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    えんどう

    @usleeepy

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    えんどう

    DONE▽オメガバもどきのあれ
    ▽ぐだおと番になった王様が頑張って巣作りする話
    君のための巣▽オメガバもどきの二人です
    ▽適当に設定を捏造しています
    ▽番になったあとの話
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
    「今度の土日、空いてますか。できれば月曜も休みを取ってほしいんですけど」
     資料の表示されたタブレットから視線を上げ、「何を異なことを」と言おうとして口を少し開いたところで硬直した。こちらを見る立香の蒼い双眸が、普段はへらへらと難しいことを考えていないよう(に見えるだけで実のところそうでもないことを知ってはいるが)な立香の表情が、その顔が、言葉を失う程真剣にこちらを見ていて、鼻で笑うことも否定することも忘れてしまって、
    「で、その……、……薬、を、飲まないでいてほしい、ん、ですけど……」
     語尾にいくにつれ小さくなる声は、けれどギルガメッシュには全て聞こえていた。言葉を失ったギルガメッシュは、息を詰めたように真剣な立香と見つめあって、その顔が、顔だけじゃなく首や耳までもじわじわと朱に染まるのを見、改めて立香の言葉を反芻する。薬、と言われて思い当たるのは抑制剤しかない。それを飲まないでいればどうなるか、ギルガメッシュはいやと言う程知っている。勿論立香も知っていて、知っている上での発言だろう。それはつまり。
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    えんどう

    DONE▽珠魅パロ
    珠魅の涙▽ぐだおと王様が『聖剣伝説 LOM』に登場する『珠魅じゅみ』という種族になってるパラレルですが、設定を知らなくても読めなくはないと思います
    ▽ご存知の方には物足りないパラレルです(多分)
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
     雨が、ざあざあとノイズのように降り注いでいる。
     国は滅びた。民も冨も兵士も臣下も何もかもを失った。何もかもを失ったのに、己は未だ無様に生き恥を晒している。王のみが逃げてなんとする。国を持たぬならば最早王とすら呼べまい。そうなれば己はただの道端の石に過ぎない。玉石だの輝石だのと持て囃された真紅の核も、今にも砕けそうだ。もう一歩も動けない。四肢に力も入らず、木の根元に座しているのがやっとだ。それももう長くは保つまい。頭が重い。身体も、意識すら錘をつけられたように重い。ざあざあと降り続く雨は元々体温のない身体からも熱を奪う。せめて雨の当たらぬ場所を、と思って身じろぐと、ぐら、と傾いだ頭が支えられず地面にどしゃりと倒れ込んだ。濡れた枯れ葉が、雨に打たれて震えている。もう、起き上がる気力すらない。目を閉じる。何も残さず砕け散ることだけが唯一の救いだった。奴らに欠片の一片すら渡すわけにはいかない。
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    えんどう

    DONE▽VD2019?
    ユーフラテスの夕べの話▽王様のVD礼装の話
    ▽ぐだキャスギル






     いつもお世話になっている人へ感謝を込めて。友人へ友情を込めて。愛する人に、愛を込めて。様々な気持ちを甘い菓子に乗せて贈る日、バレンタインデー。そんなバレンタインに立香はギルガメッシュへチョコを渡した。込めたのはもちろん、愛する人へ、の気持ちである。贈るチョコレートも、手伝おうという人達の気持ちを丁重に辞退して(ネットの力は借りたが)誰の手も借りず、一人で作り上げたものである。未知の素材であるカカオを相手に奮闘し、やっと作り上げたものである。出来栄えは良すぎず悪すぎずではあるが、間違いなく立香に今できる最大限だと言えるだろう。
     それを受け取った王は、やはりというかなんというか、感謝はしてくれなかった。それは解っていた事ではあるが、反省しろとまで言われた。ああこれはやはり失敗だったか、と、解ってはいたなりに落胆した立香は、気がついたらウルクにいた。何を言っているか解らないと思うが、ウルクにいたのである。やはりダメでしたか、と言う立香に王が質より量の問題だ、と言ったのは覚えている。いや、王の言葉であればちゃんと覚えている。が、宴席を数分で終わらせるつもりか、真に誉れあるバレンタインを、ウルクを見せてやる、と言われて耳を疑っている間にあれよあれよとレイシフトさせられ、気がつけばウルクで王の用意した舟に乗っていたのである。
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    えんどう

    DONE▽オメガバもどき
    ▽王様が巣作りする話
    愛のかたち▽「巣作りする王様ってかわいくない」と思って書いた話です
    ▽オメガバについて浅い知識しかない人が書きました
    ▽転生記憶あり風味の現パロ
    ▽ぐだキャスギル





