サブ垢で王様を召喚した時の話▽転生してるしループもしてる
▽ぐだキャスギル
手の中には、黄金の紙切れ……呼符と、虹色の結晶、擬似霊子結晶がほんの少し。目の前の壁には、見覚えのある、ありすぎる人が映しだされた電子掲示板。
「先輩? どうされたのですか?」
横から柔らかい声がして、は、と我に返る。注視していた金色から隣へ目を移すと、私服姿の後輩が気遣わしげにこちらを見ていた。
「マシュ」
「それは呼符……と、聖晶石ですか? これから召喚を?」
首を傾げるマシュに、何と答えるべきか迷って、立香は再び掲示板へ目を向ける。そこに描かれた、黄金の鎧も眩しい金髪の英雄王。以前、とても助けられたサーヴァント。そして、今回も何故か自分の元に来てくれた、逢いたい人と同一の存在。同じ人物とは認識していないが(英雄王は英雄王、彼は彼だ)、それでも英雄王が破格の強さを誇るサーヴァントであることに代わりはない。もっとも、今のカルデアにも立香にもその力を十全に発揮させられるだけの備えはないのだが。
4710