七誕2025「誕生日おめでとー!」
七月三日の昼休み。いつものように雄のいる教室の扉を開ける。途端に人が集まってきてとんがり帽子や『今日の主役』と書かれたタスキを装着させられた。外そうとすると面倒なことになると察知して早々に抵抗をやめる。
「…なんですか?」
自分たちがやり始めたことなのに『意外』とでも言いたげな顔でこちらを凝視されるのは心外だ。
「いや、怒んねーんだなって」
「何がですか?」
別に、この程度のことは慣れている。…いや、何故慣れている?雄と出会うまで友人と呼べるような関係を周囲とまともに築いた事なんてないのに?
「何がって…とにかく、誕生日おめでとう!」
雄を抱えて座ると目の前の机に祝福の言葉と共にお菓子が積まれる。一通りお礼を言った後、雄の鼻に自分のそれを近づけた。
2429