おつかい「わしの顔ばかり見ていては息もつまるじゃろう。豊穣、菓子でも持ってあやつらの様子でも見がてら人間界で息抜きでもしてこい」
女王陛下は膝に乗せたケモナマを撫でながらそういった。初めてお仕えした頃の女王陛下は、初めて見たおとなの女のひとで、まだ幼かった私を気遣ってか、頻繁にお茶の時間に付き合わされたり、何かと理由をつけてお菓子を食べさせられたり、持ち帰らされたりしたものだった。小さな子供の姿になっても、あのおかたは、子供との付き合い方がわかっていない。まだ自分のことを子供だとでも思っているのか。ただお菓子だけを与えていればよいと思っているのか、それしかできなかったのか。
平日の割には混雑しているデパートの地下で適当に菓子を包ませ、BAR Fへ向かう。
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