《眠れぬ夜は君のせい》 雨の音がする。
浮上した意識の中で最初に思ったのがそれだった。
眠気に半分以上意識が支配されている感覚にスティーブンはもう一度そのまま眠ろうとしてみるがしばらくしてゆっくりと目を開けた。
耳に聞こえてくる水の音、どうやら結構な勢いで雨が降っているらしい。
ふと自分の背中がひどく冷えている事に気がついてスティーブンはシーツを首元まで引っ張った。
体温がこもるであろうシーツの中でどうしてこんなにも背中が冷えるのか一向に温まる気配の無い自分の背中にあぁやだな…とスティーブンは目を閉じて眉根を寄せた。
こんな時には無理にでも起きたほうがいい
頭はそう思っていても体が動こうとする気が無いのがわかった。普段の不摂生がここにきて響いているのを実感する。誰に言い訳するでもなくスティーブンは俺だって休めるものならしっかり休みたいよと口の中を力なく動かして閉じていた目をすーっと開けて室内の様子を見れば視界には暗闇しか映らず何が見えるでもないそれを確認してスティーブンはふたたび あぁ、嫌だ と心の中で呟いた。
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