Recent Search

    えんどう

    @usleeepy

    『要パス』タグのものは冒頭の箇条書きをよく読んでから本文へ進んでください
    パスはこちら→ X3uZsa

    褒めたい時はこちらへ↓↓↓
    https://wavebox.me/wave/d7cii6kot3y2pz1e/

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💴 💵 🍓 🍟
    POIPOI 104

    えんどう

    DONE▽年賀状であれこれ
    新年あけましておめでとうございます。▽年賀状出したりもらったりしてるぐだおとそれが気になる王様の話
    ▽ぐだキャスギル




     雑種は我の物なのだから、雑種の物も我のものであろう?というジャイアニズムにより、立香の自室を塒にしているギルガメッシュは、立香が先程から真剣に紙面に向かっている背中を眺めていた。本日の種火集めが終わり、自室に戻ってきた立香は大小の紙束を持っており、机にそれらを広げては小さい方と大きい方をずっと見比べているのだ。ギルガメッシュに向けられたのは、部屋へ戻ってきた最初の「ただいま」という言葉のみで、後はずっと紙を見ている。
    「貴様、先程から何をしているのだ」
    「んー、当選ハガキがないかと思って」
    「とうせんはがき…?」
     聞いたことのない言葉をそのまま繰り返してみるが、立香はギルガメッシュの疑問に気づいた様子もなく、紙面から目を逸らそうともしない。それが何故だかギルガメッシュの神経を逆撫でした。この我が言葉をかけてやっているのに、振り向きもしないとは何事か。ギルガメッシュはベッドから起き上がり、立香の側まで歩き、おもむろに立香の耳を遠慮なしに引っ張り上げた。鋭い黄金をまとった側の手でないことはささやかな手加減だろうか。
    2033

    えんどう

    DONE▽ちょっといかがわしい話
    聖なるかな▽ちょっといかがわしい
    ▽ぐだキャスギル






    「ギルガメッシュ王」
     ベッドへ仰向けに横たわり、スタッフから巻き上げたらしい書類を見つめている王を呼ぶ。返事はなく、けれど薄い金に縁取られた紅玉のような瞳がベッドサイドの立香を捉えた。それもすぐに逸らされ、元の位置に戻る視線に幾許かの寂しさを覚えながらベッドへ腰掛ける。書類に視線を落とすギルガメッシュの両の目許には金色の睫毛が影を落としていた。改めてまじまじとギルガメッシュを見つめる。陽を編んだような金の髪に、す、と通った鼻筋、薄っすら血色に色づいた形のいい薄い唇。黄金の装飾を解いているせいで露わになっている白い首筋、鎖骨、布地の少ない外套から覗く薄い胸元。花のような紋様の刻まれた鍛え上げられてはいるが細い腕に、それに似合う細く長い指、引き締まり細くくびれた腰から繋がる下肢。膝を立てているせいで赤い布がめくれ、すらりと長い脚が剥き出しになっている。髪の先から爪先まで完璧な、完成された芸術品のような半神半人の王。本来ならば自分のような人間が触れることすら赦されないのに、恋人同士のように睦みあうなど、改めて考えてみれば夢のような話である。
    1964

    えんどう

    DONE▽2部突入前の話
    ▽ぐだおが王様の動画を見る話
    逢いたい▽2部突入前、王様を再召喚していない頃の話
    ▽王様はいません
    ▽ぐだキャスギル




