「あの今日、海、行きませんか?」
「……はい?」
波の音が聞こえる。
最近一緒のチームになった彼……深海さんとなんやかんやで海に来ていた。他のチームメイトが個性が強すぎてやっていけるか少し不安になったので1番なんとかなりそうな彼とコミュニケーションをとろうとした、はずなのだけれど。
「あの、なんで海だったんですか?」
「なんか急に行きたくなって……故郷が海に囲まれてた場所だったからですかね……?えっと、緑埜さん、いきなり付き合わせてすいません」
「今日は予定がなかったのでいいですけど……」
季節外れの夕方になった海は他に誰もいなくて寄せる波の音が聞こえる。水面は夕日に当たってオレンジが混じっていて綺麗だ。
『深海青斗くん、多重人格持ちみたいだからお互い慣れるまで注意して見てて』
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