     ぬかった。確かにここのところあれこれと立て込んでいたのだが、それを体調管理を怠ったことの言い訳にはできない(と、先程散々秘書に言われた)。周期的に言えばあと一週間は先のはずだつたから、大丈夫だと高を括っていたのは慢心だったか。身体が重い。熱い。息を吐くのも億劫だ。玄関先でへたり込みそうになる脚を叱咤して、背を預けていた玄関ドアから身を起こす。ここで座り込めば動けなくなる。ネクタイを緩め、震える指でシャツのボタンを二つ三つ外してズボンのポケットから引っ張り出したスマートフォンの画面を見やる。会話の履歴は今朝、『今日はバイトがあるから夜は遅くなる』という連絡だった。遅くなる、と言うことは閉店までいるのか。さて、閉店は何時だったか。零時か?それ以降だったか?常ならば持ち帰った仕事を片づけているうちに帰ってくるのだが、この状態でそれはとてもできそうにない。できることなら今すぐに帰ってきてほしい、が、無様にそれを請うほどまだ正気は失っていない。画面上の時計は正午を示している。状況を伝えるべきなのは解っているが、少し躊躇ってから画面をロックする。帰ってくるまで耐えればいいだけの話だ。深い溜め息を吐いてスマートフォンをポケットへしまおうと腰に当てたところで、振動と共に電子音が腰に伝わって思わず取り落とす。廊下の床にゴトッと重たい音を立てて落ちたスマートフォンの画面には着信を知らせる表示が光っていた。今確かに伝えるのをやめたはずなのに何故。一瞬無視するかとも考えたが、無視したところで諦めはすまい。壁に手をついてのろのろと屈み込んで拾い上げる。画面に触れ、耳に当てれば即座に切羽詰まった大声が鼓膜に飛び込んできた。
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    えんどう

    DONE▽DK×謎の金髪青年
    年上の幼馴染▽ぐだおだけ転生してそうな現パロ
    ▽いずれ大学生×社長になる予定のDK×謎の金髪青年
    ▽付き合ってない
    ▽ぐだキャスギル(将来的に)





     オレには年上の幼馴染がいる。というと定義と矛盾が生じるけれど、文字そのままの意味ではそうだし、他にこの関係を表す言葉を知らない。
     その人との出会いはオレがまだ小学生だった頃。学校からの帰り道にある公園に友達といつものように遊びに行ったら、いた。というか、通りかかったというか。オレはその瞬間を未だに忘れていない。天気が晴れてたかどうかだとか、風が吹いていたかだとか、そんなことは忘れてしまったけど、景色の真ん中にいたあの人の姿はちゃんと覚えている。
     最初に目に飛び込んできたのは、太陽の光を受けてきらきら光る金髪だった(ということは晴れてたんだな、たぶん)。オレはそれまで近所で金髪の人を見たことがなくて、物珍しくて見たんだと思う。公園の入り口に立っていたその人は金髪も目立ったけど、すらりとして背も高くて、横顔だったけどまるでテレビで見る芸能人、それよりももっと、なんというか、人間離れしてるような雰囲気で、その人の周りだけ空気が違って、しんと静まり返っているような、でも見てるオレの胸の裏側はざわざわざわざわうるさくて、目が離せなくて、無遠慮にじろじろ見てしまっていて、それで、気づかれた。横を向いていた顔がゆっくりこちらに向かって動いて、瞬きの間がやけに長く思えて、閉じて開く目の、少し伏せられていた視線が上がってくるのもスローモーションかコマ送りか、すごく永い時間に思えた。ひたり、と据えられた視線はいちご飴よりもっと赤くて透明なふたつの目玉から発せられていて、オレはそんな色見たことなくて、動けなくて、目があって、胸の真ん中にズドーンと雷が落ちたみたいな、なんかものすごい衝撃を受けた。
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    えんどう

    DONE▷VD2022
    ぜんぶあげる▽バレンタインっぽい話
    ▽転生記憶あり現パロです
    ▽ぐだキャスギル





     材料は三つだけ。チョコレートと生クリーム、それから仕上げ用のココアパウダー。チョコレートは、もう甘いものは食べ飽きているであろう彼にあわせて、ビターとミルクを半分ずつ。そのチョコレートは耐熱ボウルに割り入れておく。
     まずは生クリーム。弱火でゆっくりじっくり、沸騰直前まで温める。沸騰直前、などと言われてもどうなったら沸騰したと呼ぶのかすら知らないので、勿論事前に検索してある。インターネットというものはどこでも便利である。
     さて鍋の中の生クリームは、鍋の縁に沿って小さな泡をぷつぷつ浮かべている。ここで加熱を止め、先程割っておいたチョコレートにとろりと流し入れる。混ぜる時は耐熱性のヘラで。割ったチョコレートが完全に生クリームに溶けるまで、ヘラで上から下からかき混ぜる。あまりやり過ぎると温度が下がりそうだが、そう心配している間にクリームとチョコレートは混ざり合っていた。生クリームだけの時よりも更にとろりとしたクリーム状の液体。これにラップをかけ、冷蔵庫で三十分冷やす。タイマーをセットし、冷やす間に鍋などを片付け、タイマーを持って一旦キッチンから離れる。流石に三十分何もせずに待つというのは苦痛だ。読みかけの本など読んでいればあっという間だろう。
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