ル誕 薄暮に聞き慣れた重い足音が、ひとつ。
ジェイミーは欄干に両肘をかけ、灯りがともり始めたほの赤い町並みを猫背で見下ろした。歩く人々を追って頭を左右へ振るたびに腰まで伸びた一束の三つ編みが尻尾のように揺れる。ふらふら、ゆらゆら。提灯型の灯りに照らされた口元が、オレンジ色に緩んだ。
「よう」
足音が隣に並ぶ。迷彩柄のジャケットをその広い背に羽織り、黄金の髪をぬるま風にそよがせて。今日のキャップ帽は留守番らしかった。
「生きてたのか」
肉のない頬がケタケタと笑う。ジェイミーは細めた目で隣の男を流し見た。数日ぶりに見るルークの顔はむっと無愛想に結ばれていた。
「生きてるに決まってんだろ」
「最近見ねーし、どっかでヘマしたのかと思っちまったよ」
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