君のための巣▽オメガバもどきの二人です
▽適当に設定を捏造しています
▽番になったあとの話
▽ぐだキャスギル
「今度の土日、空いてますか。できれば月曜も休みを取ってほしいんですけど」
資料の表示されたタブレットから視線を上げ、「何を異なことを」と言おうとして口を少し開いたところで硬直した。こちらを見る立香の蒼い双眸が、普段はへらへらと難しいことを考えていないよう(に見えるだけで実のところそうでもないことを知ってはいるが)な立香の表情が、その顔が、言葉を失う程真剣にこちらを見ていて、鼻で笑うことも否定することも忘れてしまって、
「で、その……、……薬、を、飲まないでいてほしい、ん、ですけど……」
語尾にいくにつれ小さくなる声は、けれどギルガメッシュには全て聞こえていた。言葉を失ったギルガメッシュは、息を詰めたように真剣な立香と見つめあって、その顔が、顔だけじゃなく首や耳までもじわじわと朱に染まるのを見、改めて立香の言葉を反芻する。薬、と言われて思い当たるのは抑制剤しかない。それを飲まないでいればどうなるか、ギルガメッシュはいやと言う程知っている。勿論立香も知っていて、知っている上での発言だろう。それはつまり。
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