「好きです…あなたのことが…どうしようもないんです…」
はらはらと落ちる美少年の涙は抜群の効果はあるだろうが、今のオレにとってはただただ困惑するばかりだ。仮にこいつが同性愛の気があるんだとしても、オレみたいな30も年上のオッサンに欲情するとは。
こいつのことだから主導権を握るために演技しててもおかしくはないが、同居を始めて一年あまりだ。今更演技したところでどうなる。それに…これはあんまり嘘とは思えない。
下着の枚数が足りないような気がすると思っていたら、よりによってこいつの布団から出てきた。間違えて紛れてしまいましたと嘘でもいいから言ってくれればよかったのに。
「それは…諦められねえのか?」
「あなたのこと、ずっと我慢しようと思ったのに…ごめんなさい…」
あらゆる最悪を想定していたつもりだったが、これは予想外だ。オレがよりによってガキのオカズになるとは。
「おめぇ…童貞か?」
「は!?いや、まあ、そういうこともなくはなかったですけど…」
童貞か。だったらまあ、オレしかいない世界でオレにあらゆる感情が向いてしまってるだけかもしれねえ。こいつにはもう少しオレ以外の別の世界も必要かもな…。もっと成績が上がるようなら一也と同じ学校でもいい…。そうだ、こいつはKに執心だからな。面白い事になりそうだぜ。
とりあえず今は他を知らないせいだ。セックスってのは一度やっちまえば余裕も出てくるってもんだ。特に男は性体験の有無が自信に繋がることもあるからな。お勉強の前に男にしてやればいい。
「いいぜ。オレなんかよりいい男で卒業させてやる。ちょうど男娼も派遣してくれる会員制のクラブの名刺を貰ったからな。こういうのはオレには不要だったが、一応繋がりは持っとくもんだな」
「え…だんしょ…?」
「男の娼婦だ。もっと若くて美形のやつを選び放題だぞ」
「いや!いらないですよ!馬鹿にしないでください!僕は誰でもいいわけじゃない!あなたが好きなんです!」
「男はとにかく経験しときゃ純愛なんていくらでも出来るようになるぜ。ヤっちまってから本当にオレでいいか考えろ」
「じゃあ、その男娼を抱いたら、あなたも抱けますか?」
「いいぜ、それでもオレに気があるならな」
しぶしぶ会員用の厳重なサイトに入り、キャスト一覧を見ると、モデルや俳優でもおかしくない美形揃いだ。オレは芸能人には疎いが実際有名なやつも混じってるらしい。
「…なんか…あんまり、気がすすみません」
「タイプがいねえのか?こんだけ顔がいいのが揃ってるのに」
「好きでもない知らない人とセックスなんて…」
こいつ潔癖だからな…童貞だからと言えばそれまでだが…。オレも少し無神経だったかもしれねえが、だからと言ってオレが相手をするわけには…。
「キッ…キスだけ…とか、だめですか…」
「ああ!?オレとか?」
「はい…無理なのはわかってます…わかってるんです…だから…」
またはらはらと綺麗な涙を流した。
これはちょっとぶりっ子じゃなかろうか。だが…キスなら…まあ…。
「キスなんてしたことあるのかよ?」
「それくらいはあります。僕、モテるんですよ」
「そうかよ、じゃあお手並み拝見とい」
じゅぼぼぼ!じゅば!モミモミんべろろろろ!じゅじゅばばばばばろろろろろ!モミモミ
「んぶっ!!まっ!待て!!!」
「な、なんですか?」
なっ…なんだ…?顎ごと吸い付いて舐めまわしやがって…。口周りよだれでベトベトじゃねえか…。
「い、今のはキスか…?」
「ちょっと激し過ぎましたかね?」
「誰に教えてもらったんだ…」
「AVです」
「AVは…2度と見るな…」
「えっ、ダメでしたか?」
「言いたいことは色々ある…まずキスはもっと上品でいい…鯉みたいに吸い付くな。あと、キスしたと同時に胸を揉むな。それとキスしながら胸を揉んで勃起するな」
「こっ…これは…不可抗力なんで僕も恥ずかしいですけど…でもキスしてるのに勃起もしてないなんて、相手が魅力がない人みたいじゃないですか」
「確かに…勃起は男としてわからないでもねえが…おめぇ、これ、キスした子とはどうなったんだ?」
「僕がキスしたのは中学時代でしたが、いかんせん中学生女子は子供なんで、大体キスしたらそれっきりでしたね」
それは子供だからではなくて全部デリカシーがないせいで先に進めなかったのでは…。こいつ…本当にいいのは顔だけなのか?モテることが一番大事とは言わねえが、あまりに全てがダメすぎる。本当に好きなやつができた時何一つ成就しないまま終わってしまう。勉強より先に教えなければいけねえことがまた増えてしまったが、今わかってよかったかもしれねえ。
未成年との距離感などとお行儀のいいことを言っている場合ではない。今のうちに矯正してしまわなければ。これさえなければツラはいいし身体能力も頭もいいんだ、人間関係だって恋愛だって全部うまくいくに越したことはない。主導権を握るにしても言うだけのテクは必要だ。
「譲介、キスの時は両手は腰あたり、盛り上がれば抱きしめるのもいい、だがいきなり胸は揉むな」
「でも、AVだと」
「AVは忘れろ。あと若いおめえには酷かもしれねえがセックスが始まるまで勃起は出来るだけ我慢しろ。おっ勃ちながらキスを迫る男なんて百年の恋も冷めるぞ」
「えっキスってもうセックスでしょ?」
「そ、そういうこともあるが、キスは単体で成立する。キスだけでいいこともあるんだ。キスで完結出来るようにしろ」
