たまにはちゃんと学生してもいいんじゃないかなんてことはない二級任務。今回は男性に逆ナンして危害を加える呪霊の討伐だ。おびき寄せるためには呪霊に声をかけられる必要があるわけで。
「モテる必要があるってことだね?」
「そうだが、灰原はどうやったらモテるのか知ってるのか?」
「まさか!全然わかんない!」
うら若き男子学生二人。そちら方面の知識がなさすぎて頭を抱えていた。
***
「要は呪霊に逆ナンされればいいんだから、モテる格好をすればいいんじゃないか?」
いっそのこと特級二人に任せればいいのではないかとも思うが、そこまで強い呪霊でないらしいので仕方ない。諦めて自分たちで対処するしかなかった。
「自分で言っておいてなんだが、モテる格好って何だ?」
「腕にシルバー巻くとか?」
「呪霊にそのネタがわかるのか?」
真面目に考えろと七海が言うと、灰原は情報収集のために購入したメンズ向けファッション雑誌を取り出した。
「七海は大人っぽいからこういうの似合うんじゃない?」
「…さすがにまだスーツは早いと思うんだが」
「そう?じゃあこれは?ワイシャツと白いズボン」
「…これなら」
「僕はどうしようかな…」
ページをめくりながら悩む灰原から七海は雑誌を取り上げた。
「貸せ。灰原はまずナンパされるために大人っぽい恰好をしたほうがいい」
「そりゃあ、七海に比べたら僕は子供っぽいかもしれないけど」
「体格はいいんだからそれを強調したほうがいい」
「じゃあこれ?白Tにジーパン」
「さすがにシンプルすぎる。こっちのほうがいい」
「了解!じゃあ買い出しに行こうか」
二人で準備をすること丸一日。
「「じゃあ、また明日」」
***
翌日。決戦の地へやってきたのはいいのだが。
「七海!人間のお姉さんばっかりひっかけないで!」
「灰原こそ、ご婦人からもらったお菓子を食べながら歩くのはやめろ」
任務は見事に失敗。結局、呪霊は伊地知がおびき出し五条が祓った。