fireworks, wetworks ドアベルの音がしたので、寶は洗い物の手を止めて振り返った。
「ただいま」
蘭丸が帰ってきていた。
「みんなは? 喧嘩でもしたん?」
「そういうんじゃないけど、なんか、いづらくなって」
カウンターに座る蘭丸に、アイスコーヒーを出してやる。
「おしぼりとお水はセルフサービスや。冷コーはあと30分で廃棄のブツや。心して飲み」
はい、いただきます、とまじめくさった表情で蘭丸はアイスコーヒーを飲み始めた。
「花火、見えたん?」
蘭丸はうなずいた。
「焔も樹果もすごく喜んでたし、うるうも口では何か言ってたけど、怒ってはいなかった」
「嫌なことでも言われたん?」
蘭丸は首を振った。
「空を見るなら、一人のほうがいい気がして」
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