補色 「ハインライン大尉。一つ試したいことがあるのですが協力を願えますか?」
「僕にできることでしたら」
「大尉にしかできないことです」
「詳細を聞いても?」
「俺の上着を羽織ってもらえませんか?」
改まって協力してほしいなどと言うから何事かと思えば斜め上の回答が来てしまった。言葉に詰まる。無言を肯定と受け取ったらしく、じゃあさっそく、なんて言いながらノイマンは上着を脱いでハインラインに手渡そうとしていた。
「羽織ってもらうだけでいいですよ」
上着を着るくらいなんてことないが、ノイマンの意図が掴めない。着たらスッキリする回答が得られるのだろうか。ハインラインは自らの上着を脱ぎ、ノイマンから彼の上着を受け取る。持ちますよとハインラインの上着は預かってもらった。羽織るだけでいいと言っていたが、腕も通す。ほのかに暖かい。サイズは別段差は無いようだが?前を閉めていないので確信は得られない。ノイマンはこれを見て何を知りたかったのか。
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