輝く夏の太陽に照らされながら都内に聳え立つ摩天楼。
最上階の一室で雑渡はノートPCに向かって文字を打ち続けていた。
休日だと言うのに仕事の緊急対応に追われ昼からスマホ片手にノートPCとずっと向き合っている。
ずっと画面を睨んでいたがタンッと強めにEnterを押し、持っていたスマホを机の上に置いた。
「はあ〜…ひと段落…」
一人暮らしをするには広すぎるリビングダイニングの大きなソファで大きく伸びをする。
と、カチャと扉が開く小さな音がし顔を向けた。
「お邪魔してます…」
恋人の利子がお泊まりのためにいつもより少し大きめのバッグにビニール袋を手に提げて忍び足で入室してくる。
利子には仕事の対応がしていると伝えていたので気を遣ってなるべく音を立てないようにしてくれていた。
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