     端末のホーム画面に、似たようなアイコンが並んでいて、間違えて開いただけだった。そうしたら、サムネイルにあの人が写っていた。それで何となく開いた。それだけのことだった。
     モニターに接続して大きめの画面に映しだされるのは何気ない横顔に、こちらに気づいて不愉快そうにする顔、ベッドに寝転がって真剣な表情で書類や端末を見ている表情、何もすることがなくゴロゴロしているだけの姿、眠っている顔、寝起きのぼんやりした顔、などなど、などなど……。当たり前にあった日常の数々を収めた写真達だった。中には溶岩水泳部に半ば無理やり撮られた五人の写真、食堂のテーブルに並んだいつもより豪華な食事をみんなでわいのわいのしている様子を撮ったものもあった。ゲオルギウスがカメラで撮ったたくさんの写真達はあの時の騒ぎでおそらく失われてしまっただろうが、持ち出したこの端末には比較的個人的ではあるが写真が残っていた。カメラに気づいて手を伸ばしてくる写真、イシュタルと戯れている写真、無理を言って二人で撮った写真、ほとんどがあの人の写真だった。玉体に見惚れたか、と自慢する割に写真に残されるのは何故か嫌がった王の写真は隠し撮りに近くて、ほとんどがカメラを向いていない。懐かしさと同時に幾許かの寂しさを覚えてカメラロールを閉じる。
    1673

    えんどう

    DONE▽王様の生身に触りたかったぐだおの話
    王様の生身に触りたかったぐだおの話▽七章の時に触っておけばよかったな〜という話
    ▽ぐだキャスギル





     出逢ったのは、四千年以上前のメソポタミア文明の頃、ウルクという国だった。初めて見た彼の王は玉座で一秒の隙もなく責務をこなし、強引な魔術師の手引きがなければ話すらできなかっただろう。しかし事情を説明する間も惜しんで手合わせをさせられ、〝まだ早い〟と断ぜられた。その上で以降はやはり協力は一蹴され、不要と拒絶されると同時に役に立ちたければ相応の功績を上げよと言われ、祭祀長に一任させる形で謁見は終了した。途中愉快な女神の乱入で王と共に戦うというその時点ではあり得ない出来事もあったが、その後祭祀長の手を借りて地道に〝功績〟を上げ続け報告をし続け、あれ程頑なだった王の気を引くようになり、王は道ゆきに同行するまでになり、王自らがうっかり死亡した際には助けに来ることを予見されるほどの信用を得、共に戦う事はないと最初に断ぜられたにも関わらず共に戦い、立香を庇う形で致命傷を負い、自らを囮として命を落とした。更には幽体で最終決戦の手助けもされ、その後、生死の概念があやふやである神代に於いてでももう生き返らぬ事を言外に教えられ、戦いの終結を告げて王は逝ってしまった。逝ってしまったのだ。完全に。身体を失い、もう二度と、手の届かぬところへ逝ってしまった。生死があやふやな世界であったからこそ、立香は当たり前のようにまたあの賢王に逢えるのだと思っていたのかもしれない。だが、ギルガメッシュが自らを使い、ティアマトを罠に嵌めたあの時と同じように自分の手は届かなかった、届かぬところへ逝ってしまったと理解したのは、少し遅れてからだったように思う。ウルクでの暮らしは確かに楽しいものであった。あの激戦を経ても尚、あの国は良い国だった。同時に、出逢ったすべての者に対しても、なんの悔いもないと思えるくらい、楽しかったのだ。それを告げた時、王は非常に満足気であり、誇らしげだった。最大の財宝であろう聖杯を立香たちに与えるほどに。そして今生の別れをし、皆とも別れ、立香たちはカルデアへと帰還した。もうあの王には二度と逢えないのだ、という、事実だけが立香の中に残った。もう、二度と逢えないのだ。もう、二度と。英霊として、サーヴァントとしてまた逢える可能性、というか既に全盛期と合わせて二人共いるのだが、その賢王に今回の記憶があるようには思えなかった。特
    2390

    えんどう

    DONE▽王様がやきもちを焼く
    歓迎会とやきもちの話▽他の鯖の歓迎会が盛大で歓迎会なかった王様がちょっとやきもちを焼きます
    ▽不夜キャスさんとニトちゃんの歓迎会なので二人がちょっと喋ります
    ▽ぐだキャスギル








