた。ぱさりと落ちた髪に指を絡ませていると、夏太郎がぱっと体を離した。
     突然なくなった温もりに尾形が瞬きを繰り返す。夏太郎は黙ったまま尾形のパジャマを大きくめくった。
    「支度、してください」
    「え」
    「ランチ行きますよ」
    「え」
    「モーニングは終わりましたけど、ランチはありますし。買い物も行かなきゃいけないんですからね」
     ほらほら、と尾形の腕をパジャマから抜く。暖房がついている部屋とはいえ、上半身が裸になれば少し寒い。ぶるりと体を震わせて尾形は立ち上がった。見下ろした夏太郎は手櫛で髪を結び直している。
     尾形からの視線に気づいて見上げてきた夏太郎と目が合った。
    「かん」
    「いいですよ。最近尾形さん忙しかったですし。寝顔可愛かったですし」
    「……ん」
    「今日も明日もずっと一緒ですし」
    「そうだな」
    「食べ物色々買ってきましょうね。月曜の朝まで家から出ないですからね」
    「ん……」
     夏太郎の目の奥がぎらりと光る。
     尾形は期待を込めて頷いた。
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    mya_kon

    DONE「吸血鬼が生きる世界には、マッチョが血液を提供するバーがあるのでは?」というフォロワーさんの呟きに反応して、爆発した結果のものです。夏太郎が吸血鬼、尾形がマッチョバー店員やってます
    もっといっぱいください!「へー、血液パックの宅配もやってんだ……」
     俺がスマホでぽちぽち見てるのは亀蔵に勧められた「マッチョバー」の公式サイトだ。何でもそこで働いているのは筋肉隆々のマッチョたちで、店ではその人たちの血液を提供しているらしい。
     男の人しかいないかと思ったけど、女の人もいるんだな。前からマッチョの血液は美味しくて栄養満点とは聞いていたけど、何だか手が伸びなかったのは気軽に買える場所に店がなかったのと、なんとなーく飲んだら自分もマッチョになりそうで二の足を踏んでいた。
     マッチョになるのが嫌っていうか、マッチョになって制限がかかるのが嫌というか……。両腕が閉じれないとか、着れる服が限られるとか、注射の針が入りにくいとか聞いていて、えー、じゃあソフトマッチョぐらいがいいなぁ、と思っていたのだ。まあ、今はソフトマッチョを目指している最中だから、多少のマッチョ成分を取り入れたところで問題はないんだけどさ。
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    mya_kon

    DONEこれは……いつか本になるから……と自分に言い聞かせて書いた夏尾……フォロワーが描いた夏尾見て書いた……わああああああああってなりながら……書いた……いつか本になるから……原稿といっても間違いではない……………
    まぐれ、気まぐれ のし、と頭に重さがかかる。確認しなくても分かる。尾形さんが俺の頭の上に手を置いたのだ。しゃがんだ姿勢のまま、俺は木の陰から一匹の鹿を見る。
     遡ること一時間前。
     俺はもっと土方さんの役に立ちたいと思い、茨戸からずっと持っているピストルの腕を上げようと考えた。せっかくなら誰かに教えてもらいたいな、と思ったのでまず最初に有古さんと都丹さんに声をかけた。普段からピストルを使ってる都丹さんや、従軍経験から有古さんなら! と考えたのだ。ところが二人は用事があったようで断られてしまった。
     そうなるととても困る。残っているのは永倉さんと牛山さんと門倉さんとキラウシさんと尾形さんだ。その中で可能性があるとしたら……尾形さんだよなぁ。もちろん尾形さんだって従軍していたし、そうでなくても狙撃の名手だ。射程距離がちょっと変わったくらいで下手くそになるとは思えない。とはいえ、尾形さんにお願いしたところで聞いてくれるとは思えない。
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