渇き 両手には血、両手だけではなく全身血まみれだが、痛みを感じることはない。そして、自分の後ろには大量の人だったモノが積み上げられていた。
息が苦しい、両手が震える。……そこで勢いよく起き上がると漸く夢であることに気付いた。
深呼吸をして気持ちを落ち着かせたところで微かに自分以外の体温を感じ、漸くカンクロウが隣で眠っていることに気付いた。
(珍しいことがあるものだ)
そう考えてしまうのは、今までカンクロウが隣にいる時は深く眠れていたからだ。いつの間にかそれが当たり前になっている事実に苦笑いを零しながら我愛羅はベッドからカンクロウを起こさないように抜け出した。外を見ると満月が綺麗に輝いていて、今日は月明りで夜道もいつもより安全に歩けそうだと独り言つ。
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