王様がイチゴを食べる話▽王様がイチゴを食べます
▽ぐだキャスギル
ころん、と、視界の端に何かが転がり入り込んで、ギルガメッシュは画面を滑らせる手を止める。己の宝物から引き出した、己の好みに誂えた豪奢な寝台の上、両の脚を伸ばし座る側へ何かが転がってきたのは確かだった。一瞬だけ捉えたその〝何か〟は赤かったように思う。ギルガメッシュは今、転がるものなど寝台の上には持ち込んでいない。ということは。
「…………立香、貴様寝台を汚すなといつも言っておろう」
溜め息混じりに言ってベッドサイドへ目をやると、そこには黒い筒状の布をまとう人間の足が二本並んでいた。その両足に沿って目線を上げれば、すまなそうに眉尻を下げてこちらを見ている立香の蒼い瞳と目があった。
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