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    ことざき

    @KotozakiKaname

    GW:TのK暁に今は夢中。
    Xと支部に生息しています。

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    ことざき

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    強い受けガチャ『料理中のあきとにちょっかいをかけたらガチギレされてしょんぼりするけけ』を見て、勢いで書いた話。

    #K暁

    キッチン狂詩曲「あのさぁ」
     ひどく大きなため息を吐いた暁人が、音を立てて包丁をまな板の上に置いた。左手を伸ばしてコンロの火を消すと、ゆっくりと身体ごとこちらに向きなおる。
     その白く冷たい眼差しを目にした瞬間、オレは己の非を悟っていた。彼の腰にまわしていた左手をそろそろと引き戻し、そのまま両手でホールドアップの体勢をとる。
     つとめて殊勝な態度を心がけたつもりだったが、オレを見る暁人の両目はますます鋭く尖ってしまった。
     目は口ほどに物を言う。言葉にするなら「僕が怒っている理由が分かるなら、何故やらかした? ああん?」といったところだろう。
     が、しかし。オレが考えるより、暁人は何倍も品が良く、また嫌味たらしかった。
    「キッチンにはコンロや包丁があるから、すごく危ないんだよ。消防庁が公開している発火の再現動画とか、消費者庁の注意喚起とか、どこかで見たことないかな?」
     ちくちくと突き刺さるような言葉にプライドを削りとられながらも、オレは必死に頭を巡らせた。
     幼児に向けるような口の利き方をするんじゃねえとはぐらかすか、見たことがないと嘘をついて動画視聴する方向に持っていくか、ちゃんと正直に答えてこのまま怒られるか。
     逡巡は一瞬だった。話を逸らすのも嘘をつくのも、氷に塩をかけるようなもの。今この状況では、正直こそがなによりの美徳に違いない。
    「……ある」
     そっか、と暁人が口角をつりあげた。これ以上ないほど綺麗に三日月を描く唇を、絶対零度の眼差しが美しく彩っている。
    「分かっててもやっちゃうなら、もう物理的にガードするしかないよね。ほら、赤ちゃんが部屋に入ってこれないようにするアレ、何て言うんだっけ?」
     目顔で促され、反射的に答える。
    「ベビーゲート?」
    「そうそれ、ベビーゲート」
     暁人が我が意を得たりとばかりに大きくうなずいた。
    「さすがにKKには低すぎるけど、『今はダメですよ』っていう分かりやすい目印にはなるだろうし。今度のデートで買いに行ってみる?」
     冗談かと思ったが、まるで笑っていない両の目を見るに、彼はどこまでも本気のようだ。
     いくらなんでも、そんなデートは嫌だ。絶対に嫌だ。オレはとうとう覚悟を決め、おずおずと話しかけた。
    「なあ、暁人?」
    「なあに?」
     氷の微笑がじっとオレを見つめている。それを真正面から見返しながら、ぱんと両手を打ちあわせ、拝むように頭をさげた。
    「料理の邪魔して悪かった! 怪我やボヤに繋がるかもしれないのに軽率だった。すまん!」
    「だから! そのひと言が遅いんだよ!」
    「悪かった!」
     ようやく表情を崩してぷりぷり怒りだす暁人に秘かに安堵しながら、オレは何度も何度も、それこそ暁人がもういいと言うまで謝罪を繰り返した。
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    ことざき

    DONEこぼれ落ちてゆくもの。K暁。薄暗い。

    診断メーカー【あなたに書いて欲しい物語(ID:801664)】さんの【「ぱちりと目が合った」で始まり、「君は否定も肯定もしなかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば3ツイート(420字程度)でお願いします。】から。
    忘れじの行く末に ぱちりと目が合った。それで分かった。これは夢なのだと。
     僕が右手を伸ばすと、彼もまた右手を差しだしてきた。重ねた指先は突きぬけなかった。筋張ってゴツゴツとした手の甲、かさついた皮膚の感触。やや低い、じんわりとした体温。握りこめば、同じだけの力で握りかえされた。
     彼がいる。今ここに、僕の目の前に。確かな身体を持って。夢でもかまわない。だって、彼がここにいるのだ。
     心臓を鋭い痛みが貫いた。喉が締めつけられ、押し戻された空気で顔中が熱くなった。気づいた時には、目の前のすべてが歪んでいた。
     波立つ水面のように揺らめく視界では、彼の姿を脳裏に焼きつけられない。しゃくりあげながら顔を拭おうとした僕より早く、彼の手の平が頬をおおった。そのまま親指の腹で目元をこすられる。とても優しい仕草なのに、硬いささくれが皮膚に刺さって痛い。思わず息を呑むと、覚えのある苦い香りが鼻先を掠めた。
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    MENU◇フォロワーさんのイラストに文章つけてみったー◆
    大変遅くなりました&あまりにも長くなってしまったので3編に分けてお出しします。
    ぽすわい様のジューンブライドイラストにどうしても物語をつけたくて書かせていただきました!
    ・便宜上全7パートに分かれています。今回は前章~プロポーズまで。
    ・プロポーズ~初夜まではR18となりますので別途パス付で上げます。
     皆様のお気に召しますと幸いですm(__)m
    雨が連れてきたはじまり<前編>別れと復活、そして再開「・・・ありがとうーおやすみ、KK」
    そう言って別れを告げたあの日。
    そういえばあの日も、あれから雨が降り始めて。まるで別れの涙のようだなんて思ったことを、覚えている。


    【覚醒前夜ー夜明けの手紙】

    これは、僕の罪の記憶。
    もう二度と同じことを繰り返さないために、ここに書き残しておくことにする。


    ーあの夜、KKはたしかに僕のなかから姿を消した。黒い靄が霧散するように消えて、僕の右の手のひらについた傷は何事もなく消えてなくなって。
    それくらい遺してくれたってかまわないと思っていた。だって、KKを思い出せる何もかもが消えてなくなってしまったような気がしたから。
    それでももう、きっと二度と逢えないのだと。そう覚悟は決めていたし、
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    DONE #毎月25日はK暁デー
    素敵タグにギリギリ間に合いました💦
    お題は「おはよう」
    Kは成仏したのではなく、暁の中で眠りに付いたという説を添えて。
    毛色の違う話が書きたいなぁと思い至ったまでは良いものの、毎度のことながらお題に添えているかは迷走してます🤣
    目醒めの言の葉 東京の街を覆っていた濃く暗い霧は晴れ、東の空からは眩い光を放つ日輪が顔を覗かせている。

     幾重にも連立する朱鳥居を潜り、石燈籠の淡く揺らめく灯りに照らされた石階段を登る暁人の胸中には全てを終わらせた事による達成感と、追い求めた者を失ってしまった喪失感。そして、自身の中に宿る男への寂寥感が入り混じっていた。男の悲願は達成され、その魂が刻一刻と眠りに就こうとしているのを肌身に感じる。

     本当に独りぼっちになってしまう。

     そうは思うものの、妹に、両親に誓った。泣いても、みっともなくても生きていくのだと。次に会うのは、最後の最後まで生き抜いた、その後なのだと。

     一歩一歩、階段を登る最中にKKから彼の妻子に向けての言伝を預かった。『最後まで、あきらめずに生き抜いた』と、そう語られた言葉は、彼の想いが沢山、たくさん詰まった大切なモノだ。何があっても絶対に伝えなくてはと、しかと心に刻み込んだ。
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