ケセラセラ「ここからどうすりゃいいんだぁ……?」
こぢんまりとした作業部屋に、大音量のパソコンの排気音と溜息のようなアンジョーの唸り声が響きわたる。
27インチのモニターにはびっしりとアイコンが並んでいて、その真ん中には雪だるま型の簡素なオブジェクトが映し出されている。
椅子の上で胡座をかきながらアンジョーは悩む。ここからもっと人間の形に近づけられないだろうか。腕を生やせばいいか、それか先にテクスチャーを貼り付けてみようか。どう作業を進めるべきか、と画面をじっと見つめてみるが、驚くほど何の埒も明かない。
デュアルモニターの右側から、ラフ画の金髪女子がこちらに微笑みかけている。ミディアムボブの彼女は眼鏡の向こう側におっとりした雰囲気を纏わせていて、三面図から女性らしいまろやかな身体のラインが分かる。自らの嗜好をふんだんに取り入れた、我ながらよくできたデザインだと思う。
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