みてみて~から始まるアズイデちゃん「みてみて~、アズール氏!」
先程まで、高い背丈を限りなく小さくしていたイデア・シュラウド。彼は被っていたパーカーのフードを脱ぐなり、いつになくハイテンションに、髪までふんわりと火力を増し……彼の表現法を借りるなら、「幼女」のように切り出した。
その腕の中で大事そうに抱えられていたのは、ぷっくりとした愛らしい、「イカ」のぬいぐるみである。すでに眉を寄せていたアズール・アーシェングロットは、さらに眉間の皺を深めることになった。
ここはオクタヴィネル寮内、アズールの部屋だ。二人はお互いでそう認識していないものの、世間一般には「恋仲」と呼ばれる立場にある。寮へ続く裏道を通り、これまた裏口からこそこそ入ってくるのも未だに慣れない様子のイデアは、毎度いつも以上に体を小さくしてやってくる。なんでも、髪でバレるのが嫌とかで、フードを目深に被っているものだけれど。
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