Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ことざき

    @KotozakiKaname

    GW:TのK暁に今は夢中。
    Xと支部に生息しています。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 45

    ことざき

    ☆quiet follow

    強い受けガチャ『料理中のあきとにちょっかいをかけたらガチギレされてしょんぼりするけけ』を見て、勢いで書いた話。

    #K暁

    キッチン狂詩曲「あのさぁ」
     ひどく大きなため息を吐いた暁人が、音を立てて包丁をまな板の上に置いた。左手を伸ばしてコンロの火を消すと、ゆっくりと身体ごとこちらに向きなおる。
     その白く冷たい眼差しを目にした瞬間、オレは己の非を悟っていた。彼の腰にまわしていた左手をそろそろと引き戻し、そのまま両手でホールドアップの体勢をとる。
     つとめて殊勝な態度を心がけたつもりだったが、オレを見る暁人の両目はますます鋭く尖ってしまった。
     目は口ほどに物を言う。言葉にするなら「僕が怒っている理由が分かるなら、何故やらかした? ああん?」といったところだろう。
     が、しかし。オレが考えるより、暁人は何倍も品が良く、また嫌味たらしかった。
    「キッチンにはコンロや包丁があるから、すごく危ないんだよ。消防庁が公開している発火の再現動画とか、消費者庁の注意喚起とか、どこかで見たことないかな?」
     ちくちくと突き刺さるような言葉にプライドを削りとられながらも、オレは必死に頭を巡らせた。
     幼児に向けるような口の利き方をするんじゃねえとはぐらかすか、見たことがないと嘘をついて動画視聴する方向に持っていくか、ちゃんと正直に答えてこのまま怒られるか。
     逡巡は一瞬だった。話を逸らすのも嘘をつくのも、氷に塩をかけるようなもの。今この状況では、正直こそがなによりの美徳に違いない。
    「……ある」
     そっか、と暁人が口角をつりあげた。これ以上ないほど綺麗に三日月を描く唇を、絶対零度の眼差しが美しく彩っている。
    「分かっててもやっちゃうなら、もう物理的にガードするしかないよね。ほら、赤ちゃんが部屋に入ってこれないようにするアレ、何て言うんだっけ?」
     目顔で促され、反射的に答える。
    「ベビーゲート?」
    「そうそれ、ベビーゲート」
     暁人が我が意を得たりとばかりに大きくうなずいた。
    「さすがにKKには低すぎるけど、『今はダメですよ』っていう分かりやすい目印にはなるだろうし。今度のデートで買いに行ってみる?」
     冗談かと思ったが、まるで笑っていない両の目を見るに、彼はどこまでも本気のようだ。
     いくらなんでも、そんなデートは嫌だ。絶対に嫌だ。オレはとうとう覚悟を決め、おずおずと話しかけた。
    「なあ、暁人?」
    「なあに?」
     氷の微笑がじっとオレを見つめている。それを真正面から見返しながら、ぱんと両手を打ちあわせ、拝むように頭をさげた。
    「料理の邪魔して悪かった! 怪我やボヤに繋がるかもしれないのに軽率だった。すまん!」
    「だから! そのひと言が遅いんだよ!」
    「悪かった!」
     ようやく表情を崩してぷりぷり怒りだす暁人に秘かに安堵しながら、オレは何度も何度も、それこそ暁人がもういいと言うまで謝罪を繰り返したのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞💘💘👍☺💕💕🙏👏👏💖💖💖☺💖👍💖💖💖☺👍💞💞💞💖👍💕💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    32honeymoon

    MENU◇フォロワーさんのイラストに文章つけてみったー◆
    大変遅くなりました&あまりにも長くなってしまったので3編に分けてお出しします。
    ぽすわい様のジューンブライドイラストにどうしても物語をつけたくて書かせていただきました!
    ・便宜上全7パートに分かれています。今回は前章~プロポーズまで。
    ・プロポーズ~初夜まではR18となりますので別途パス付で上げます。
     皆様のお気に召しますと幸いですm(__)m
    雨が連れてきたはじまり<前編>別れと復活、そして再開「・・・ありがとうーおやすみ、KK」
    そう言って別れを告げたあの日。
    そういえばあの日も、あれから雨が降り始めて。まるで別れの涙のようだなんて思ったことを、覚えている。


    【覚醒前夜ー夜明けの手紙】

    これは、僕の罪の記憶。
    もう二度と同じことを繰り返さないために、ここに書き残しておくことにする。


    ーあの夜、KKはたしかに僕のなかから姿を消した。黒い靄が霧散するように消えて、僕の右の手のひらについた傷は何事もなく消えてなくなって。
    それくらい遺してくれたってかまわないと思っていた。だって、KKを思い出せる何もかもが消えてなくなってしまったような気がしたから。
    それでももう、きっと二度と逢えないのだと。そう覚悟は決めていたし、
    6347

    recommended works

    りんご

    DONEK暁デー、初デート。K←暁のようでK→〈超えられない壁〉←暁です。
    理想のデート像を黙って実行するおじと、訳も分からず振り回されるあっきーの話。
    過去それなりに色んな話を書いてきましたが、ぶっちぎりで砂糖吐きそうな話になったと思います。けけは所々横暴だしあっきーはちょっと暴走気味です。そんな二人の初めてなんて、絶対事件になるに決まってるじゃないですか(笑)
    閻魔帳のきれはしには(1)


    待ち合わせは、やっぱり駅前かなあ
    ベタなのは分かってるよ! でも後に来る僕が気になって、その後ろ姿がどこかそわそわしてるの、きっとかわいいなって思うんだろうな


    ◆◆◆◆◆


    『KK

    今日午前11時。渋谷駅北側に集合。』


    凝り固まった肩を回しながら、ネオンが薄まりゆく都会の路地を暁人はゆったりと歩いていた。長期の仕事が終わって漸くまともな寝食にありつけると思えば、心も穏やかになる。
    こんな職業なので、どうしても一日の行動が普通のそれとは大きくずれ込む時がある。今日はそういった日で、数日掛かりの依頼を何とか終わらせたときには、すっかり空が白み始めていたのだ。

    自分の名前をした空を背にしながら、暁人は連絡のためにスリープモードにしていたスマホを起動させた。そこに表示される、送り主と簡素な一文。暁人が首をひねるのも無理はない。めったに文字でのやり取りを行わない人物から突然こんなものが来たら、誰だって困惑するだろう。自分がいない間に向こうで何かあったのかもしれない。それにしても……メッセージ? 凪いでいた心情の波が僅かに揺れて―――まあいいか、と持ち直した。暁人が暁人たるゆえんは、この微妙な状況に対しての構えがやたら大きいことである。波乱万丈な生い立ちのせいで大概のことは受け流せるようになった結果だった。
    12617