「かお、見たい」
投げかけられた言葉に返す言葉が見つからない。
沈黙した私に、ロナルド君がさらに言葉を続ける。
「お、俺だって、お前の…声聞きたいし、顔、見たい。お前ばっかりずるい。」
そう言われてしまってはぐうの音も出ない。
とうとう言われてしまったか、というのが正直なところだ。
声聞かれたくない、顔見られたくないと言うロナルド君を宥めてすかして事に及んできた。
可愛い、上手、いい子、愛してるよ。
言葉をかければかけるほどに蕩けていくロナルド君はそれはそれは可愛くて。
達する時の顔なんて、それはもう。
その裏で自分はと言えば死にやすいのを言い訳にしてバックで果てるようにしていた。
──あの時の顔なんて見られたくない。
1831