     シェヘラザードと、ニトクリスが弊カルデアにやって参りました。
    「おめでとうデザートビューティー 待ってました おめでとうシェヘラザードにニトクリス 種火なくてごめん しばらくは二人でお茶会してて」
    「はい……戦場から遠ざかるのは……それは死より遠ざかる事なので……構わないのですが……」
    「幾ら私が未熟とは言えファラオへの貢物がないとは何事ですか! 恥を知りなさい! 恥を!」
     あからさまに嬉しそうなシェヘラザードに、おこと言う言葉が似合う怒り方をしているニトクリス。しかしやはりニトクリスもどこか嬉しそうに見える。頭上のウサ耳のような飾り?がピコピコと揺れているし。夏の駄女神によるトンチキイベントでお互いを相棒と呼ぶまでに信頼を深めた二人であるからこそ、やはり嬉しさは隠し切れないのだろう。二人(主にニトクリス)をまあまあと宥めながら食堂の椅子へ座るよう促す。そこにはこの時のために用意してもらった彼女たちの国の料理が並んでいる。所謂歓迎会というやつだ。話を聞きつけた宴会好きのサーヴァントたちもわらわらと集まってきている。なかなかに賑やかな歓迎会になって立香は満足気にその様子を眺め、一人輪の外にいるギルガメッシュの傍へ歩む。
    2059

    えんどう

    DONE▽幼女の続き
    ぐだおに膝枕する王様の話▽幼女とぐだおと王様の話の前の話です
    ▽幼女は出ません
    ▽王様がぐだおに膝枕してるだけ
    ▽ぐだキャスギル








     再現されたカルデア。ノウム・カルデア。以前拠点としていたカルデアはもう失く、ここにあるのはそっくりに再建されたものである。――と、説明を聞いていても、見た目にはそっくりである。管制室も、シミュレーションルームも、トレーニングルームも、食堂も、自室の内装にいたるまでそっくりだった。以前のように、休憩時間を思い思いに過ごす制服を着たスタッフの姿はもうないけれど。
     立香が今座っているソファも、再現されたものだろうか。前のカルデアを隅から隅まで知っているわけではないから、前からあったものなのかは解らないが、あったとしたらここから見える景色は猛吹雪だけだったのではないだろうか。うららかな陽射しが木々に降り注ぎ、地面にゆらゆらと影を落とすのをぼんやり眺めながら、立香はとりとめのないことを思考する。徹夜ではないけれど、それに近い睡眠時間で報告書を仕上げ、それの修正の修正の修正を終わらせた今、立香は晴れて自由の身なのだが、睡眠の足りない頭では何かをするということも閃かない。部屋へ戻るのも億劫で、途中寄り道をしてそのまま座り続けている。ここで眠ってしまうのは避けたい。まあ、こんなところでは落ち着いて眠れないし、脳はフル稼働の余韻でかまだ休む気配がない。気怠さに支配されて、ただぼんやりと影と光が揺らめくのを見ている。木々のざわめきか、鳥の鳴き声、川のせせらぎなんかがあれば寝るにはちょうどよかったかもしれない。
    2724

