ザクサとトマリとメイド服「ねぇねぇ、ザクちゃん。明日はメイドの日なんですって」
トマリはスマホに視線を落としながら隣で絵を描くザクサに話しかける。
「へぇ、そうなんだ? ──嗚呼、五月十日で語呂合わせにしてるのか」
「そうみたいよ。ほらフライングで写真を上げてる子たちが結構いて、なんだかハロウィンみたいで面白いわよね」
そう言ってトマリは自分のスマホ画面をザクサに見せた。どれどれとザクサが画面を覗き込むとそこには男女問わずメイド服姿の人々の画像が所狭しと並んでいた。英国風の本格的なものから、コスプレちっくなものまで多種多様である。
「ホントだ、まるでフリルの洪水だね」
「う〜ん! どの子もみんな可愛いわ〜」
こっちはユウユちゃん、これはメグちゃんに似合いそう、とトマリは楽しそうに画面をスクロールさせている。そんなトマリを見ている方が僕はずっと楽しいけどね。とザクサは口には出さずにニコニコとその様子を眺めた。
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