これはじゅじゅちんこを見た当初に書いた七五さんです。初書き七五でした。勢いで書き過ぎてるから、ほんぶん、説明不足にもほどがあるのだ。
☆ ☆ ☆
なーなみん、お出かけしよ。
どうせまた面倒ごとに巻き込まれるか面倒な雑用を押し付けられるか面倒くさい目に遭うか。君子危うきに近寄らず。五条さんの可愛子ぶりっ子には近寄るべからず。
「大事な話があるんだって」
学生の頃より鍛えられたスルースキルを駆使し、数々の子供じみた嫌がらせ、もとい構って攻撃を掻い潜り、やっとひと段落というところでポケットの中に異物。なぜか描きなれた感のある似顔絵が燦然と輝く封筒を開けると、中身はただのちんこ。
「……五条さん」
近くで様子を窺っているに違いない人を呼ぶ。簡単に周囲を見回すだけでは見つからないが必ず近くにいるはずだ。自販機の並ぶ道は見た所は無人、横道に入っても誰もいず、上を見上げれば近くの屋上から、顔を半分黒く覆った顔で顎を上げて尊大に見下ろし、笑っている。
駆けいって階段を飛ばし屋上へのドアをはねのけて、にこにことあざ笑う人がビル風に淡い色の髪を吹き曝されている姿ににじり寄り、
「五条さん」
いい加減にしろだとか、からかうのはよしてくださいとか、大きな声を出したところできっとこの人はやめない。それどころか更に面白がる可能性がある。
一体何の話があるんですかと、気持ちを切り替えて冷静に淡々と用事を済ませてしまったほうが、話は早く済む。
いちいち怒ったり傷ついたりと感情的に振り回されては身が持たないのだ。この世のクソ加減にも、この人に対しても。
だから嫌味をふんだんに織り交ぜて大きく深呼吸をして、
「五条さん」
ともう一度、今度はかなり抑揚を押さえて呼んだ。
そうすると、次は逆方向にぶんと振り回された。
顔の上半分は見えない。いつものように隠してある。けれど、彼が目を閉じていることはわかる。
一体何なのか。いくつも可能性を思いついては破棄して、そうだこの人のペースに乗ってはいけないと、何をしてるんですかとわざと呆れた声を出して言おう。
それを口にする一瞬前に、五条さんはぺろりと目隠しをずらし、その下からアイスブルーの瞳を悪戯っ子のようにくるりと瞬かせ、粗雑に引きずりおろす。ネックウォーマーのようになった目隠しを指先でつんと更に引っ張って顎をさらし、その顎を上げて、目を閉じる。瞼が下りるときには音がしそう、羽のような睫毛が羽ばたいた。
気が付けば至近距離で、吐息すら相手の顔にかかりそうだ。まったく思考が停止した状態でぽかんと呆け、次にエイクソと一歩踏み出したのか踏み外したのか、唇でつまんだ唇はつるつるで、ふにゅんと柔らかかった。
「……なあ、七海、僕に大事な話があるだろ?」
人を食ったように笑う顔、その瞳に射貫かれると脳裏の裏の裏までもうとっくに看破されていそうだ。彼にとっては自分など窮鼠に過ぎないし、すでに彼の爪はこの身に深々と刺さっている。