    えんどう

    DONE▽眠い話のようなそうでもないような
    王様を寝かしつける話▽ぐだおが王様を寝かしつける話です
    ▽ぐだキャスギル






     ふと疑問に思った事がある。夜、立香は自室で眠る時、いつも隣に王がいる。ベッドは一台しかないし当然のように一緒に寝ているのだが、いざ眠ろうという時いつも決まって立香が先に寝、朝は立香の方が後から目が覚めているような気がするのだ。まあ立香は寝つきは良い方ではあるし、英霊が睡眠を必要としない事も知っている。だが、彼も寝ている筈ではあるのだ。朝そこはかとなく眠そうにしている事もあるし、寝ているのか、と聞いた時には寝ている、と言われた。下らない嘘はついても意味がない。という事は寝ている筈なのだが、寝ているところをついぞ見た事がないのだ。
     前置きが長くなったが、要するに立香はギルガメッシュが寝ているところを見たいと思っていた。あの美しい顔が眼を閉じて、安らかに眠っているところを間近で見たいのだ。別の意味で安らかに眠っているところは見た事があるが、あれが最後の記憶になるのはあまりにもむごい。あわよくば寝ているところを眺めたいし、目を覚ましてぼんやりしているところも見たい。しかし立香の寝つきは異常に良い。ギリギリの状況で寝る事に慣れすぎてしまったのか、あのやわらかな布団に包まれれば一瞬で夢の中だ。傍らにギルガメッシュがいる事にも安心してしまう。抱き締めて眠気に抗わず眠る事のなんと心地よい事か。しかしギルガメッシュの寝顔が見たい。
    2841

    えんどう

    DONE▽教会でいちゃついてます
    廃墟の教会でいちゃつく話▽廃墟の教会でいちゃつきます
    ▽ぐだキャスギル






     健在であればさぞ立派であったろう天井画は、今や見る影もなく崩れて大穴が空き、瓦礫の形に区切られた夜空が見える。足元に転がる石ころのような瓦礫にはところどころ淡い青が見え、これが元は天井画の一部だったことを教えていた。門戸を開け放したままで壊れたこの廃墟は、かつて教会だった名残を色濃く残していた。
     探索中に見つけた廃墟の教会。周囲には更に廃墟と化した村があるばかりで、その中でようやく見つけた一夜を明かせそうな場所がここだった。
     黒いインクの上へ白く輝く砂を撒き散らしたような夜空から壁へ視線を移せば、朽ちた救世主の傑像がある。ここまでの道のりを共にしてきたレイシフトメンバーは、なんとか原型を保っていた部屋へとめいめいに別れ、眠る者は眠り、見張りに立つ者は外へと出て行った。ギルガメッシュは前者の側で、見張りまでの時間、カルデアでもそうしているように立香と枕を共にしていた。のだが、気づけば隣で寝ていたはずの立香がおらず、またあの無用心者はフラフラと、と幾分憤りながらギルガメッシュが残滓を辿り見つけた立香は、やはりフラフラと無防備に聖堂内を散策していた。皆が寝静まるか教会の外へ出ている今、聖堂の中には立香とギルガメッシュのふたりしかいない。無用心にもほどがある。立香、と呼びかければ振り向いていつものように屈託なく笑われ、そこで怒りは失せてしまったが。
    2114

    えんどう

    DONE▽1部終了〜2部前の話
    退去の日①▽一部終了後、全鯖を退去させた時の話
    ▽王様が出てきません
    ▽ぐだキャスギル






     どんちゃん騒ぎの後、まだ宴会の余韻どころか二次会三次会が開催されるカルデアで、ひとりひとりに説明して回った。
     カルデアは、明日、事実上解体される。名目は査察だし、あの事故で失われた人員の補充、凍結中のAチームの治療など、必要な対応も行われるが、人理焼却の破却まで駆け抜けたカルデアはここで終わりだ。それは喜ばしいことであるし、自分の役目がようやく終わったということでもあるし、終わったということは元の生活に戻れるということ、なのだが。
     立香から退去命令の説明を受けたサーヴァントの中には、退去を渋る者もいた。マスターを、立香を残して行けないと、嬉しくなることを言ってくれる者もいた。けれど、退去命令に従わなければ査問会からいらぬ難癖をつけられる要因になってしまうことは想像に難くない。ここまで共に戦ってくれたサーヴァントの皆をそんな醜い争いに巻き込みたくないし、スタッフの皆が心を砕いて立香を元の生活に戻そうとしてくれているのだからそれを無駄にするわけにはいかない。説明と、ありがとうと大丈夫を何度繰り返したか解らない。また逢えるから、なんて噓か本当か解らない言葉を口にしたりもした。
    1993