「…はい」
やや不満そうだが、本当にわかってるのか。
「じゃあ、今度はオレからするから、覚えろよ」
「あっハイっ!」
「………………」
「ん……………」
「…………………」
「…………………っ」
「……よし、よく揉むのを我慢したな」
「はい…なんか、頭がふわふわします…」
「次は上手くやれ」
「あの、じゃあセックスってどうやって始めればいいんですか?」
「それは、お前…キスまでする仲ならそのうちそういう雰囲気になるはずだ」
「今そういう雰囲気ですか?」
「今はそういう雰囲気じゃない」
「僕勃起してるんですけど」
「そういう…やりてえ雰囲気を押し付けると嫌われるぞ」
「すいません…でもあなたと触れ合える機会ってもうないかもしれないので…」
「あのなあ…男同士は、すぐには出来ねえんだよ。わかってるのか?男は」
「アナルセックスですよね。腸内洗浄ですか?」
「そうだ。それに医者としては性交に使うのはどうかと思うが」
「腸内洗浄教えてください」
「な…」
譲介はノートを取り出して勉強の姿勢に入ってしまった。さっきまで性欲に駆られていた癖に即切り替われるところは素直に尊敬する。
「医療で必要なのは内視鏡なんかを入れる前に」
「いやアナルセックスの時必要なやり方です」
全然性欲だった。
「…一つ聞くが、おめぇはオレを本当に抱くつもりか?」
「はい、そうですけど」
「オレだぞ」
「ええ」
オレが抱かれるので間違いないのか。こいつ趣味が悪いな。
「ゴムは?持ってるか?」
「男同士は妊娠しないじゃないですか」
「馬鹿野郎!直腸は雑菌だらけだぞ!下手するとおめぇのチンコが炎症するし性病に感染するリスクもでかいんだよ。粘膜だぞ。ゴムは男だろうが必須だ」
こいつ生でオレに挿入するつもりだったのか…。キスからしてやばかったが…これは本番もかなり勘違いしてそうな気がする。挿入はしなくても一応確かめたほうがいいか…。
オレは親指と人差し指で小さな○を作って見せた。
「譲介、これをケツの穴だとして、どうする?」
「えっと、チンコをこう…」
譲介は拳をねじ込んで来たのでゾッとする。
「おいおいおい。アナルは濡れねえんだぞ。いきなりチンコ突っ込むバカがあるか。おめぇの馬並みなんぞ突っ込んだら人工肛門になっちまうだろうが」
「あ、すいません…テンパってしまって…じゃあ濡らすのが先ですかね」
「そうだな。まずローションみたいな潤滑油で十分濡らしてから少しずつ慣らすんだ」
「そ、そうですね、じゃあ…」
譲介はオレが作った指の輪っかに口を近づけたので、頭突きを喰らわすと、理不尽そうな非難の目を向ける。
「汚ねえだろ。舐めるんじゃねえ」
「あなたに汚いところなんてない」
「汚ねえとこだらけなんだよ!」
はあ?いいこと言いましたけど?みたいな顔するな。口説き方も教えねえといけないのか。…いや本当に後で教えといた方がいいかもな…。
「そもそも…アナルセックス自体医者として推奨できねえが、百歩譲って傷つけず衛生的にするならギリギリ目を瞑ろう」
「じゃあ…市販の…ローションとかですかあ…」
「まあ専用に売ってるのを使うのが無難だな。今はないから十分濡らしてるとしよう。さて、挿入前にこの蕾みてぇに閉じたアナルじゃあ子供のチンコも入りそうにねえな。どうする?」
「そりゃもちろん…指で」
ガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシ
「おおおおいい!!!やっぱりかてめえ!!!」
「えっ」
「粘膜だぞ!もっと繊細に扱え!!」
「気持ちいいと思いますけど」
「開幕ガシマンは勘弁してくれ。いきなり指3本突っ込むな。少しずつゆっくり拡げるんだよ。オラ、おめえが指で穴作れ」
「こうですか?」
「そうそう、指でこう、穴周辺を丁寧に愛撫して、一本から挿入して優しく動かすんだ。様子見て少しずつ指の本数増やせ。間違ってもガシガシするんじゃねえよ。相手の反応もよく見ろよ。どう動かしたら気持ちいいのか観察するんだ」
「なるほど…」
「相手がもういいと言ってもやりすぎなくらい慣らしていいぜ。それくらい繊細な器官だからな。いざ本番の時も慣らしたからっていきなりぶっ込むなよ。少しずつ奥までゆっくりだ。全部挿入できてもしばらくは動くな。おめぇの大きさに慣れるまでいい子にしてろ。その間にキスしたり話しかけたりしてやるのもいいな。相手がそうやっておめぇを心身ともに信頼したら少しずつピストンしてもいい。早くしてもいいが、くれぐれも相手の反応を見逃すなよ。気持ちよくなさそうだったら止まれ。おめぇがイきそうだろうが、相手が嫌と言ったらやめろ」
「はい…あの…それが…徹郎さんがされたいこと、なんですよね?」
「一般論だ。もちろんいきなり乱暴な扱いを望む変態もいるがな。大体は丁寧にやってりゃ無難なんだよ」
「わかりました」
「医療の診断もそうだが一番大事なのは観察だからな。相手をよく見ろ。てめえで勝手に気持ちよくなるんじゃねえぞ」
「あなたを丁寧に扱えばいいんですね」
「図解でノートに描くな、そんなもん。何人か抱きゃ上手くできるさ、お前なら」
「あなたしか興味ないです」
まああとはこいつの未来の恋人が経験豊富であることを願うばかりだ。童貞と相性がいいのは百戦錬磨の歳上だからな。