F蘭ワンドロ用 お題:ゲーム。「やばっ、蘭丸これ見てよ!」
蘭丸は樹果に差し出されたタブレットを覗き込む。
「『妖精の焔』ゲーム化・オリジナルキャラ紹介第一弾! 果樹園に住む若き漢方医・樹下!」
「ゲームのオリジナルキャラクターって、典型的な地雷じゃないのか」
読みかけていた本に栞を挟んだうるうがいった。
「美麗の鞭使い・うるるだって!」樹果の声に赤面し、絶句し、二の句が告げなくなったようだ。しばらくして十訓、十訓とブツブツ呟き続けた。そこに焔が黙って水を持ってくる。下手に口をきいたら大事になりそうで、対応としてはそこそこ正しい。
「拳ひとつで国を取れ! 肉じゃがしか作れない居酒屋主人・金宝って……」
皿を洗っていた寶は、まんざらでもなさそうだ。
「カワイコちゃんにも人気なんやろ? ワイの人気もうなぎのぼりちゅうことで、ここ使ってビッグビジネスぶち上げのチャンスやで! 君たちもそのときは粉骨砕身のお手伝い頼むで」
「寶、そういうことは肉じゃが作れるようになってからいいなよ。俺、学園祭でやったから。いいかげんそろそろ厨房に入らせてよ」
「ワイのお城には、カワイコちゃんしか入れへんのや」
「な〜にがお城だよ。賃貸じゃないか」
寶と樹果のやりとりを尻目に、蘭丸はニュースの続きを見る。
「記憶を失った浪人・菊丸」
「菊は……ちょっと、あんまりすぎないかな……」蘭丸は呟く。画面をフリックして次のキャラクター紹介の記事の続きを見る。
「倒幕の密偵・サクカ」
蘭丸の手が止まる。
「このページ保存できないかな。樹果にあとできいておこう」
でもプロキオンにこれは見せられないな、と「実はBLがお好き 妖怪の首領・蜂我姫」との惹句を横目で見ながら蘭丸はひとりごちた。